『AKB白熱論争』を読み終えました。いろいろ突っ込みたいとこもあるんですけど、それしても仕方がない気がするので、一番印象に残ったとこだけ取り上げます。
この4人の語り手の中で、音楽の快楽をわかっているのは、小林よしのりさんだけなんですよ。中森さんにしても、アイドル自体が好きなのであって、音楽に重点を置いてる人ではありません。濱野さん、宇野さんも興味あるのはAKBだけで、アイドルとのコミュニケーションだったり、システムに興奮してるみたいです。
で、アイドルソング好きの小林さんは、4人の中で唯一 ももクロに脅威を感じています。宇野さんは「仕組みがが面白いわけじゃないので、そこまで興味がわかない」、濱野さんは「多様性という意味では、5人しかいないので弱い」、中森さんは「5人で頑張ってるももクロを応援する気持ちは、わかります」とそれぞれ語っています。
小林さんは「ももクロが5人で成立してること自体が恐ろしいのよ。AKBというシステムを通さなくても5人で勝てるのなら、AKBのシステムが崩壊するんじゃない?」「AKBは莫大な費用を投じてこれだけ巨大なのシステムを作り上げたのに、紅白では一枠だよ。で、ももクロは5人で一枠」と語っているのです。
でも、AKBがいたからこそというのもありますよね? ももクロが戦隊モノの格好をしてるのは、倒すべき相手がいるからだしw ここでは ももクロが5人であることを強調して語られています。でも、小林さんが本当に脅威に思ったのは、百田夏菜子じゃないですか? 夏菜子の「うまい」「へた」を超越した歌唱は、アイドルソング好きの心を打つと思うんですよ。その理由は私も言葉にできないんですけど。さっさと ももクロの方に来ればいいのに。
他では、中森さんのピンクレディーは「システム」だという話は、とても面白かったです。これだけでも、この本を読んだ価値がありました。それから、宇野さんのAKBのシステムに関する解説を以下に写しておきます。そうか、ルールなのか。ネットの人たちってルールにうるさいもんね。
『AKBは、人間の生のコミュニケーションを活性化させるシステムなんですね。秋元さんが明確なルールを作り、総選挙やGoogle+といったさまざまなゲームを仕掛けると、そのプレイヤーたちが引き起こす行動から文脈が無限に生まれるわけですから。したがってAKBのシステムは、むしろ実存と実存のぶつかり合いを活性化させる方向に動いている。システムと実存がここでは対立していない。むしろ結託している。ここがすごいと思うんですよね』