ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

小山田圭吾インタビューを読んで思い出す。音を見る方法。

 

 

旅先で小山田圭吾さんのインタビューを読みました。そこで2001年に発売された『Point』あたりから「空間と時間という軸の中に、音をどう配置していくか」を意識して作品をつくるようになったと発言されています。確かに『Point』はそういう音ですよね。このインタビューを読んであることを思い出しました。

 

小山田圭吾が振り返る30年。「あたらしい」を模索して動く(GINZA)

https://ginzamag.com/interview/keigo_oyamada_2/

小山田: 『Point』くらいから、僕独自の音の組み方なんかが見えてきて、サウンドデザインというか、空間と時間という軸の中に、音をどう配置していくかみたいなことを意識して、作品をつくるようになったんですよ。あとは『Point』の1作前、『FANTASMA』(1997年リリースの3rdアルバム)で、映像という表現方法を取り入れたのも大きかった。』

 

 

ずっと考えていたんです。どうすれば音が観えるようになるか? 私は以前、これからのミュージシャンは音が観えるようでなければダメだと書きました。それは頭で聴く音楽。デザインされたサウンド。両方あるんですよ。身体で聴く音楽もある。どちらがいいという話ではない。よりあたらしいのが頭で聴く音楽です。音を聴いたらその音が頭の中のイメージに変換される。それには訓練が必要です。

 

いいヘッドフォンで聴きたいと言う人は身体で聴いている方だと思います。耳で聴いてる。でも私は JVC の5000円ほどのイヤホンで十分です。iPhone SE とそのイヤホンで大抵は聴いています。聴いた音が頭の空間の中でどのように配置されているか? それが綺麗に配置されてると感じればいい音。濁っているように見えれば悪い音です。

 

実はそれをできるようになったのは、小山田さんの90年代中頃のインタビューでの発言がきっかけの一つだと思い出しました。どこのインタビューかは覚えていません。でもレコードをたくさん買ってきて、イントロの数秒を聴けば、その曲がいいか悪いか判断できると話されていたんです。なるほどと思いました。私もそれができるようになりたいと思ったんです。

 

 

当時、レコードやCDを買うのは大変でした。だっていろんなジャンルを聴きたいわけです。アイドルも聴きたい。USチャートの音楽、ラップも、テクノも、UKロックも聴きたい。アルバム3000円とかするのをそうそう買ってもいられない。でどうなるかと言うと、買ったヤツを何度も聴くことになる。買った以上は外れたと思っても何度も聴く。どこかしらいいところがあるはずだと。それも訓練にはなりました。

 

小山田さんもそうですが、渋谷系の人たちや HIPHOPのDJ たちは、私たちの知らない素晴らしい音楽をたくさん知っていました。いいか悪いかの判断が異様に早いのです。私も訓練しました。有線で流れてくる曲をいいか悪いか判断するw 立ち読みしててもいい音楽が流れたらすぐに反応する。一瞬で判断できるようになるんです。記憶に残ってるのはスピッツの『ロビンソン』を初めて聴いたとき。柏に行ったときカフェで聴きました。イントロを聴いただけで、友人との会話を中断し、その音でミリオンだと判断しました。

 

ハノイにいる頃からずっとチャートのチェックをしています。特に K-POPのチェックを始めたのが大きかった。K-POPと言っても全てがいい音ではありません。当時はまだ J-POPよりも K-POPの方が進んでいると認められずにいたので、音の判断も慎重にやっていたはずです。でも SUPER JUNIOR『Mr. Simple』あたりから、完全に負けを受け入れました。とにかく今もチャートのチェックはしています。素振りみたいな感じです。毎週毎週あたらしい曲を数秒聴いただけで判断して行くのです。もちろん気になったら長く聴きます。でも大概は数秒で判断します。

 

 

それをしていると、だんだん頭の中で音がイメージできるようになります。耳で判断していない。頭に浮かんだイメージで判断しています。こういう貼り付けたMVでもいい音のものは透明な海のように透き通って見えたり、逆に浮き上がって見えたりもします。映像も立体的に感じるのです。一番上の動画なんてすごくいい音でしょ?