ハノイの日本人

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SMAP をなめんなよ! 第3回

前回、「光GENJI バブル」によって、「ガラスの少年」というテーマを消費し尽くした後、ジャニーズは、一から新しいアイドル像を作り出す必要があったと書きました。SMAP がデビュー当時売れなかったのには、そのような理由があったのです。それだけではありません。時代が求めるアイドル像も変わっていました。


83年にはチェカーズがデビューしていますし、80年代後半からはとんねるずの人気も爆発しました。そして、X、ブルーハーツユニコーンなどが登場した、バンドブームもありました。アイドルよりもクラスの人気者の延長に存在するような存在だったり、もしくは、あこがれられるような才能を持ったタレントが求められたりしたのです。そんな中ジャニーズは、SMAP は新しいアイドル像を作り出さなければなりませんでした。


デビューシングルで惨敗した後、SMAPは方向転換を迫られます。SMAP デビューから1年程の間に発売されたシングルは以下のようなものです。

1. Can't Stop-LOVING- (91年9月)
2. 正義の見方はあてにならない(91年12月)
3. 心の鏡(92年3月)
4. 負けるなBaby!〜Never give up (92年7月)
5. 笑顔のゲンキ(92年7月)
6. 雪が降ってきた(92年12月)


SMAP光GENJI の流れを受け継ぎ、「STAR LIGHT」の代わりに「きらきら星」を挿入したデビューシングル「Can't Stop-LOVING-」でデビューしました。そして、惨敗しました。2枚目のシングルでは、SMAP が出演していたバラエティ番組の流れを汲むお笑い路線で勝負しています。これは前作が売れなかったため、光GENJI からの流れを逆に断ち切る意図があったのかも知れません。そのことは次の3枚目のシングルで顕著です。SMAP の「ガラスソング」、「心の鏡」です。作詞:福島優子、作曲:筒美京平で、なかなかの佳曲です。これについては全部の歌詞を書きたいのですけど、まあ、2番のサビだけにしておきます。


◉心の鏡 歌詞
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND7174/index.html


♪ こわれた鏡ぴっかぴかに いつまでも光らせて 過去は戻らないけど未来は続くもの
  心の鏡ぴっかぴかに いつも輝いていて ため息でハート曇らせないよう〜


「心の鏡」というタイトルであるにも関わらず、「鏡」はなぜか壊れています。それなのに、ここで「鏡」が割れた理由は書かれていません。でも、「鏡」が象徴するものが「ガラス」と同じであることは言うまでもないでしょう。光GENJI が歌っていてもおかしくないような元気な曲で、「ガラス」が割れていることが歌われているのです。これはかなりショックです。ですが、「ガラス」が割れたことを前提にして、新たなスタートを宣言しているとも取れる歌詞です。


そうのなのです。未来はちゃんと続いているのです。やはり、次の年になってSMAP は大きな挑戦をしてみせました。なんと、93年の6月から関西ローカルでバラエティ番組を始めたのです。「キスした?SMAP 」です。京都生まれの私は、(♪ 飛んで飛んでの)円弘志や(後に上野千鶴子流れのフェミニズム本で知られる)遥洋子と一緒に、SMAP が深夜番組に出演しているのを不思議な気分で見たのを覚えています。たしか、6人のメンバーのうち中居正広を中心とした3人程が出演していたように思います。取りだめした歌のシーン以外、木村拓哉はたまにしか出演していなかったはずです。


それはもちろん、木村拓哉がドラマの出演でブレイクしたからでした。93年10月にスタートしたドラマ「あすなろ白書」の取手治役です。これに合わせたかのように、SMAP の楽曲自体もかっこいい路線の決定打が放たれます。そうです、SMAPファンクの名曲「$10」です。これはデビューシングルを超える20万枚以上を売り上げました。


そして、中居を中心としたバラエティ路線の流れと、木村を中心としたかっこいい路線の人気が結実したのが、SMAP 最初のNo.1ソング「Hey Hey おおきに毎度あり」です。これは40万枚以上売れています。サッカーマンガを原作とした劇場版「シュート!」の挿入歌でもありました。ちなみに、木村は久保嘉晴を演じ、「トシ、サッカー好きか?(キラッ!)」というあのセリフを吐いています。「一番人気のある者が死ぬ」というジャニーズセオリーもしっかり踏んでいます。


14枚目のシングルは、SMAP の人気を決定づけました。「がんばりましょう」(94年9月発売)です。この曲はNO.1を獲得しただけでなく、不景気下の若者の気だるい感じを切り取った歌詞もあり、時代を反映する特別な歌として記憶されました。例えば、こんな歌詞があります。「♪ Hey Hey Hey Girl  仕事だから 取りあえずがんばりましょう〜」。私も新入社員だった当時、カラオケで何度も歌いました(しかし、いまだに不景気が続いていることに驚かされますw 思えば、これは日本の経済成長が終わったことを告げる歌だったのかも知れません)。さあ、ビデオを見ながら、みんさんも拳を突き上げてジャンプしてください。マジでこれは名曲ですよ!


(あっ、これどっかで見た風景だと思ったら、国立じゃないですか。そうか、そうか)その後も「青いイナズマ」「SHAKE」「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花」などなど、その時代を思い出させるようなヒット曲を連発し、SMAP は国民的スターの座を獲得して行きます。さて、次回はいよいよ嵐についてです。


もう一発ライブ。SMAP の入場だけで5分ほど。スタジアム1周ですよ。これは凄い! この演出を考えた人も偉いけど、やはりこれを成立させるSMAP さすが! ラストには鳥肌が立ちます。続きが見たい! ハノイにいるSMAP ファンの方、連絡ください!