ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

「音像」を探究。

 

中村明一『倍音』はもう入手されたでしょうか? 最後の方に凄いことが書いてありましたね。以下に抜粋しておきます。

倍音 音・ことば・身体の文化誌

倍音 音・ことば・身体の文化誌

 

 

P218

 ここで注目したいのは、同志社大学教授の力丸裕氏が述べている、「私たちは、物理的な音を直接聴くのではなく、脳で音刺激を作りなおして聴いている」ということです。(中略)

 ここでは興味深いひとつの現象を取り上げてみましょう。それはミッシング・ファンダメンタル(失われた基音)と呼ばれるものです。実際にはない基音を想定し、その上の〈整数次倍音〉のみを配した音を聞くと、私たちは、その基音があたかも存在するものとして「聞く」のです。(中略)まったく存在しない音を、私たちは脳内で創り出して、聞いているのです。

 

脳内で整然と配置されたように響くサウンド。細野さんはグローバル・サウンドと呼ばれていました。私はデザインされたサウンドと呼んでます。頭の中にそれぞれの楽器の音がデザインされたように並んで見えるからです。重ならず立体的に見える。「音像」ですね。例えば BLACKPINK『Kill This Love』を観てください。これだけ派手にシンセが鳴っても、ベースが鳴っても、ボーカルとぶつかりません。音が濁らずにそれぞれ独立して響いているのです。そのサウンドはどのように成立するのか? 上の文章にあるように、基音を消して、脳内で再構成するようなサウンドを作り出すシステムが存在するのかもしれません。