ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

新中野 イル ヴェッキオ ムリーノ。最終回

東京の新中野にいた頃、毎週2回イタリアン・レストラン「イル ヴェッキオ ムリーノ」でおいしいランチを食べていました。前菜3種+生野菜、パスタ、デザート、コーヒー、、、これだけ盛りだくさんで1500円! しかも、前菜の3種はそれぞれ丁寧につくられた料理でしたし、コーヒーもデザートも、もちろん、メインのパスタも、田中シェフのこだわりを感じられる料理でした(そうだ! パンも毎朝、自分で焼いておられました)。
そして、それらの料理ができるまでを、田中シェフのこれまでの修行時代を振り返ってもらいながら語っていただきました。自分が食べておいしいと思った料理が、どのような技術の習得で成立しているのか? 今回、そのようなインタビューをはじめて行ったことで、おいしさにはちゃんとした理由があるのだと知りました。それを知ったことが、とてもうれしいです!
新中野 イル ヴェッキオ ムリーノ
連絡先:03−3380−0275 
住所:東京都中野区本町4−21−9 京マンション1階

◉これまでのインタビュー
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20080622/1214136775
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20080713/1215975862
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20080729/1217362183
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20080803/1217718004

<下井草のお店でシェフになる>
——自由が丘のお店の次はどうされたんですか?
田中:「フェリーチェ」というお店で、これは初めてシェフになりました。
——引き抜かれたんですか?
田中:今度は自分の家の近く、下井草に住んでいたんですけど、その近くのお店を探したんですよ。いままで、中目黒もそうですけど、ずっと家から遠かったので。
——それは大変ですね。
田中:ええ、朝早くから夜遅くまで働きますから。だんだん年も取ってきていましたし(笑い)。あの、30歳より前に、シェフになろうと決めていました。それは目標としてですけど、決めていたんです。
——「シェフ」という言葉の定義はどのようなものなんですか?
田中:フランスですとコックさんのことをシェフというんですけど、日本ではコックさんをまとめる、一番上の人が「シェフ」です。つまり、料理長のことです。
——お店にひとりしかいない?
田中:ひとりしかいません。
——シェフになると自分でメニューを考えるんですよね?
田中:そうです。
——では、その下井草のお店では最初からシェフだったんですか?
田中:いえ、最初はシェフがいたんですけど、あんまり、、、、おいしくなかった(笑い)。それで、最初はその人の下についたんですけど、そのうち立場が逆転しまして、、、そうなると、辞めて行くんですよ。
——それは居づらいですよね。
田中:ええ。でも、そのひとは突然辞めたので、僕はひとりになったんですよ。
——小さいお店だったんですか?
田中:大きいお店でしたよ。ただ、おいしくない店は暇ですよね? だから、暇だったんです。そういうこともあって、経営者とシェフがケンカしたんです。それでシェフが辞めて、経営者から「明日からひとりで出来る?」って聞かれて。せっかくのチャンスですから、「やります」と言って。あれはクリスマスの2週間前ですよ。
——キツい(笑い)。12月の飲食店は只でさえ忙しいですもんね。
田中:ええ。それこそ寝ずに。毎日ひとりで仕込みして。食材なんかも、なるべく残る物がないように使って。僕なんかはそういう物を使いたくないんですけど。
——例えば、シェフになったことで、原価計算もするようになるわけですか?
田中:原価計算みたいなことは、その店に行く前にも考えていました。そういうことをおぼえないとシェフになれないとわかっていましたから。それぞれのお店で聞いてはいたんです。「この料理の原価ってどうやって出すんですか?」と。でも、それは聞いていただけですから、今度は自分でやってみて、表の責任者である支配人に最終確認をしてもらいました。
——だいたい、原価は料金の何割くらいになるんですか?
田中:一般的にフランス料理は30%、イタリアンで25%と言われています。もちろん、お店によって違います。料理によっては50%、60%行く物もあるんですけど、飲み物であったり、全部ひっくるめてその程度に抑える必要があります。そうしないと、光熱費や人件費もありますから、お店を続けて行けなくなります。
——そこでは何年シェフをされたんですか?
田中:そこでは4年ですね。そこでは人を使うことの難しさがありました。料理とはまったく別の難しさにブチ当たりました。支配人も兼任するようになって、表も見ないといけない。給料を計算したりもしました。そこは独立採算制の会社になっていたので、毎月の会議で「これじゃあ、君たちの給料も出せないよ」なんて言われたりもしました。非常に大変でしたけど、それはやはり勉強になりました。そして、その次は神戸です。
——神戸にはなぜ行かれたんですか?
田中:その「フェリーチェ」というお店には社長がいるわけですよ。長い間いると、段々社長と折り合いが付かなくなったんです。
——その「フェリーチェ」というお店はお客が入るようになったんですか?
田中:入るようになったんですよ。僕がシェフになってから、月に100万づつ売上をあげて行ったんです。だから、1年で1200万あげたんですよ。
——それは凄いですね!
