木村拓哉 主演ドラマ『月の恋人〜Moon Lovers〜』の解読本を電子書籍で本日発売しました。私がいままでここで書いて来たことの集大成です。「はじめに」の全文を掲載しておきます。読んでください。ご意見、ご感想、ありましたら遠慮なく言ってください。よろしくお願いします。次の作品は、もちろん 嵐 松本潤 主演ドラマ『夏の恋は虹色に輝く』編です。きょうから DVD を見ます。
◉ 月9ドラマ『月の恋人』徹底解説(ブログのパブー)
〜このドラマは木村拓哉とフジテレビのラブストーリーだった〜
http://p.booklog.jp/book/12196
はじめに 木村拓哉 をなめんなよ!
この本は 木村拓哉 が主演した10年振りのラブストーリー『月の恋人〜Moon Lovers〜』(フジテレビ系)の解読本です。なぜ、月9ドラマ『月の恋人』に解読本が必要なのでしょう? それはこのドラマに裏ストーリーが存在するからです。裏ストーリーとはどのようなものか? 簡単に言えば、木村拓哉の「これまで」と「これから」を語ったものです。すぐには裏ストーリーの存在を信じてもらえないかもしれないですね。でも、裏ストーリーがわかれば、下の5つの質問にも簡単に解答することができます。あなたはわかるでしょうか?
◉ 蓮介(木村拓哉)はなぜ「社長」と呼ばれるのを嫌うのか?
◉ 人気モデルの柚月(北川景子)はなぜ蓮介を出待ちするのか?
◉ なぜ、蓮介だけがモテモテなのか?
◉ 会社を追い出された蓮介はなぜ風見(松田翔太)を恨まないのか?
◉ 蓮介はなぜシュウメイ(リン・チーリン)ではなく真絵美(篠原涼子)を選んだのか?
上の5つの質問には はっきりとした解答があります。それは本書を読んでいただければ、すっきりとわかってもらえる話です。
私は SMAP のファンです。ですから SMAP に関するネガティブな記事を読む度に、苛立ちを覚えてきました。どうして、日本には「リスペクト」という概念がないのでしょうか? 10年以上もトップで居続けた彼らに対して、誹謗中傷のような文章ばかり目立つのはおかしいと思うのです。
ドラマ『月の恋人』に関してもそうでした。でも、安心してください。メディアで書いている人たちは、このドラマを理解することができなかった人たちです。ですから、「ルックスの衰え」だの「視聴率が落ちて来た」だのと、ストーリーに関係のない話を書き散らかしているのです。作品ではなく世間の空気だけを読んでいるのでしょう。こんなのは批評でもなんでもありません。中でも代表的なのは ドラマ評論家を名乗るこの方でしょう。
◉「月の恋人」に脱力 キムタク神話は月より早く欠けた(ドラマ評論家 今井舞)
『鳴り物入りで登場させたヒロインの台湾人女優・リン・チーリン。(中略)ヒロインとの恋愛模様に感情移入できない分、キムタクに想いを寄せる準ヒロインを他に二人も用意するという禁じ手が。子供っぽく彼を追いかけ回すワガママなお嬢様役の北川景子と、昔から彼が好きだが、素直になれないアネゴ肌の女友達・篠原涼子。ピュアでまっすぐなヒロイン、リン・チーリンと三人合わせて、登場人物も視聴者も「女はみんなキムタクに夢中!」という前提ありきで作られた話なので、あらゆるエピソードが雑でユルい。群像劇につきものの愛情の交錯もなく、最初っから最後まで、すべての愛がキムタク一人に集中。』(週刊文春2010年7月15日号)
やっちゃいました。ヒロインもわからなかったこの人がドラマ評論家ですよw まあ、最終回までヒロインをわからないようにしたのは、フジテレビの最初の計画からあったことなので、製作陣の思惑通りでしょう。今井舞さん、最後まで見ないで書くのはマズいでしょう。粗さがしばっかりしてないで、次からは ちゃんとストーリーも追いましょうね。真面目に作品を作ってる人たちの迷惑になりますから。
◉ 月の恋人〜Moon Lovers〜(はて☆なりま/ドラマ評論家 成馬零一)
http://d.hatena.ne.jp/narima01/20100715/1279158124
『良いとか悪いとか以前の終わり方だった。蓮介とその他の人との関係がまったく成立していないから、何がおきても「何で?」って感じで最後までいってしまった。とりあえず 木村拓哉 が演じてるんだから蓮介はカリスマ的人物で、だから誰からも愛されるって前提を打ち出しすぎてるせいで、すごくおかしな話になってしまった。』
