ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

映画『あしたのジョー』とか カラオケとか。

バンコク2日目です。きょうはライブのときに知り合った 山P ファンの姉妹に遊んでもらいました。妹さんは大学で日本語を勉強しています。お姉さんは小学校の国語の先生。昼に MBK で「味千ラーメン」を食べ、そこからサイアムスクエアーの映画館に。山下智久主演の映画『あしたのジョー』を観ました。うーん、どうなんですかね、、、 役者陣はみんな頑張ってましたけどね。



女子2人は楽しんでましたよ。ジョーと 力石が殴り合うシーンでスローモーションになる度 爆笑してました。「 funny!」と言ってましたよ。まあ私も「マンガとは別物」という意識で観てたんですけど、やっぱり試合結果は知ってるわけですから、語るのはなかなか難しいところです。白木葉子のサイドストーリーとか必要だったんですかね? それよりもジョーと 力石をきっちり描いた方がよかったですよね? 山P ファンの女子が沢山観に来るからってことでしょうか? 梶原一騎先生が生きてたら許さないでしょう。「偽善者ヅラしやがって!」とか「女の出る幕じゃねー!」とかジョーに罵倒して欲しいですよw 


監督はあんまりボクシングに興味がない人なんでしょう。元チャンピオンの浜田剛史さんがファイティング原田さんを演じてましたよね? 演じてない? 最初、原田さんかと思ったんですよ。で、普通ラウンドの間に 原田さんの解説が入るでしょう! もしくは過去に負けた選手とかがつぶやきで解説したりw ちゃんと、試合の流れがわかるように作って欲しかったんです。あと、力石がそんなに強いボクサーだってわからないんですよ。だって、刑務所で素人だったジョーのジャブを全部くらってましたから。油断していた最初の1発だけでいいのに。


(3時間程寝ました。)


この映画を全否定するのはツマらないと思うんです。頑張って作られていたと思うので。でも、成功していなかった。なぜか? それを少し考えてみました。たぶん「力石がなぜジョーに惹かれたが描けていなかった」からだと思います。力石もジョーも、高度経済成長時代で世の中が浮かれている中、お金や名誉よりも「殴り合い」の方に惹かれる異端の人なんですよ。そしてさらにジョーは純粋に「暴力」そのものだった。模範囚だった 力石にとったら迷惑以外のなにものでもない存在です。でも、力石 はジョーとの対戦に惹かれた。


だから、原作で言うと「豚小屋」のエピソードはとても重要だったわけです。窮屈な刑務所を飛び出すために、豚の群れを暴走させたむちゃくちゃなジョー。それを見事に治めてみせた 力石。ジョーの狂気、それを上回る圧倒的な力を見せた力石。そして、力石は出所します。ここで 力石 と ジョー と 葉子 はジャンケンのような状態を見せるのです。力石 は ジョーより強い。ジョーは葉子よりも強い。葉子は本来 力石より弱いわけですが、力石は葉子を神聖な存在だと思っているので、葉子は 力石より強いわけです。



たぶん、梶原一騎極真空手創始者 大山真達 との関係が元になっているんでしょう。『人間凶器』というマンガではもっとはっきりとその関係が描かれています。力石 と ジョーは同じく「強さ」を求めました。でも、その方法が違っていました。価値観の違いがはっきりとあった。葉子なら「そんなもののために?」と言うかもしれません。でも、力石 と ジョーはお互いの全存在を賭けて闘ったわけです。そして、その果てに奇妙な友情が生まれました。だから、もし監督がこの名作と違ったものを描きたかったとするなら、それを超えようとするなにかを提示できなければならなかったはずです。


あと、力石の葬式のシーン。美しかったですけど、アレ必要ですかね? 力石の写真がボクサーの姿でなかったのも納得行かなかった。日常生活でも 力石は立派な存在だったことを示したシーンなのかも知れないですが、やっぱり 全てを賭けたリングで死んで行った男なんだからさ。