もう10年以上も前のことになる。私は働くのが嫌になって、毎日、図書館に行ったり、ブックオフで100円の本を買ったりして、それ以外は家に閉じこもって過ごしてたことがあった。当然、お金もなく風呂なしの部屋に住んでいた。なので、毎日銭湯を使っていた。ある日、髪を洗っていると視線を感じた。
時々いるのだ。じーっと人の身体をなめまわすよに見てくる人が。そういう人がいると、他の銭湯に行くようにしてた。中野はけっこう銭湯が多かったから。でも、この日は違った。その男が話しかけて来たからだ。南野さんだった。
私はロフトプラスワンというトークライブハウスで働いていたことがある。そして、南野さんはその頃ロフトに所属していたバンド 4-STiCKS のボーカリストだった。ライブも一度観たことがある。でも、話したことはなかった。
風呂の中なので眼鏡もしておらず、誰だかわからなかった。南野さんは大阪弁で話しかけてきた。そのときまで大阪出身だということも知らなかった。そこで初めて ゆっくり話した。部屋にこもっていた私としてはうれしい出来事だった。近くの友人のお店に寝泊まりしながら、お店の手伝いをしてると言ってた。暇だったら遊びに来てとも言ってくれた。
大層暇だった私は、数日後そのお店に遊びに行った。でも、南野さんは出掛けていていなかった。また、銭湯で会うかと思っていたが、会わないうちに忘れてしまっていた。こんなニュースで再会するなんて・・・・
それでも、音楽の仕事を続けてられていたことがうれしかった。ご冥福をお祈り致します。
◉大阪・心斎橋で通り魔 通行人の男女２人刺殺
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120611-OYO1T00545.htm?from=top
『１０日午後、大阪・ミナミの路上で、男が通行人の男女２人を包丁で次々と刺した。男は住所不定、無職礒飛京三容疑者（３６）で、駆けつけた大阪府警南署員に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。２人は首や腹などを何度も刺されており、同日、搬送先の病院で死亡した。府警捜査１課は殺人容疑に切り替え、同署に捜査本部を設置した。礒飛容疑者は２人と面識がなく、「自殺しようと思って近くで包丁を買ったが死にきれず、人を殺せば死刑になると思ってやった」と供述している。府警は、無差別通り魔事件とみて動機の解明などを進める。死亡したのは東京都東久留米市氷川台、コンピューターソフト会社「デジターボ」の音楽プロデューサー・南野信吾さん（４２）、大阪市中央区島之内、スナック経営・佐々木トシさん（６６）。発表では、礒飛容疑者は１０日午後１時頃、同区東心斎橋１の路上を歩いていた南野さんに突然襲いかかり、料理包丁（刃渡り１８センチ）で腹や首などを刺した。その後、約４０メートル東で、自転車に乗った佐々木さんの背中や腹などを刺した。礒飛容疑者は、その場を離れ通行人を探すようなしぐさをした後、再び倒れている佐々木さんを刺し、さらに南野さんが倒れていた場所に戻り、馬乗りになって刺しているところを、南署員に取り押さえられた。抵抗はしなかったという』
