ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

サウスバウンド、面白かった。

右のカテゴリーにも入っていないように、私は小説をほとんど読みません。ノンフィクションと小説の間に位置するような本は沢山読んでいます。特に大下英治さんの作品は、「魔性のシンデレラ 松田聖子」を小学生のときに読んで以来、ほとんど読んでいます。いや、「日本一忙しい作家」と呼ばれた大下先生のこと、私が知らない作品がまだまだ沢山ある気もします。


魔性のシンデレラ―松田聖子ストーリー (角川文庫)

魔性のシンデレラ―松田聖子ストーリー (角川文庫)


ハノイマンガ喫茶「CAFE Mot 」では、本を借りることができると以前にも書きました。最初は新書を中心に借りていたのですが、数日前、はじめて小説を借りてきました。小説を読んでる人たちなら絶対知ってる有名な作家さんの本です。私はこの人の作品をマンガでしか読んだことがありませんでした。それも面白かったのですが、この小説は素晴らしかったです。


サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

神経科医Dr.イラブ (1) (ヤングチャンピオンコミックス)

神経科医Dr.イラブ (1) (ヤングチャンピオンコミックス)


元過激派の父母を持つ中野区在住の小学6年生が主人公です。出だしは「中野ブロードウェイは上原二郎の通学路だ。」です。そして、中野ブロードウェイの描写が続きます。いいですねー。そして、学校での友人関係と、家族との関係が絡み合い、この少年の成長が描かれて行きます。前半は東京、後半は沖縄が舞台になっています。その中では「政治も経済も必要ない」というような言葉だったり、「絶対に国の言うことを聞かない一個人」という言い方で父親が紹介されていたりします。


この小説は全共闘世代を扱った作品です。この世代を扱うと「ノルウェイの森」は別にしても、たいてい気持ち悪さがつきまといます。でも、これは爆笑できる作品になっています。楽しかったで終わることも出来ますが、やはり、どのように受け止めたかを書いておきます。便利に思えるような都市での生活、それと引き換えにどれだけ多くの物を失っているかが書かれています。そう、以前に紹介したマルクスの「共産主義者宣言」に書かれていたようなことがテーマになっているのです。家族の関係ですら金銭に換算するというようなことです。


そう書くと小難しい小説なのかと思われてしまうかも知れませんが、そうではありません。読んだ感じは完全な娯楽小説です。いや、沖縄が舞台の後半などは、「おとぎ話」に近いかも知れません。うーん、これを簡単に「おとぎ話」と言ってしまっていいのか、、、。沖縄に移住した都会の人たちはどんな感想を持つでしょうかね?