ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

チェルフィッシュ『三月5日間』リクリエーション感想。

大失敗しました。会場の京都ロームシアターはなんとか家から歩いていける距離なんです。30分くらいかな。バスに乗るつもりではあったんですけど、その前にランチを取ることにしました。自然食系のカフェに入って小麦を使ってない美味しい食事をいただいたんです。そこのお茶がマズかった。麦茶じゃないから大丈夫と思ったんですけど、どうやら麦も使われたお茶だったようです。麦がキマってる状態で観たので劇中少し寝てしまった。テンポを落として話す場面があって、ラブホで寝てるシーンとか、催眠術にかかってるみたいにそこだけ寝てしまったり。気持ちよかったけど。帰ってから爆睡した。


この劇の舞台になった2003年3月のことは割とはっきり思い出せる。ちょうどラジオNIKKEI で働き出した月だったので。家からは丸ノ内線赤坂見附まで行って、そこから銀座線で溜池山王まで。駅に着いて地上に上がり、交差点を渡って少し歩くとアメリカ大使館が見えてくる。その前の古いビルの5階に職場はありました。ビルの前には戦争を阻止しようと拡声器で声をだす集団が毎日確認できました。知り合いにも会ったな。


当時の私は戦争について、かなり変な角度から観ていたんです。ある意味本質に近いのか。要するに「戦争でどの株が上がるのか?」です。有事の円買いで決算はどうなるのか? 金や石油の高騰で影響を受ける企業はどこか? 結構必死で勉強しました。グリーンスパンの自伝を読んだりもしたな。まだそれほど IT化は進んでいなかったけど、東京の各駅前では Yahoo!BBの無料モデムが配られてて、それが日常的な光景になってました。そして、私は夏前にホリエモンを見つけ、株狂いの男に変貌していったんです。



チェルフィッシュ『三月5日間』リクリエーションを今観ることは、どういう意味があるんでしょう? たった14年前に制作された作品。でも全く違う時代になってることを感じました。象徴的なのは1日目が六本木のライブハウスでカナダのロックバンドを観たところから始まってることですよね。2015年にあったイーグル・オブ・デスメタルのパリでのライブが同時多発テロの標的にされ、130人とも言われる人々が亡くなりました。ブッシュ時代の湾岸戦争や、9・11、そしてブッシュ・ジュニアのアフガン攻撃、イラク戦争。当時はテレビゲームでも観るように戦争が報道されると言われてましたが、今では戦場が世界に拡散されています。


サウンドデモ、反原発デモから、SEALDsへ──ラッパーECDが語る「デモの新しい可能性」(リテラ)
http://lite-ra.com/2016/03/post-2069.html
『「言うこと聞かせる番だ俺たちが」──SEALDsのシュプレヒコールとして一躍有名になったこのフレーズ。昨年夏、国会前の熱狂を伝える報道で人々がこの言葉を叫ぶ姿を見たことがある方も多いだろう。実はこの「言うこと聞かせる番だ俺たちが」というフレーズは元々、ミュージシャンのECDが2012年、ラッパー・田我流の楽曲「Straight Outta 138 feat. ECD」にゲスト参加した際、ラップした歌詞の一部だった。それをSEALDs の前身であるSASPLのメンバーが引用し、定番のシュプレヒコールとして定着したものだ。しかし、ECDが影響を与えたのは、SEALDsだけではない。サウンドデモ、反原発デモなど、2000年代以降、日本に生まれた新しいかたちのデモに、深くかかわってきた』




日本も変化が観られます。ウーマンラッシュアワーの村本さんが憲法9条を語ったり、石原さとみ主演のドラマ『アンナチュラル』では法医解剖医が主人公だったりします。「法医学は未来のための学問」なんてセリフが登場してました。憲法とは国民から国家(統治権力)への命令で、法律は国家から国民への命令ですね。AbemaTV で宮台さんが村本さんに語った憲法9条についての解説を文字化しておきます。


7:00あたりから
宮台:(前略)今、近代国家がどれだけのものかが問われている訳。それはトランプが示している問題だし、あるいはBrexit が示してる問題な訳だ。その話は面倒くさいから横に置くけども。そもそも僕が素晴らしいと思ったのは、日本のお笑いはアメリカやヨーロッパと違って、人畜無害で政治に触れないんですよ。そうなってしまった理由に、80年代に消費社会化したとき。つまり、毎日を楽しく過ごしたいと言い始めたときに、政治ネタじゃ視聴率が取れないというときに、正しさから面白さにシフトしちゃったんですよ。ところが、日本以外の先進国の多くは、人々が消費社会化したのに合わせてどうしたかと言うと、正しさと面白さをいかに合体させようかで、心を砕くようになったんですよ。コメディアンやコメディ映画を作る人たちが、いかにそのなかに政治的なメッセージを入れるかに腐心してきたんですよ。(後略)(だから村本さんのチャレンジは素晴らしいと言う発言)。


18:00あたりから
宮台:(前略)自衛隊違憲なのか? 自衛隊違憲だとか言ってる奴はまだいるのか、この日本に。いるんです、実際に。この人間たちは歴史を知らないんだよ。憲法9条2項と言うのは、芦田修正を受けていて、GHQがそれを承認している訳です。で芦田修正の意味は、前項の目的を達するため、陸海空の戦力は、これを保持しないみたいなことを言ってる訳ですよ。要は自衛隊が合憲になるような修正を加えたんだよ。(中略)武力は、国際紛争を解決する手段としては放棄すると書いてあるわけね。で前項の目的を達するためと言うのは、実は国際紛争を解決するための手段としては武力を放棄すると言う意味なんです。だから自衛権は保持しますと言ってるんだよ。それが政府の理解だったし、GHQの理解だったんです。(後略)


憲法第九条
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、 国権の発動たる戦争と、
  武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
  国の交戦権は、これを認めない。


そうだ、『三月5日間』の作・演出を手がけた岡田利規さんの人気のすごさを観ました。劇が終わってアフタートークがあったんですけど、満員の会場で2人ほどしか帰らなかった。岡田さんの話にもあったけど、関東でやるのと関西でやるのでは反応が随分違うようです。東京の人たちの言葉に拒絶反応を持つ人もまだ結構いるんですよね。私も小さい頃はかなりありました。東京の笑いに関しては厳しい視線を送ると言うのもある。俳優陣には強い気持ちで頑張って欲しいですw