ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

ゲンロン批評再生塾の課題を書いた。

やっぱり、提出期限を守ることにしました。なんとか間に合ったので公開します。本当は佐々木敦さんの著書も引用したかったのだけど、それをやる時間はありませんでした。なんとかぎりぎり駆け込みです。あっ、ひとつ前に書いた文章が表示されなくなってるな。タイトルが似ているからか。記事一覧から読むことはできます。


◉第2回「ポスト昭和はどこにあるのか」(ゲンロン 佐々木敦 新・批評家育成サイト 講師:東浩紀
http://school.genron.co.jp/critics-papers/theme-2015/ポスト昭和はどこにあるのか/



◉ J-POPの新時代はもうそこにある。

2011年、K-POPブームの中。ジャニーズの人気タレント中居正広はバラエティ番組『SMAP×SMAP』において、少女時代の人気曲『GEE』のパロディ、昭和時代『爺爺爺』を披露した。K-POPの人気グループ少女時代はスタイルのいい20代女性9人のグループだった。だが、中居が披露したのは、ハゲヅラを冠った爺さんメイク集団のダンスだった。しかし、そのパロディは J-POPの現在の姿かもしれない。平成27年になった現在においても、J-POPは「昭和」の引力から逃れられてはいないからだ。J-POPは「爺POP」という話をしようと思う。


テレビを中心にした芸能史を語る場合において、絶対に外せない存在がある。1955年に創業した渡辺プロダクション(通称ナベプロ)だ。クレージーキャッツザ・ピーナッツ、森進一、沢田研二ドリフターズキャンディーズなどなど、テレビ放送黎明期から数々のスターを生んで来た芸能事務所だ。創業者の渡辺晋は、ヤクザが介在する興行の時代から、芸能事務所を近代化させた日本芸能界の父とも言える存在と言われている。渡辺は大学生時代にジャズ・ベースを始め、米軍相手の演奏などで腕を磨いた。そして、ジャズ・ミュージシャンの収入安定をめざし、渡辺プロをスタートさせている。


しかし、ナベプロの影響は歴史の話にとどまらない。昭和の話ではなく、現在の話をする場合においてもナベプロの存在を外すことはできないのだ。なぜなら、現在の芸能事務所2大巨頭、SMAPを生んだジャニーズ事務所も、サザンオールスターズを生んだアミューズも、ナベプロなしには誕生しえないからだ。順を追って話すことにしよう。まずはジャニーズから。


SMAP、嵐、TOKIO関ジャニ∞Kis-My-Ft2など多数の人気グループを抱え、テレビに欠かすことが出来ないとも言われるジャニーズ事務所。その最初のグループは、1962年に中高生男子4人によって結成されたグループ、ジャニーズだ。初代ジャニーズがダンスや歌唱のレッスンを行い、テレビや舞台で活躍するようになったのが渡辺プロダクション所属時のことだった。


後にジャニーズ事務所を設立するジャニー喜多川は、朝鮮戦争に従軍する形で来日した日系アメリカ人だ。芸能界に入る前は、アメリカ大使館で働いていた。そして、自分の野球チームにいた少年の中から個性の違う4人を選びジャニーズを結成。当時の芸能界を制覇していたナベプロにジャニーズのマネージメントを依頼した。そのことは結成初年度からテレビや舞台に出演することを可能にした。ジャニーはマネージメントの基礎をナベプロ渡辺晋から学んだのだ。


一方、国民的と呼べる唯一のロックバンド、サザンオールスターズを筆頭に、福山雅治Perfumeなど、スタジアムクラスのライブを開催する人気タレントを抱えるのがアミューズだ。アミューズの創業者・大里洋吉は1969年にナベプロに入社、芸能界でのキャリアをスタートさせた。ザ・ピーナッツザ・ワイルドワンズなどのマネジャーもしたようだが、業界で知られるようになるのはキャンディーズの担当になってからだ。既にナベプロを退社していたが、キャンディーズの解散コンサートにおいて総合演出も務めている。(ZAKZAK2008/04/03)


アミューズ主力タレントの特色は、アイドルとアーチストの中間に位置するタレントと言っていいだろう。それは福山雅治Perfumeを観てもらえればわかるはずだ。そして、その路線の起源は、やはりナベプロのタレント、沢田研二キャンディーズのようなスターたちだった。もちろん、サザンオールスターズ桑田佳祐クレージーキャッツからの影響を隠さないのもアミューズの起源にナベプロがあるからだろう。アミューズには、ナベプロとの繋がりが現在にも色濃くある。


では、ジャニーズにもその影響は残っているだろうか? 実はアミューズ以上に直接的な影響を示す存在がある。中居正広が所属するグループSMAPだ。「平成のクレージーキャッツ」。これはジャニー社長がSMAPデビュー前にテレビ局に売り込んだときに使われたキャッチフレーズだ。SMAPのコンセプトは「笑い」も「音楽」もできる人々だった。


1991年にCDデビューしたSMAPは、当初まったく売れなかったが、ドラマやバラエティ出演に活路を見出し、1994年にブレイクする。そして、その成功が基で、ジャニーズは芸能界一の事務所となった。現在に至るまでSMAPの成功モデルを転用して人気グループを生み続けている。


つまり、渡辺晋亡き後(実際には1987年死去)、ナベプロからキャリアをスタートさせた2人が芸能界の覇権争いをしている。それが80年代以降の芸能界の大まかな構図なのだ。しかし、昭和が終わって既に27年が経過した。ジャニー喜多川は既に83歳。大里洋吉もじきに70歳だ。もう「爺POP」の意味がわかってもらえたのではないだろうか?


さて、ここから本題に入る。私が立てたテーマは「J-POPの新時代はもうそこにある」だ。「爺POP」はもちろんジョークではあるが、ジャニーズ、アミューズを超えて行かなければ未来はないというのは本心でもある。もちろん、ジャニーズやアミューズ自身がこれまでの枠を超えたアーチストを生み出す可能性もあるはずだ。だけども、それらの影響を受けていない国民的人気グループが、そろそろ生まれてもいい頃ではないか? いや、もしかしたら既に生まれているのではないか? どうだろう? 近い将来、そういう存在になりそうなタレント、グループがあるのかな・・・・(おわり)