田中:そしたら、凄い、凄いと社長も言って、僕には給料を出してくれたんですけど、僕の下で働いてる子たちには出さないんですよ。それをなんとかしないと、僕ひとりでやってるわけではないので。それを僕が社長に交渉するわけですよ。「なんとか、みんなの給料も上げてもらえませんか?」と。「店が流行ってるのは、お前の力だから」「いや、そうじゃないですよ」。僕は現場にいるからわかってるじゃないですか? 彼らの頑張りを。お店をいい状態で続けるには、彼らの頑張りも評価して行かないと続かないですよね。「僕、これ以上やってても給料は上がらないですから、辞めます」となりますよね。それは何年もやってる子ですよ。せっかく、仕事をおぼえたのに。そういう子は僕も引き止めたいですから、社長に交渉するんですけど、何度もダメだと言われて。これじゃあ、僕もやれないということで、辞めることになったんです。
——そういう経営者って、本当、いますよね。でも、なぜ、そこで神戸が出てくるんですか?
田中:僕としては、この機会に自分で開くお店の物件を探そうと思ったんです。で、そのとき、他の子たちも僕と一緒に辞めたんですよ。でも、自分のお店はまだなにも決まっていなかったので、その子たちに「このお店で働いたらどう?」とこれまでに僕が働いたお店を紹介しようとしたんです。でも、僕が厳しかったからかも知れないんですけど、誰も紹介を望まなかったんです(笑い)。僕が恐くて付いて来てたとは思いたくないんですけど、、、
——まあ、それは田中さんと同じで、自分で探した店で腕を試したいと考えたのかも知れませんし。
田中:それならいいんですけど。だから、紹介はしなかったんですけど、まあ、最後に飯でも食おうということで、みんなで出かけたんです。そしたらその最中に、自由が丘のフランス料理店で働いていた時の同僚から電話があったんです。「今度、神戸に店を出すんですよ」と彼が言って、僕はまったく知らなかったから凄く驚いたんですけど。それで僕の方も、「実は、きょう店を辞めたんだよ、それでいまから物件探すんだ」みたいなことを話して、そのときはお互いに頑張ろうとか言って、それで切ったんです。
——そのひともコックさんですか?
田中:はい、僕より2つくらい年下なんですよ。で、すぐにまた電話してきて、「田中さん、いまなにもしてないんですか?」「うん、やってない」「だったら、神戸にきて手伝ってもらえないですか?」「えっ!?」って驚いたんですけど、「部屋とかも、ちゃんと用意しますから」と言われて。
——お金持ちの方だったんですか?
田中:そうそう(笑い)。働いてるときは実家のことなんて知らなかったんですけど、向こうに行ってみたらそういう感じでした。たしかに、なにも決めてなかったので、神戸に行くことにしたんですけど、オープンがひと月先だと言うので、その間ムダにできないですから、久我山のイタリアンでひと月アルバイトをしました。
——下井草のお店で結構もらってたわけじゃないんですか?
田中:そうでもないんですよ。みんなよりはもらってたというだけで。やっぱりね、お金持ちはケチですよ(笑い)。
——本当ですよね(深くうなづく)。私も以前働いていたライブハウスLOFTのオーナーが本当にケチで。やっぱり、店員たちのバイト代を上げたくない。私の退職金もださない。でも、戻って来て働けという。自分の都合しか言わない。もう、びっくりしましたよ。
田中:やっぱり、そうでないと金持ちにはなれないんでしょうかね? 下井草のお店は、そのあと半年お店を閉めていましたからね。ダメージがあったと思うんですけど。
——それだけダメージを受けるのに、店員にはギャラを払いたくない。なんか、ヘンなお金持ち哲学みたいなものがあるんですかね? ま、いいや(笑い)。それで神戸に行かれた?
田中:そうです。神戸のフランス料理です。でも、ひと月ではなかなか準備が整わなかったみたいで、行ってからもドタバタ、ドタバタしていました。
——そうか! そこではお店の立ち上げが経験できる。
田中:そうなんです。それも僕は興味があったので行ったんです。でも、彼はシェフの経験がなかったんです。だから、原価計算とか、まったく考えてなかったみたいで。計算したら80%とか、、、
——素晴らしいじゃないですか(笑い)。
田中:いやいや。「このままでは潰れてしまうから」と言って、全部修正しましたよ。メニューからなにから、全部替えましたよ。トントンならまだわかるんですけど、、、、
——そういうことは料理の世界ではよくあることなんですよね?
田中:いや、僕は初めて見ましたよ(笑い)。
——有名店で働いていて、そこから独立したあと、まだ、ブランド力もないのに、いい材料を使いまくって潰れるという、、、、
田中:そう。彼も相当な有名店ばかりで働いていました。それで僕は半年くらいで辞めて、そのあとその店は潰れました。彼はまた新しいお店をやってるみたいですけどね。
——そこからこのお店ですか?
田中:いや、そのあとは物件を探しながら、六本木のフレンチのお店でホールのアルバイトです。半年程。その店でサービスの仕方を勉強したり、、、
——そのサービスというのは、フレンチとイタリアンで違ったりするものなんですか?
田中:それは全然違いますね。イタリアンというのは基本的にカジュアルなイメージですけど、フレンチはがっちりしていますから。
——スタイリッシュ。
田中:ええ。だから、僕としてはスーツでビシッとって感じより、ジャージでもいいから気楽に。フランスでもそういうところには毎日は行けないでしょ? お金を持ってる人でも行かないですよ。だから、イタリアンだったらトラットリア、フレンチだったらビストロですよ。「ちょっと、ごはん食べて、ワイン飲んで行こう」という、僕はそういう方が好きですから。
——じゃあ、日常的な方のお店を作りたい。
田中:うん、そうですね。やっぱり、毎日のように食べにきてもらえるのがうれしいですから。

