ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

映画『未来のミライ』は問題作である。

きのう神戸国際会館での山下達郎ライブに行ってました。キャンセル待ちに応募したら当たったんです。最上階の最後方だったけど。音楽のことはまた別に書きますが、それより先に映画『未来のミライ』について書きます。達郎さんが怒ってられたんです。ネットの評論家気取りがまったくわかってないと。



私も酷評めいたことを書きました。でも、もう少しちゃんと書くべきだったと反省してます。家族の物語とは別のことも描かれていたから。この4歳の主人公くんちゃんが何かと泣き叫んでるんですよね。それをきっかけに時間移動したりする。これをネット民と観ることもできる・・・そう思ったんです。自分の思い通りにならないとぎゃーぎゃーわめく。その行き着く先は暗闇に向かって走る列車。実はこの映画を観た次の日、金沢の本屋さんである本を買いました。



中島岳志著『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』です。私が買ったのは2011年に出版された本の文庫版。この本は読まないといけないと思ってたのですが、これまでは・・・避けてたのかな。でも買った日に一気に読みました。そのあと寝れなくて、次の日は観光せずに京都に帰りました。暑さで倒れそうだった。


加藤のした無差別殺人は許されることではありません。当然です。でもどこかで共感してしまいそうになる自分がいる。当時もそのことが嫌でこの事件についてあまり考えなかったように思います。よく言われるように、この事件はその後に起こるテロの先駆として記憶されます。金融街や大使館など政治的にシンボリックな場所で行われるテロではなく、ロックコンサートやサッカー場など、みんなが楽しんでる場所で行われるテロです。


つまり加藤のこの事件は彼個人だけの問題ではないということです。映画『未来のミライ』でくんちゃんは泣き叫んだあと別の世界に入り込みます。ネット空間を居場所にする私たちのように。でも「ネタがベタになる」や「アイロニカルな没入」という言葉のように、人の気持ちも考えず罵詈雑言を書き込んでばかりいると、いつの間にか自分が闇の世界に行ってしまう。そういう警告に見えなくもありませんでした。しかし本当にそのメッセージは届くのでしょうか?


正直、私には突き放しただけに見えたんです。ネガティブなメッセージしか受け取れなかった。お前らはガキだ、お前らはクズだ。その通りかもしれないけど。細田守監督の問題提起に対してリスペクトがなかったことは反省しますが、映画が目指そうとしたことが達成されているのか? それは疑問に思うんです。