ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

2010年代の音。文字起こし。

 

NEUE TANZ

NEUE TANZ

 

 

テイ・トウワが選曲して、砂原良徳がマスタリングをしたYMO『NEUE TANZ』が素晴らしかったという話のあと、2010年代の音の話になる。長くなるけど二人がゲストに登場した『DAISY HOLIDAY! 』頑張って文字化しますよ。

 

細野:(『CAMOFLAGE』を聴いて)いい音だよ。今までで一番いい音だよね。

砂原:でも、一番新しいんでそうでなきゃ困る(笑)。

細野:でも大事なことがここにはあるんだよ。つまり・・・僕いま、リメイクをしてるわけ。1973年のデビューソロをそのまんま、曲をリメイクしてる。一人でやってるわけ。

砂原:73年と言うと何でしょうね。調べてくださいね。自分で(笑)。

細野:デビュー作だから。言ってもいいんだよ別に(笑)。『HOSONO HOUSE』ってアルバムで(笑)。本当に若気の至りの・・・

砂原:いやいやいやいや。

細野:そうなんだよ。最初のだからね。で、一人でやるって言って、ここに、スタジオに籠ってやりだしたら、機材が全部古いんだよ。ずっとここ10年生でやってたじゃん。

砂原:そうですね。

細野:で久しぶりに打ち込み。(笑いながら)大好きだった打ち込み。ところが音が出てこないわけ。

砂原:出てこないと言うのは?

細野:前に出てこない。

テイ:ああ。

砂原:わかりますね。

細野:わかるでしょ。古すぎて。この10年くらいで音楽が変わってきたじゃん。

砂原:ずーっと変わってますよね。結局。

細野:ずーっと変わってる。だからね、50年代の音、60年代の音ってあるじゃん? やっぱり2010年代の音って出来たね。

砂原:あるんですよ。

細野:あるね。そこら辺の話をしたかったんですけど。とにかく悶々としてたの。もっと喋っていい?

砂原、テイ:どうぞ。

細野:2000年代の初期の頃に、車でよくFMを聴いてたんだけど。その頃の音楽が変わってきてるわけよ。低域が違うんだよね。

砂原:はいはい。

細野:それはクワイエット・ストームって流れだったわけ。アメリカのFM放送の連中がやりだした。この音どうやって作るんだろうと思ってたわけよ。低域出てないのに倍音が出てるんだよ。

砂原:ああ、わかりますね。

細野:わかる?

砂原:気配がしますよね。

細野:そう!気配がするんだよ。これが謎だったわけ。ずーっと。誰に聴いてもわかんないんだよ。でエンジニアたちに「君たちアメリカ行って勉強してきてくれ」って言ったんだけど、誰も行かないし(笑)。それで悶々としたまま忘れてたんだよ。

砂原:はい。

細野:生の方に没頭しちゃったから。今回またやり始めて、またそこに戻っちゃったんだよね。(中略)で、歴史を辿って行ったんだよね。NEW JACK SWINGまで聴いて。

砂原:あら!

細野:全然聴いてなかったんだ、僕。テディー・ライリーなんて知らなかった。

 

 

 

テイ:でも、聴かれてたんじゃないですか?

細野:聴いてたよ。もの凄い好きだったんだよ。ただ誰がやってるか知らなかった。マイケル・ジャクソンのいいやつもね。『DANGEROUS』もよかったし。The Neptunesも好きだし。おやっ!と思う人たちはみんなその系統の人たちで。でも自分でやろうと思わなかったんだよ。生でBOOGIEやってると、そっちには行かない。

テイ:そうですね。いらないですね。

細野:でも今回は、そうは行かなかったわけね。それで二人を呼んだの。

 

 

 

細野:テイくんはどうなってるの?

テイ:結構、おんなじの使ってるのもあるし。僕がもらって、まりんにもあげてくださいって言ったのもあるし。

砂原:はい、はい。

細野:なんだろ?それは。ソフトウェアね。

砂原:あとは数年前 META FIVE とかでずーっと一緒でしたから。割といろんなことを共有して。

細野:そうだね。そういうのが大事だよな。僕、一人だったから(笑)。

テイ:でもBOOGIEはうちら出来ないからね。

細野:BOOGIEも今の音響のスタイルでやりたくなってきてるんだよね。生も、ジョー・ヘンリーという人がいて、この人がまた凄いんだ。

 

 

細野:で、何聴いても今凄いんだよね。ポップ・ミュージックは凄い音じゃん。そう思うんだよ。

砂原:どういう風に凄い?

