ハノイの日本人

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KinKi Kids『 K album 』から『ヒマラヤ・ブルー』。

KinKi Kids『 K album 』を毎日聴いています。その中から 松本隆 の3作品について書きます。3回目は『ヒマラヤ・ブルー』です。前回の『ラジコン』から、Satomi、馬飼野先生の『さよならのエトランゼ』、キンキの2人の『 Family 』と来て、ヤマタツ版『骨まで愛して』の『いのちの最後のひとしずく』。3曲を挟んで今回の『ヒマラヤ・ブルー』です。このあたりはアルバムのクライマックスですね。



K album

K album


ところで、2011年の J-POP を代表する曲と言えば 斉藤和義『やさしくなりたい』をあげる人が多いのではないでしょうか? 最終回は 40%を超えたドラマ『家政婦のミタ』の主題歌ですね。100万ダウンロードを超える大ヒットとなりました。


しかし、それ以前に 斉藤和義原発事故後の4月、日本の原子力政策の嘘を告発した『ずっとウソだった』を Ustream でのライブで演奏。ネット上で大反響を巻き起こしていました。『家政婦のミタ』や SMAP斉藤和義 に楽曲を依頼したのはこのことをきっかけとしたものでしょう。原発事故の問題とこれから数十年にわたって付き合って行かなければならない日本人にとって、この『やさしくなりたい』という言葉がどのように響いたのか興味があります。





あまり語られていないことですが、ジャニーズ事務所 のタレントは原子力関連の CM に出演していません(事務所を辞めてからは別ですが)。湯水のように金を使い CM で原子力発電を PR してきた東電などが、ジャニーズに声をかけなかったとは思えません。しかし、ジャニーズのタレントが「電気の3分の1は原子力です(ニコッ)」と言うのを見たことがないわけです。


「地デジ」や 観光庁など政府関係の CM に出演していることを考えると、そこには事務所の明確な意志があったはずです。チェルノブイリ で多くの子供たちが犠牲になったことも理由としてあるでしょう。だから、ロックシンガーの 斉藤和義 ほどに直接的でなくても、ジャニーズ のなかで「反原発」を歌う曲があればいいと思っていました。『ヒマラヤ・ブルー』です。



ヒマラヤ・ブルー』は、作詞:松本隆、作曲:織田哲郎、編曲:吉田建、コーラスアレンジ:松下誠です。松本さんとしては、松田聖子瑠璃色の地球』のようなスケールの大きな歌をキンキの2人が歌うとしたらどうか?という思いがあったのかもしれません。『瑠璃色の地球』は 宇宙からの視点で 美しい地球という星について描かれています。そして『ヒマラヤ・ブルー』はそれと逆に地上からの視点で 地球を感じさせる歌詞となっています。


ドキッとするのは「♪ 君に見せたかった 無理にさらうように 奇麗な星で生きていると 教えてあげたい」という部分です。これは 松本さんとしては冒険した歌詞でしょう? 「教えてあげたい」という押しつけがましく聞こえかねない歌詞ですから。でもですね、本当に大事なことは嫌がられても伝えないといけないものですよね? 今回の原発事故はそういうものです。


キンキの2人も今では 30代です。私がその年代のときには「20代の頃とそんなに変わらないな」という感覚でいました。本人的にはそうなんですけど、下の世代からしたら十分に経験をつんだ大人に見えてる訳です。実は人に教える立場であってもなんらおかしくない年齢です。もちろん、剛くんはソロなどでそういう姿勢をすでに打ち出しているかもしれません。でも、キンキの曲で聴くと驚いた訳ですw


  ♪ 奇麗な真水と空気さえあれば
    電気なんかなくても
    ぼくら生きられる


ミネラルウォーターを飲む生活をしている私たちにとって電気のない生活というのは、なかなか想像しにくいものです。松本さんはヒマラヤに登らせるという強引さで、そこまで連れて行くのです。原発事故の影響でこれからも被害者はずっと増加して行きます。そのときに「これだけの犠牲をだしてまで、本当に原発が必要なのか?」と問うことになります。やさしくなりたい。強くなりたい。