ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

ファンがアイドルに「禁欲」を求める理由。

 

相変わらず芸能人の不倫が話題になっています。本当にどうでもいい。どうでもいいことではあるけれども、テレビの視聴者が芸能人に「禁欲」を求める理由を考えているうちに、私が考えていたテーマと重なる部分があることに気付きました。

 

1月に京都での文学フリマでアニメ映画やキリンジの作品を分析する文章を発表しました。その中で「貪るな」というテーマが出てきたのです。アニメ作品にしても、音楽作品にしても、膨大な数の作品が生まれ、それら一つ一つの作品の価値が以前よりも小さくなっている。消費者側からすれば NETFLIXAmazonプライムなどで好きなだけ作品を観ることができる。その一方で、視聴者の一つの作品に対する思い入れは減少する。欲望のままに行動することで作品への愛情が失われているのではないか? そんなメッセージをいくつかの作品から受け取ったわけです。

 

社会学者の宮台真司さんがダースレイダーとの番組で、「宗教の役割の一つとして、倫理を保存する役割がある」と言われていました。「貪るな」はまさに仏教的な戒律としてあるでしょう。高度資本主義が、できるだけ安く、できるだけ便利なシステムを生み出して行く。欲望を解放する方に時代は進む。しかし、欲望に溺れることで不幸になることも多々ある。その中で、大衆の無意識の中に、他者の「禁欲」を求める欲望が生まれているのではないか?

 

 

アイドルのファンが、アイドルに禁欲的であることを要求するのも不思議でした。恋愛うんぬんの話はここでは置いておきます。それ以外でもありますよね? ハロプロであれば「太るな!」と掲示板に書いてるファンがいます。もしかしたら数人が書いてるだけかもしれない。でもアイドルがストイックであることを求められている気はします。

 

お金さえあれば、どんな快楽も手に入る世の中。そのような状況の中で、自分では行うことが難しい「禁欲」をアイドルに求める。そんな「禁欲」を消費する状況があるのではないか? 「アイドルなんだから」と言うけど、単にそういう欲望があるだけだと思ったわけです。こんなことを書いてしまうと、人気を得るためにアイドルに「禁欲」を強いる状況が強化されそうですが。まあアイドルは自分に対する褒め言葉は自分のものにしたらいいけど、ディスりに関してはハロプロ全体に向けられたものだくらいに考えたらいいと思うんです。気にするなってことです。