細野:音が進化してるって言うか。

砂原:そうですね。音にかつてなかったような考え方と言うか、スピード、音の速さとか・・・あまり言ってなかった。

細野:そう、そう。

砂原:速いねとか、遅いねとか。

細野:なんか次元が変わったじゃん? そんな感じがするんだよね。それを僕はずっと葛藤してて、何を聴いても凄いと思っちゃった。モーニング娘。のミックス聴いて「負けた!」って思ったわけ(笑)。

砂原:誰がやってるんだろ?

細野:クレジットないからね。

砂原:そうなんだ。

細野:ゲームオタクたち何だろうか? よくわかんないんだよね(笑)。知らずにやってる。ゲームの世界だとあるかもしれない。

 

 

 

(注意!)細野さん、失礼ですよ! ハロプロは当然わかってます(笑)。でも生歌でライブをやることが信条なので、ボーカルをどう乗せるかは苦労してると思うんです。K-POPほどには割り切ってない。

 

細野:あと、映画の音もいいじゃん。

砂原、テイ:そうですね。

細野:あれと共通した何かがあるでしょ。そういうシステムって言うかね、みんなマニュアルって言うか、ルーティンがあって、簡単にやってるんだろうって思ってたの。1年くらい前からずっとそう思ってたんだけど。例えば、この前、冨田ラボっていうのを聴いて。

砂原:はい、はい、はい。

細野:びっくりしちゃったんだよ(笑)。

テイ:本当ですか?

細野:(笑いながら)あっ、ダメか?

テイ:いえいえ、細野さんとかを尊敬してる人だと。

砂原:僕、自分のマネージャーとの間で、最近、その話題が出てました。

細野:本当?

砂原:はい。面白い。ちゃんと、わかってるよねって。

 

 

砂原:新しいヤツと1個前くらいだっけ?

細野:新しいヤツをたまたま聴いたんだ。それがテイくんだったら、それでもいいんだけど、出してないからね(笑)。この音作りは異次元だなと思って。モーニング娘。聴いたら、やっぱりすげーなと思って(一同笑い)。それから米津玄師を昨日聴いたんだ。これもよかったね。

テイ:全然わからないんだ。聴いてる?

砂原:いえ。

細野:2年前のと今とは音が違うんだ。おんなじように変わってきてるってことに興味がある。それを僕、グローバル・サウンドと呼んでるの。グローバル化してるんだよ。

テイ:サウンド・デザインのこと。何と言うか。

細野:そう、そう。デザイン。わかる?

砂原:はい。形ありますよね。

細野:球体。

砂原:はい、はい。下の方に、この辺にキックがあって、その下に座布団みたい、お皿みたいにベースがあって。

細野:そう、そう。空間がね。

砂原:広域のパーカッションが左右にあって、これが真横にある感じが・・・

細野:真横にある。それクワイエット・ストームのときから始まってる。

砂原:そうですよね。

細野:左右の広がりすげーなと思って。

砂原:2000年以降からかな。音が近いとこにあるって言ってる人がいたと思うんですよ。近くで演奏してるかのような。で、近くに寄ったときに、昔は前の方に寄ってくるだけだったのに、今は横に左右にこう広がって行くんですよ。

テイ:ラジオじゃわかりにくいけど(笑)。

砂原:真横に、耳の方に向いていくって言うんですか。なんか形ありますよね。

テイ:お二人ともあれですよ。最終チェックを車で聴かれるじゃないですか?

細野:そう、そう。おんなじなんだ。

砂原:聴きます。

テイ:今から車で最終チェックしてきますってメールで来るもんね。

細野:おんなじだな。話が合うよな、まりん(笑)。

砂原:車はドアに空間ないですよ。完全にデットニングで。詰め物して。

細野:そこまでやってるの。

砂原:やってます。震えないようになってますね。

(細野さんがクワイエット・ストームの曲をかける)

 

 

テイ:パッドの音以外、短くて僕は好みでした。

細野:短い。わかる、わかる。

テイ:短いのしかできないんです、僕。いつも短いって言われるもんね。

砂原:テイさんはパンを振り切るときも、完全に振り切ることが多いじゃないですか。左右に。それはそういう効果出ますよね。

テイ:悩まない。

細野:悩まないんだ。いいな。

テイ:ヘッドフォンしないのと、車で音楽聴かない。

細野:(驚きながら)ヘッドフォンもしないの。

テイ:しないですね。

細野:ええー。

砂原:僕もしません。

細野:ああ、そう!

テイ:(笑いながら)違いが。

細野:ここら辺がちょっと違うよね(一同笑い)。

テイ:今、久しぶりにして、音ちょっと短いとか思って。

細野:でもこの音楽ってヘッドフォンすると、その世界が見えてくるじゃん。

テイ:うん、わかりますね。

砂原:で、自分のやったのを聴くと「うわっ、こんななんだ」と思うことの方が多いですね。

細野:それは楽しいね。(つづく)