ハノイの日本人

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嵐 はいま、どこを歩いているのか?

この前、嵐 のシングルが印象に残らないって文章を書きました。もう少し詳しく説明しようと思います。嵐 のファンは嫌がるかもしれないですけど、SMAP のシングル曲を例に話しますね。嵐『 Love Rainbow 』の下敷きになった曲、SMAP『はじめての夏』です。1993年6月というSMAP ブレイク前の作品になっています。『はじめての夏』は作詞:森浩美、作曲:馬飼野康二、編曲:長岡成貢です。



Love Rainbow 』は 松本潤主演ドラマ『夏の恋は虹色に輝く』の主題歌でした。そして、そのドラマの裏テーマは 木村拓哉のファンを 松潤 が口説くというものでした。「月9」ヒーローの交代劇だったわけです。ヒロインは 木村拓哉主演ドラマ『プライド』のヒロイン 竹内結子でした。なので、そのような前提もあって『はじめての夏』を下敷きに歌詞を書くということがされたのでしょう。『 Love Rainbow 』は作詞、furaha、Octobar、作曲:iiiSAK、Dyce Taylor、編曲:ha-j です。


  ♪ 僕は特別な恋なんて 望んでなんかいないよ 
    君の涙を指でぬぐえる そんな距離にいつもいたい
    空は晴れて 夏がやってくる            (はじめての夏)

  
  ♪ 永遠を 探しに 行こうなんて 言わない
    明日も ずっとその先も 君といたいだけ       (Love Rainbow


『はじめての夏』は私の大好きな曲です。特にこの1行「僕は特別な恋なんて望んでなんかいないよ」にはやられました。童貞の自意識を見事に切り取った歌詞だからです。女子にはわかりにくいかもしれませんが、ある程度の年齢になった童貞男子にとっての恋愛は、セックスを絡めた結構面倒な問題となってしまうのです。


女子からしたら「特別な恋って?」くらいのもんかもしれませんが、童貞男子はやけに上がってしまったハードルを見上げ「いや、僕がしたいのは普通の恋だ。難しいわけがない」と自分に言い聞かせる必要があるのです。森浩美さんは女子だけのアイドルにするのではなく、SMAP を男子からも愛される存在にしたかったのでしょう。SMAP にはそういうフックがたくさん用意されていました。


「そんなのはお前が勝手に思ってるだけだ!」。そうかもしれません。でも、SMAP にはそういう勘違いをさせるような歌詞が用意されていたわけです。それがフックなんですよ。一方『 Love Rainbow 』の歌詞を見ても、「僕」や「君」のイメージはまったく湧いてきません。ファンの人たちは『「僕」=嵐、「君」=私に決まってるでしょ!』って言うかもしれないですね。そうなんでしょう。脳内で勝手に補完してくれるファンに向けてだけ歌われいるわけです。これ以上の広がりがない。


『はじめての夏』は SMAP がブレイクする直前の曲です。まさに「空は晴れて夏がやってくる!」という状況だったのです。嵐 で言えば『 We can make it! 』がそういう歌ではないでしょうか? 嵐 だって過去にはそういう状況にあわせた曲が用意されていたのです。だから、今の 嵐 のために書かれた歌詞がないと言ってるんです。
 

まあ、SMAP は J-POP に才能が集結していた状況を背景にして名曲をつくっていました。渋谷系などの成果を引用して SMAP の楽曲はつくられていました。いまのお寒い J-POP シーンとは違ったわけです。そうであるなら、どこのシーンが元気なのか? そのエネルギーを取り入れるにはどうしたらいいのか? もしかしたら、音楽ではないかもしれない。スタッフの方々にはもっとアンテナをのばしてほしいと思うわけです。