ハノイの日本人

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おニャン子がチャートを壊した。4

1987年にヒット曲が激減する「おニャン子の谷」があったと書きました。しかし、本当にそれはおニャン子のせいなのでしょうか? 1988年2月にCDシングルが登場しているんです。それまではアルバムだけだった。もしかしたら、既にCDプレイヤーで音楽を聴くようになっていたのに、CDシングルがなかったからヒット曲が出なかったのではないか? 調べてみました。


おニャン子がチャートを壊した。1〜3
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20180417/1523928794
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20180417/1523980056
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20180428/1524863528



◉1986年のオリコン年間アルバムチャート
1位 安全地帯『安全地帯 IV』(93.9万枚)
2位 Kuwata Band『NIPPON NO ROCK BAND』(78.4万枚)
3位 レベッカREBECCA Ⅳ』(76.2万枚)
4位 松任谷由実『DA・DI・DA』(70.2万枚)
5位 松田聖子『SUPREME』(69.1万枚)
6位 中森明菜『BEST』(68.4万枚)
7位 渡辺美里『Lovin' you』(61.3万枚)
8位 小林明子『FALL IN LOVE』(54.5万枚)
9位 杉山清貴 & オメガトライブ『FIRST FINALE』(54.5万枚)
10位 山下達郎『ポケット・ミュージック』(54.1万枚)



◉1987年のオリコン年間アルバムチャート
1位 荻野目洋子『NON-STOPPER』(68.6万枚)
2位 松任谷由実『アラーム・ア・ラ・モード』(68.5万枚)
3位 中森明菜『クリムゾン』(60.1万枚)
4位 サントラ『トップガン』(58.5万枚)
5位 マイケル・ジャクソン『BAD』(54.5万枚)
6位 BOOWY『PSYCHOPATH』(49.6万枚)
7位 安全地帯『安全地帯 V』(46.5万枚)
8位 杉山清貴『realtime to paradise』(45.8万枚)
9位 渡辺美里『BREATH』(44.9万枚)
10位 松田聖子Strawberry Time』(42.9万枚)



◉1988年のオリコン年間アルバムチャート
1位 光GENJI光GENJI』(91.0万枚)
2位 松任谷由実『ダイアモンドダストが消えぬまに』(77.3万枚)
3位 渡辺美里ribbon』(69.3万枚)
4位 久保田利伸『Such A Funky Thang! 』(67.7万枚)
5位 長渕剛『NEVER CHANGE』(66.2万枚)
6位 桑田佳祐Keisuke Kuwata』(64.4万枚)
7位 レベッカ『Poison』(63.1万枚)
8位 BOOWY『LAST GIGS』(60.5万枚)
9位 光GENJI『Hi! 』(56.2万枚)
10位 氷室京介『FLOWERS for ALGERNON』(51.8万枚)


アルバムはアイドルがそれほど強くないのですが、それでも前後より売れてませんでした。シングルほどでないにしても、はっきり「谷」を作っています。1987年だけはベスト10が40万枚以上70万枚以下。1986年と88年は共に50万枚以上95万枚以下になっています。


この「おニャン子の谷」を観て、私はある言葉を思い出しました。近年のフジテレビ代名詞となった言葉「嫌なら見るな」です。86年のおニャン子クラブ、ヒットチャート占拠事件は「嫌なら聴くな」という言葉で表せるかもしれません。そして、MTVなど洋楽に音楽ファンは流れました。1987年の年間アルバム4位、5位に洋楽が入っています。


CDという新たなメディアが登場し不透明感のあった80年代にモラルハザードが起こったように、ストリーミングが登場し市場に不透明感のある現在も新たなモラルハザードが起こっているのでしょうか? 世界においてCDに変わってストリーミングが最大の音楽市場になった2017年、日本だけは秋元康プロデュースのグループがCDを手売りしチャートを占拠しています。誰も知らないミリオンセラー。嫌なら聴くな、再びです。だとするなら、80年代と同じく新しいメディア、ストリーミングで洋楽を聴けばいいんですよね?


実は80年代にもう一つモラルハザードが起こっています。今度の犯人はジャニーズ事務所です。メリー喜多川副社長がお気に入りの近藤真彦レコード大賞を獲らせてしまったのです。もっと売れてる時にやればいいのに。売上枚数18.2万枚、年間35位のシングル『愚か者』です。なんか1億円でレコード大賞獲った曲が『Unfair World』というのに似てますよね。「おニャン子の谷」があった年に近藤真彦レコード大賞を受賞。おぼえておいてください。中森明菜が『TANGO NOIR』で3連覇したらよかったのに。



日本レコード大賞
1980年 八代亜紀『雨の慕情』(41.2万枚、年間26位)
1981年 寺尾聡『ルビーの指輪』(132.7万枚、年間1位)
1982年 細川たかし北酒場』(64.8万枚、年間5位)
1983年 細川たかし矢切りの渡し』(90.8万枚、年間2位)
1984年 五木ひろし長良川艶歌』(48.8万枚、年間14位)
1985年 中森明菜『ミ・アモーレ』(63.1万枚、年間2位)
1986年 中森明菜『DESIRE-情熱-』(51.6万枚、年間2位)
1987年 近藤真彦『愚か者』(18.2万枚、年間35位)
1988年 光GENJIパラダイス銀河』(87.4万枚、年間1位)
1989年 Wink淋しい熱帯魚』(54.9万枚、年間7位)
1990年 歌謡曲・演歌部門:堀内孝雄『恋唄綴り』(37.0万枚、年間20位)
     ポップス・ロック部門:B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』(130.8万枚、年間1位)