この成馬零一さんは嵐のドラマを中心にして書籍を出されているドラマ評論家の方です。ドラマをしっかりと見た上で書かれたことなので、これはフジテレビ側も真摯に受けとめるべきでしょう。しかし、この方にしても木村拓哉のことを軽く見過ぎているのではないでしょうか? なぜ、そんなおかしな話になったのかを考察した文章は ここにありません。もちろん、成馬さんの「何で?」に答えることが、この本の仕事だと思っていますけど。
ドラマ『月の恋人』は、チャレンジを好む 木村拓哉 にふさわしい、今までにない作品でした。それを本書で証明したいと思います。彼はほとんどの視聴者に気づかれずに新しい領域に踏み出していました。この企画を実現したフジテレビのドラマ製作陣と、それを受け入れた木村拓哉に拍手を送りたいと思います。そして、このドラマをよく見もしないで酷評してきた評論家、ライター諸氏には、反省と謝罪、もしくは退場を求めたいと思います。
さて、チャレンジと私が言ったのはどのようなことか? 少しだけ説明しておきましょう。ドラマ『月の恋人』が始まった当初、展開が唐突で感情移入できないという感想もネットでは目立ちました。たしかに初回からリン・チーリン演じるシュウメイに、木村拓哉は「お前が欲しい!」と言いましたもんね。視聴者がシュウメイに感情移入する前にこのような口説きがあったので、違和感を持った人が多かったのでしょう。普通のラブストーリーならあり得ません。しかし、実話を元にストーリーを組み立てていたからこうなったのです。主要な出演者は、それぞれ別の事物を象徴しているのです。以下のような感じです。
◉ 葉月蓮介(木村拓哉) → そのまま木村拓哉
◉ 蔡 風見(松田翔太) → 事務所の後輩グループ 嵐
◉ シュウメイ(リン・チーリン) → 映画
◉ 二宮真絵美(篠原涼子) → フジテレビ
◉ 大貫柚月(北川景子) → 小学校6年生で木村拓哉のファンになった YOU だよ!
◉ 大貫源照、マストポール社長(長塚京三) → 日テレ
◉ レゴリス → ジャニーズ事務所
◉ 家具業界 → 芸能界、放送業界
◉ 家具 → テレビ番組
◉ イス → ドラマ
◉ 豚丼 → ???
そして、裏ストーリーのテーマはずばり「 SMAP から 嵐 へ」というジャニーズ事務所の現在の状況を語ったものでした。木村拓哉 は初主演作『ロングバケーション』(フジテレビ、1996年)で名実ともに人気 No.1タレントとなり、そこから快進撃をつづけてきました。しかし、それから15年が経ち、ついに世代交代の時期がやってきたというものです。ドラマにでてきた出来事のほとんどは現実に起こったことを、家具業界に置き換えたものになっています。みなさんは気づかれたでしょうか?
誤解しないでくださいね。私は SMAP がトップから転落したと言いたいわけではありません。ジャニーズの戦略上、看板を据え替えたと言っているのです。いま、嵐がジャニーズの看板タレントであるとしても、SMAP の価値が損なわれたとは思いません。そもそも SMAP なしには 嵐も存在しなかったのです。本当です。そのあたりは2章の「そもそも嵐を生んだのは木村拓哉だ」で詳しく説明します。
著者は『ハノイの日本人』というブログで毎日のようにジャニーズについての文章を書いています。そこで2008 年の国立競技場での 嵐 のライブを境に、ジャニーズの看板タレントが1991年以来、17年振りに交代したと書きました。もちろん、SMAP から嵐 にです。国立競技場でライブをできるのは、年間1組だけなのです。それを頭に入れてドラマ『月の恋人』を見ると、まったく別のストーリーが浮かび上がってきたのでした。
ドラマ『月の恋人』は、木村拓哉 がスターになり、そして、ピークを越えたいま どのような心境でいるかが語られた半分ノンフィクションのドラマだったわけです。恐らく、演出をした 西谷弘 は 木村拓哉 本人にインタビューをしているはずです。そして、その内容をそのまま脚本に落とし込んでいるのでしょう。ですから、ドラマでの 木村拓哉 のセリフはほとんどすべてが興味深いものになっています。特に最終回のセリフは感動的です。それは現在の彼が心境を率直に語っているからでしょう。そのことをファンにはぜひ知っていただきたいのです。
ひとつだけ証拠をあげておきましょう。蓮介は社長であるにも関わらず「社長」と呼ばれるのが嫌だという設定になっています。どこかで聞いたことがありますよね? 「キムタク」と呼ばれることを嫌がっていた人がいました! いかがですか? 最近のジャニーズの状況も語りつつ『月の恋人』を解説して行きましょう。