このところ少年隊『 君だけに 』について、ずっと考えていました。それ以前に「オンリーユーソング」がほとんど存在しない中、なぜ、この曲はいきなり直球ど真ん中、本当にストレートなラブソングになっているのか？ そのことを考えていたのです。それを探るためにジャニーズの80年代シングルリストを作っていました。そして、恐ろしいことに気づきました。『 君だけに 』の作詞が 松本隆さんではなく 康珍化さんだったということにです。お恥ずかしい。私、ずーっと 松本隆作品だと思っていました。完全な思い込みをしていたのです。カラオケでも何度も歌っているのに、作詞者が目に入っていませんでした。気づいたときには、驚きで震えました。本当にびっくりしたんです！ そう言えば、まったく松本隆っぽくないですよ！（この動画凄いですね。なんでヤンヤンの映像がこんなに高画質なんだw ）
というわけで、今回の「ジャニコノ」は 少年隊『 君だけに 』から「 Only You 」です。作詞は 康珍化、作曲は 筒美京平です。作詞が 松本隆さんでないというだけで、話はだいぶ簡単になりました。ジャニーズにもバンドブームの影響がでていたのです。氷室京介 と 布袋寅泰 が在籍したロックバンド BOØWY の『 Only You 』が 1987年の４月に発売されてるんですけど、『 君だけに 』はその２ヶ月あとに発売されているんです。『 Only You 』もストレートなラブソングです。テーマをそこから持って来たのでしょう。もちろん、康珍化さんは、歴史に残る名曲を京平先生と作り上げたわけです。
松本隆さんの作詞活動30周年を記念して発売された作品集『風街図鑑』のブックレットには、収録曲について本人のコメントが掲載されています。その中の小泉今日子『魔女』だったか『水のルージュ』だったかの箇所に、凄いコメントがありました。私の記憶では「康珍化の作詞した『ヤマトナデシコ七変化』や『渚のはいから人魚』だけど、あんなのは 僕が はっぴいえんど でさんざんやってきたことだ」という意味の発言があったのです。たしかに、康珍化作品には、他から持って来たテーマもあるように思います。ですが、松本さんがこのような激しい発言をされているのには、小泉今日子作品とは別の理由があります。恐らく『風街図鑑』が発売される２ヶ月前に KinKi Kids『 雨のMelody 』が発売されているからでしょう。
『 雨のMelody 』は、マッチさんのデビュー曲『スニーカーぶる〜す』をベースにして、さらにキンキのデビュー曲『硝子の少年』の続編になっていると思うんです。両方とも松本隆作品ですからカッとしたのかも知れない、私はそのように推測しました。でも、康珍化さんに悪気はあったのでしょうか？ いや、もしかしたら松本隆さんの作詞活動30周年を祝って、リスペクトを捧げた作品が『 雨のMelody 』だったようにも思えるのです。しかし、前にも書きましたが『硝子の少年』は特別な曲です。続編があってはならない曲なのでした。
