地図で見ると、重しのように中国がのしかかって見える東南アジアの国々。その経済的な影響力は日に日に高まっています。もちろん、喜んでばかりもいられないわけです。あの中国ですからね… でも、ビジョンの描ける国は違うなとも感じます。この前 広州 に行ったときにも滞在した 南寧(なんにん)から、ハノイを通ってシンガポールまでを結ぶ高速鉄道の計画があるそうです。なんと全長5000キロ。これは驚きました。中国がなにを考えているかが下の記事に書かれています。
◉中国が進める東南アジアの「裏庭化」(樋泉克夫)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101129-00000301-fsight-int
『中国に加えヴェトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、タイのASEAN7カ国が参加する「泛北部湾経済合作論壇」と名づけられた国際会議が動き出すこととなった。5回目となった今年の泛北部湾経済合作論壇は8月12、13日、南寧で開催されたが、それに歩調を合わせたかのように、中国鉄道部は南寧・シンガポール間の鉄道建設を積極的に推進することを表明している。中国鉄道部経済企画研究院の林仲洪副院長によれば、南寧・シンガポール線は南寧から南下し憑祥で国境を越えてハノイへ。その後はホーチミン、プノンペン、バンコク、クアラルンプールと4カ国を経由してシンガポールまでの全長5000キロ。このうち中国側新設区間は200キロ弱。ホーチミンからプノンペン経由でタイ国内線に接続する区間で整備・新設を要する距離が435キロ前後。またタインホアから枝分かれしてヴィエンチャン、バンコクを経由してシンガポールと結ぶ予定もある。以上の2路線完成後、中国側の貴州、広西、湖南、広東の各省の既存路線と接続させることで、中国南部と「中南半島(=インドシナ+東南アジア大陸部)」とを一体化させた物流ネットワークが動き出すというのだ』
『将来、タイの鉄道網が整備された暁には最高時速200キロの中国製新幹線がタイ国内を奔り、さらに中国(雲南の昆明と広西の南寧)を起点に、ラオス、タイ、マレーシアを縦断しシンガポールまでが鉄道で結ばれることになるだろう。中国は、中国の側から見て昆明から右手を、南寧から左手を伸ばし、両腕で抱え込むようにして、東南アジアの富と資源を根こそぎ掬い取ろうとしているのだ。今回の尖閣問題で露呈した菅政権の拙劣外交を目にすれば、ASEAN諸国政府が外交の軸足を中国の側に移さざるを得なくなることは十分に予測できる。10月4、5日にブリュッセルで開催されるアジア欧州会議(ASEM)は、東南アジアにおいて中国主導で進みつつある“日本はずし”を食い止めるための最初の試金石といえる。いま日本は、対ASEAN外交の再構築を逼られているのだ』