１月28日に両親のいる神戸に行きました。先月、慢性硬膜下血腫が見つかり、取りあえずは漢方薬で様子を見ることになっていました。そして、29日に再度検査を受けることになっていたのです。しかし、両親のいる施設に来て異変に気づきました。母の部屋にはまったく生活の気配がなかったのです。
ちょうど夕食の時間だったので、共有スペースに行きました。スタッフに尋ねると「お二方は病院におられるはずです」と言うのです。意味がわかりません。「病院へ行くのは明日のはずですが？」と言うと、その方は困った顔をして誰かに携帯で連絡しました。数分後に看護師さんが来て状況を説明してくれました。
５日前、母は様子がおかしくなって脳外科のある病院へ搬送されていました。慢性硬膜下血腫が拡大しており、緊急手術をしたと言うのです。その手術は難しいものではありません。でも、頭蓋骨に穴をあけ血腫を取り除くのです。そんなことがあったのに、なぜ私に連絡がなかったのでしょう？
看護師さんは困り顔で歯切れの悪い話をします。「お兄様にはお知らせしたのですが・・・」「私はまったく知らなかったんですけど」「お兄様がこちらから連絡するとおっしゃったので・・・・」。「こんな緊急のことなのに連絡が来ないなんておかしいでしょ？」「こちらとしてはお二人の間にいてどちら側に着くということはできないのです」。
どうやら、兄が私に連絡しないようスタッフに命令しているようです。一体、なにがしたいのでしょう？ いい歳して母を独り占めしたいなんて話でもないと思うのですが・・・・ 実は昨年から兄の不思議な行動に困らされていました。両親の認知症治療を拒否しているのです。
母は2012年の２月に認知症の検査をしています。そのときは兄が病院へ連れて行きました。なのに、治療は受けさせなかったのです。そして、昨年５月の脳出血以降はかなり症状も進行しました。リハビリ病院で徘徊を繰り返していたので、退院したら検査を受けてもらうつもりでいました。そして、昨年末に検査の予約を入れていたのです。しかし、検査はできませんでした。兄が医師に手紙を書き、検査しないように命令したのです。
実はそのとき、父にも検査をしてもらう予定でした。鍵を失くしたり、母の病状（糖尿病）を理解せずにアイスクリームを食べさせたりしていたからです。まだ軽い症状のときに検査を受けてもらいたかったのです。家に帰ってから東京にいる兄に電話しました。なぜ、そこまで認知症治療を嫌がるのかを知りたかったのです。
しかし、まったく回答になるような言葉は出て来ませんでした。それどころか「お前はなにもわかってない」「お前は点数を稼ぎたい医者にダマされてる」「そんなことだからお前はダマされる人生を送っている」と話にならないのです。たしかに、認知症はまだ治療法のない病気です。薬によって進行を遅らすことはできても、治すことはできないのです。
しかし、少しでも長くしっかりした頭で生活してもらいたいじゃないですか？ 「自分が認知症になっても、可能性のある治療をしないつもりなの？」と兄に聞きました。残念なことに兄は口ごもったのです。自分のときと両親のときでは違うとでも言うのでしょうか？ その電話以来、施設から私への連絡はなくなりました。両親の身元引き受け人は兄なのです。
実は父も最近様子がおかしいのです。父は週２回、通勤に１時間半程かけて仕事にでかけています。私は父が働くことを反対はしていません。しかし、最近帰宅時に迷うことが多いそうです。この１週間で２回もどう帰っていいかわからず施設まで電話を入れています。帰りはタクシーを使ってと言ってあったのですが、足腰を鍛えるために歩いているようです。もっと症状が進行する前に早く検査を受けてもらいたいのです。本人も検査を受けることは嫌がっていません。以前から不安に思っていたようです。
今週水曜日、母を病院へ連れて行くために再び神戸に行きました。先週行った慢性硬膜下血腫を取り除く手術の抜糸をするためです。施設に着くと看護師さんから「２日と４日にお母様は転倒されて頭を打ちました」と言われました。「たんこぶも引いてるから大丈夫だと思います」と彼女らは言うのです。でも、慢性硬膜下血腫は転倒してから２、３ヶ月してから症状がでるのです。
足腰が弱り、認知症も進み、母の転倒は日常的なものになっています。でも、ずっと見守ることなんてできません。それを施設側の責任にするつもりはありません。そのことはよくわかっているのです。リハビリ病院のときは期間限定だと思って私も付き添っていたのです。働きだした今はもうできません。なので、せめて屈伸と散歩だけはさせてきました。それだけでも歩行は幾分ましになるのです。あとは今からでも認知症の治療を受けてもらいたいのですが・・・・
