ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

横山宏介さんへのお返事。

ゲンロン批評再生塾、2つ目の課題に現在取り組んでいます。そんな中、第1期で2位に入り、今回の第3期では受講生のお世話をしてくれている横山宏介さんが、1つ目の課題の全レスをくれました。30人が提出したので、その全てに感想を書いてくれたわけです。ありがとうございます! しかしめちゃ厳しいw いや、私も既に失敗を受け入れています。でもこのままでは今日寝れない。言い訳は禁じていたのですが、どういう文章を書いたのか説明します。



◉この不安と戯れる為の文学。または、小沢健二の復帰を祝って(脇田敦)
http://school.genron.co.jp/works/critics/2017/students/hanoisan/2004/


◉批評再生塾、第二回課題全レス(横山宏介)
http://criteria.hatenablog.com/entry/2017/06/25/160236
小沢健二の復帰が無条件に素晴らしいこととされていて、それが「ステマ」や「ケツ舐め」や今の日本の状況にどう結びついているかの、論理的な関係が書かれていない。「私にはそう感じられた」、「楽しみに待ちたいと思う」という結論部と併せて、極端な話「辛い時代だけど、俺が好きなアーティストが復帰したし、ちょっと明るい気分になれたよ」という主旨になっている。現状ではファンの小沢健二紹介になってしまっているので、小沢健二がどのように「ステマ」や「ケツ舐め」溢れる時代の「不安と戯れ」ているのか(あるいはその助けになるのか)を、小沢健二に興味がない人間も納得できるように提示する努力が欲しい。』


◉課題「三度目の正直へ」講師:大澤聡
http://school.genron.co.jp/works/critics/2017/subjects/2/
『なにはさておき全員に提出してもらいたい。初回なので。そこで、課題は自由度を高めに設定しておきます。とはいえ、完全に自由というのもかえって書きにくいもの。限定は必要でしょう。この限定が批評の肝にほかならないわけだけれど、塾はそれを学んでゆく場ですから、今回はこちらで事前に一つ限定を施します。課題は以下のとおり。《任意の文学作品を批評せよ。ただし、「三」という数を論述のどこかに必ず組み込むこと。「三」の分析を主軸にすえるのか、それともごく部分的な言及にとどめるのかは問わない。ここでいう「三」の解釈や用法を含めすべて自由とする。》(後略)』


「この不安と戯れる為の文学。または、小沢健二の復帰を祝って」という文章ですが、私は自己紹介・・・というか決意表明を込めた文章を書いてしまったんです。マジで現在地点を記したんですよ。「この不安」というのは「ゲンロン批評再生塾でやっていけるのか?」という個人的な不安のことです。呆れますよね? 戦場にいるのに自己紹介してて頭ぶち抜かれて死んだ訳です。でも真剣ですよ。私はベトナムから日本に帰って来て以来、小説を1冊も読んでいませんでした。小説は必要なかったんです。


いま、課題を書く為に何冊か小説を読んでいて、それは楽しく読めています。あくまでも課題を書いた時点で、小説が必要なものかわからなかったという話です。それで『ゲンロン1〜4』の「現代日本の批評」を読み直し、文学とはなにかと考えました。そして「弱さ」とか「不安」に寄り添うものではないかと考えたんです。正直、小説で弱者を救うのは無理だと考えました。不安をなくすのも無理でしょう。なので「戯れる」という言葉を使ったのです。


最初は「ケツ舐め」と「アメリカの影」で文章を書いていました。「アメリカの影」という文学批評の成果が現在も通用するのかについて考えていたんです。そして「ケツ舐め」の理由を考えるうちに「貧しさ」にたどり着きました。でも、私はベトナムに住んでいた人間です。首都の平均月収が2万円程でした。それでも倖せに暮らしている人々を観て来た訳です。日本の問題は「貧しさ」ではなく「貧乏くささ」ではないかと考えました。それは少し残しています。


ステマ」と「ケツ舐め」という言葉を残したのは、最終目標が「圧倒的にかっこいいアイドル本」を書きたいからなんです。6月は本当にきつい日々でこういったワードを残したかったわけですけど、それは余計でした。それでも、私は「成長を見せるエンターテイメント」派ですよ。もしかしたら横山さんも、私と握手するための列に並ぶ日が来るかもしれない。全否定はないな。生徒の成長にはある程度時間も必要でしょう。


そして、ここで言い返しておかないと武器を持たない人間ということにされますよね? たぶん、横山さんは前半部分に腹を立てて、後半は冷静に読めなかったのではないですか? 私は小沢健二の復帰作を「無条件に素晴らしいこと」にしてませんよ。「厳しい現実に救いを与える音楽」をつくるのはかなり難しいことだと書いているんです。もちろん、そうだったらいいなという願いは込めていますが。あと、確信が持てなかったので書かなかったんですけど、小沢健二『流動体について』の歌詞の元ネタは東浩紀さんではないでしょうか? 


最後に、もしこの文章について返事を頂けるのなら、次回の授業のあとにしてもらえるとうれしいです。これで終わってくれても全然構いません。いまは渡辺直己さんの課題に集中したいんです。何しろ成長をお見せしないといけない。不安とも戯れる姿をお見せしたいと思ってますよ。次回また感想書いてください。よろしくお願いします。(おわり)




フリッパーズの数ある名曲の中から池澤夏樹スティル・ライフ』が使われた『奈落のクイズマスター』を。