ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

ユリイカ増刊「大林宣彦」を見た。

 

 

買ってあったユリイカのまるごと大林宣彦特集をざっと読みました。充実の1冊です。大林ファンは買った方がいいですよ。面白い。特に渡邊大輔さん、石岡良治さんの文章はしっかり読まないとな。一方で、太田省一はまた場当たり的な文章を書いています。最後の2ブロックを抜粋しとく。もっと酷い箇所もあるので読みたい人はユリイカで。

 

少女たちを食べる家の正体、それは家の主である南田洋子であった。彼女は戦争で失った恋人を忘れられず、その恋人を待ち続けるため少女たちの若さを吸い取ろうとしたのである。すなわち、ここでの南田洋子は、時の流れを超越し、永遠の若さを手に入れようとする。そしてその根底には、戦争に対する割り切れない思いと憎しみが渦巻いている。

そこにはすでに、大林宣彦が描き続けた反時代的アイドルの存在理由が寓意的に明らかにされている。そうとらえるならば、ここまでみてきたアイドルたちはみな、この『HOUSE/ハウス』における南田洋子の変奏にすぎないと言えるに違いない。

 

絶対に大林作品を見て来なかったヤツの文章。他の雑誌の特集を読んで、いわゆるアイドル関連しか見なかったんでしょう。町山智浩さんが『映画秘宝』で書いてた、大林作品はホラーじゃない幽霊映画という指摘は面白かったけど。

 

尾道三部作以降の大林宣彦監督が「アイドル映画の巨匠」と言われるのは、私も当然だと思います。でも、例えば町山さんが言う「大林監督はロリコン」みたいなのは、少し違うと思っていまして。大林映画には、監督の少年時代の分身的存在、尾道三部作など度々登場する尾美としのりのように、童貞少年の視点があります。そのフィルターを通して映し出された少女、主演女優が輝いている。それが「アイドル映画の巨匠」という呼び名に繋がったのでしょう。そして、童貞マインドを持つ人々にとって、大林監督は永遠のアイドルなのです。

 

私が好きな『花筐』は、童貞の榊山俊彦(窪塚俊介)が主役でいたから、わかりやすくヒロインの美那(矢作穂香)も美しく輝いていた。でも最後の『海辺の映画館』は、探しても大林監督がいない。それがとっ散らかった印象になった原因だと思います。移動演劇桜隊の隊長・丸山定夫が大林監督だったのかも。若いもんに後は任す的な感じだったので。そう言えば、Amazonプライムで、大林監督作品、いろいろ観れます。私もこの前『さびしんぼう』と『花筐』を観ました。『花筐』やっぱり面白いわ。卵の殻でワインを飲むシーン最高。最初観たとき吹き出した。