ハノイの日本人

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DOMMUNE の小山田圭吾 特集。

 

12月31日に年越し番組としてネット放送された DOMMUNE の『小山田圭吾氏と出来事の真相』が Youtube でまだ観れることに気づき、昨日から観ています。この番組は事実関係を多角的に検証し、日本を代表するミュージシャンである小山田圭吾さんがどのようにして社会的に抹殺されるような状況に陥ったのかを考えています。

 

しかし、難しい問題です。「いじめは絶対に許さない!」というコメント一点張りで、小山田さんが活動できないのは当然だと主張する人たちが、少なからずいました。出演者に対しても「なぜ擁護するんだ?」と激しく怒りを表明しています。そこで語られている内容は関係ないのです。小山田さんがやったとされる酷いことのほとんどは同級生がやったことでした。なのにインタビューから20年以上経っても叩かれ続けている。ネットリンチです。小山田さんは既に深く反省しているのに。辛いですね。社会の空洞化とか、ポスト・トゥルースの問題です。「孤独と暴走」の手前で、生贄を求める人がたくさんいるのを感じます。

 

 

40分くらいから小山田さんの問題となったインタビューが掲載された『ロッキングオンJAPAN』の体質に焦点が当てられていきます。ミュージシャンが語った内容を誇張して、言ってもないことを見出しにするような傾向があった。小山田さんの件では、誰がいじめをしたのか主語が削られている可能性がある。そこでロキノン渋谷陽一社長なり、山崎洋一郎編集長が事実関係を語る必要があった。しかし、この場に出演することもしないし、いまだに有効な回答をしていない。

 

気になった箇所。1時間53分あたりから吉田豪さんが「音楽の変化、キャラクターの変化から反省が伝わりますよ」と発言。「言葉がなくなっていく状況からメンタルやられてるんだろうなと思っていました」と。そのことを受けて第2部に登場した高木完さんが、ずっと小山田圭吾の作品を追いかけてきた吉田豪さんが、反省は作品の変化に表れていると明確に証言されていたと冒頭で言うのです。どうなんでしょう?

 

 

私自身は小山田さんの作品を熱心に追いかけてきたわけではありません。後から聴き直した感じです。元フリッパーズの2人はともに優れたミュージシャンですが、どちらかと言うと、小沢健二さんは言葉の人、小山田さんは編曲やサウンドの人、という特性の違いがあります。そして、当時の私は言葉の方に重きを置いていた人間です。ロキノンの山崎さんもそうですよね。両方聴いていましたが、小沢派の人間でした。それ以上に日本語ラップが大好きでした。で小山田さんはフリッパーズ解散後の試行錯誤の中から、どんどん音響の方に向かっていきます。正直、当時はまったく理解できていなかった。略年表を用意しました。

 

1991年7月 フリッパーズ・ギター『ヘッド博士の世界塔』発売、ほどなく解散

1993年9月 小沢健二『犬が吠えるがキャラバンは進む』発売

1993年12月『ロッキングオンJAPAN』小山田圭吾2万字インタビュー掲載号発売

1994年2月 Cornelius『THE FIRST QUESTION AWARD』発売

1994年8月 小沢健二『LIFE』発売

1995年11月 Cornelius『69/96』発売

1995年?月 LAMP EYE『証言』アナログ発売

1996年2月 フィッシュマンズ『空中キャンプ』発売

1996年10月 フィッシュマンズ『LONG SEASON』発売

1997年8月 CorneliusFANTASMA』発売

 

吉田さんが言うような小山田さんのキャラクターの変化は、ポップアイコンからドロップアウトしたことが大きでしょうし、音楽の方の変化は小山田さんのミュージシャンとしての特性が大きく影響したと思います。この辺はまだ2ちゃんもないんだし。ここで LAMP EYEフィッシュマンズを入れたのは、その作品の影響力の大きさからです。1995年あたりから言葉で先鋭化して行く日本語ラップと、サウンドで先鋭化するフィッシュマンズなど、両極に分岐して行ったように見えます。もちろん、海外からの影響もあったでしょう。小山田さんとしても作詞をする作業より、サウンドに特化して行く方が圧倒的に楽しかったのではないか? それが作品の方向に影響したように思います。

 

 

私がリアルタイムで聴いていた第4部の後半では、野田努さんが小山田さんの音楽の変遷が、はっぴいえんど➡︎ YMO と似ていると発言されました。松本隆さんの歌詞を歌っていた頃から、ソロになって試行錯誤をするうちに細野晴臣さんは YMO のようなサウンドメインに行くと。なるほど。松本隆小沢健二のような言葉のメンバーがいたことで、そこから距離を取る過程でサウンドが先鋭化して行くということか。また全部聴き直してから書きます。