<イルベッキオ・ムリーノに出かけてください>
このインタビューは、田中シェフの1日の仕事が終わってから、1回1時間を4回行いました。これまでに3回分を文章化しましたが、4回目はいつも食べさせてもらっている料理について聞きました。しかし、文章化してブログに載せることは見合わせることにしました。やっぱり、「イルベッキオ・ムリーノ」に食べに行っていただいて、そこで直接、田中シェフに尋ねてもらうのがいいと思ったからです。ああ、食いに行きたい。この馬肉の料理もうまかったよなーw

インターネット環境が整いました。

きょうはインターネットの開設工事が朝10時からありました。ところが、アパート全体が停電ですよ。業者の方はさっさと他に行かれました。そして、昼から再チャレンジ。なかなかうまく行かず、何人かが入れ替わりチャレンジして、夕方やっと開通しました。私のPC がMAC だったからかも知れません。
FPTのWifi で最速のものを依頼したので、Youtube で動画を見てもほとんどストレスなしです。Download が5120Kbps /Upload が 640Kbps 。これで月額2500円ほどになります。

竹宮恵子原作「地球(テラ)ヘ…」。

風と木の詩」「私を月まで連れてって」などの作品でも知られる少女マンガ家、竹宮恵子先生原作のアニメ「地球(テラ)へ…」を見ました。この作品をいまの状況で出会えたことに運命を感じます。マジで感動しました。海外にいて気軽に見れる方はぜひ!

地球へ・・・Vol.1 【完全生産限定版】 [DVD]

地球へ・・・Vol.1 【完全生産限定版】 [DVD]

◉アニメ化される漫画「地球(テラ)へ…」の原作者 竹宮惠子
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20070319et06.htm
『遠い未来、環境破壊が進んだ地球を守るため、人類は他の星々に移住し、生命の管理を完全にコンピューターにゆだねる社会を樹立する。その中で、特殊能力を持つがゆえに体制から迫害されていた「ミュウ」たちは、自分たちの存在を人間に認めてもらおうと、地球をめざす旅に出る』

自分たちの生活する場がない「ミュウ」たちは巨大宇宙船で地球(テラ)を探す旅をつづけます。しかし、あてのない旅で次第に疲れ、あるとき辺境の星に降り立つことを選択しました。そして、若者たちは地球(テラ)を探すよりも、その星での充実した生活を気に入るようになりました。そして、あくまでも地球(テラ)を目指そうとする長老たちと対立します。

そこですよ。私はだんだんベトナムでの生活が気に入りだしています(きょうはニョクマムも平気で屋台のごはんを食べました)。でも、ハノイでなにかを得て日本に戻るという決意も忘れたわけではありません。現在の私はそういう葛藤のなかでハノイの生活をつづけています。アニメの登場人物たちはどのような選択をするのでしょう? 楽しみです。

ベトナムの人たちも資本主義の毒に犯される前に、この作品を見ておいて損はないと思います。人間は管理しておかないと欲望に身を任せ、地球をボロボロにしてしまう生き物なんですよw