ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

3月15日付 アルバムBEST 3。ジャニーズ問題

 

 

イギリスBBC が故ジャニー喜多川・元社長の性加害を告発するドキュメンタリーを放送し話題になっています。お前はジャニーズについて文章を書いてきたはずだし、この件についてはコメントを出すべきだろう。ひしひしと無言の圧力を感じています。いましんどいんですよ。今日もほとんど倒れてました。壺自民とか書くとマイクロ波と異臭で大変です。でも書かねば。ジャニーズについて一番すごい研究書を書いたのは私だから。

 

私が『SMAP 王の物語』という本を出したのは、ジャニーズのある法則を見つけ出したからです。最初のきっかけは大失恋です。2000年くらいに恋愛して、とても幸せな気分に包まれました。それまでは自分は何らかの文章を書くことで自己実現をしなければならない。まあ母親の暗示みたいなのが刻まれてたんです。でもこの恋愛でその暗示は解けました。何もしなくても彼女といるだけで幸せでした。3ヶ月で振られましたが。

 

失恋で自分がすべきことが何もないという状態に陥ります。1週間くらいそうだったんですけど、ある日「私はなぜジャニーズが好きなんだろう?」という疑問が浮かびました。ジャニーズファンは基本的には10代女子です。でも男の私は小学校の時から好きだった。失恋の一番苦しいときに思い出したのもジャニーズでした。色々聴いてると、KinKi Kids『硝子の少年』の歌詞「指に光る指輪 そんな小さな石で 未来ごと売り渡す君が哀しい」という歌詞に行き当たるのです。松本隆によって書かれた歌詞でした。

 

私は直感します。光GENJIDiamondハリケーン』で、ジャニーズは未来を売り渡した。松本はそんな告発をこの歌詞でしている。ガラスがダイヤモンドになるというバブルを批判していたのです。それをきっかけに次々現れる謎が解け、ジャニーズが成功し続ける理由を解明しました。長くなりそうだ。短くまとめます。ジャニーズには郷ひろみから始まる「少年から大人へ」の物語があるのです。

 

デビュー曲『男の子女の子』で、ボーイ・ミーツ・ガールを描き、徐々に関係が深くなり『よろしく哀愁』でセックスを経験して大人になる。簡単に言えばそういう物語。レコードで語るその物語を受け継ぐのがジャニーズの「王」なのです。最初のジャニーズを初代とすると、郷ひろみは3代目、SMAPは7代目、嵐は8代目となります。その物語を歌う「王」となるグループは、少年時代にデビューする必要がある。それ以外のグループは大人になってからデビューします。

 

では、現在の「王」はどのグループか? 郷ひろみから始まったこの物語は、実はジャニー喜多川からジュリー景子に社長が移った時点で終了しています。私は物語を引き継いだ Hey! Say! JUMP が9代目と予想しましたが、嵐の時代が長く続き、そのあとは物語抜きに Snow Man になったようです。

 

でも私自身はジャニー喜多川が亡くなり、以前のようにジャニーズへの関心は無くなりました。不思議です。BBC が言うように、ジャニー喜多川は批判されるべき人物です。ずっと以前から私も知っていました。ジャニーズの闇にも私は惹きつけられていたのです。

 

1988年、世間を驚かせた大ベストセラーがありました。かつて2代目「王」だったフォーリーブスの中心メンバー北公次が、「全裸監督」こと村西とおるの誘いを受け『光GENJI へ』という暴露本を出します。北はデビュー前からジャニーの恋人だった。グループ解散後、生活に困っていた北は、ジャニーとの性生活についても詳しく書き、彼を批判したのです。そして、当時大人気だった光GENJI も、その被害に遭っているはずだと告発されていました。

 

 

私は2008年にベトナムに移住したとき、ある目標を立てました。1962年に誕生したジャニーズ事務所の50周年本を書く。そして、そのときに重要ポイントとなったのが、光GENJI だったのです。「少年から大人へ」の物語はアイドルの黎明期に大活躍したSONYの敏腕プロデューサー、酒井政利が劇作家の寺山修司と考案したものです。最初のアイドルとも言われる南沙織のデビュー曲『17才』でそれはスタート。南は物語の主人公になって歌います。そして次にデビューしたのが郷ひろみです。

 

80年代後半になって、その物語に目をつけた人物がいました。光GENJI は1987年にデビューしますが、その時代にはある大きな出来事がありました。当時の日本人にとって真のカリスマであった昭和天皇の体調が悪化したのです。昭和天皇亡き後、日本は大丈夫なのか? そんな心配をする識者も多かった時代です(カリスマなき今の時代の日本を見れば、その心配にもうなづけます)。

 

恐らく、そこで昭和天皇に代わるメディアの中の「天皇」を作り上げようとした人物がいた。光源氏は最古の長編小説とも言われる『源氏物語』の主人公です。光GENJI というグループは、昭和天皇の病状が悪化する中で、天皇の血筋である架空の人物の名前をつけてデビューしているのです。ジャニーズの「王」から日本国民のための「王」へ、ここで物語が書き換えられます。

 

光GENJI の次に「王」となったのが SMAP でした。SMAP が国民的アイドルになるまでの物語はここに書きません。SMAP は少年時代が人気のピークだったジャニーズアイドルの歴史を変えます。中心メンバー木村拓哉の結婚と子供の誕生を経て、国民的グループとして認知されるのです。その後、SMAPは2000年代の後半には人気が減速しますが、2011年東日本大震災が起きたときには、その存在が再びクローズアップされます。未曾有の出来事に傷ついた国民を元気づけたのです。まさにメディアの中の「天皇」としてその役割を果たしました。

 

 

私がジャニーズに惹きつけられた理由は、自分の中の弱さのせいだと思います。架空でもいいから、自分が社会で生きて行く上での指針が欲しい。そこにジャニーズはすっぽりと収まったのでしょう。ジャニーズメンバーたちは非常にストイックに活動を続けていました。「少年から大人へ」の成長物語は魅力的だったのです。ジャニーズにはこれまでの人生で助けてもらいました。でもBBC の告発については、ジャニーズ事務所も真摯に受け止めてほしい。被害者に謝罪をするべきです。それをしたときこそジャニーズ事務所も新しい時代に入ったと認められるでしょう。

 

 

 

今週のアルバム1位は、NMB48でした。2位は幾多りら、3位は GENERATION from EXILE TRIBE です。他に、7ORDER、アイドリッシュセブン、ReoNa、手羽先センセーション、SirVanity、TWICE の輸入盤、harmoe、CUBERS青山吉能高橋真梨子、花譜、Love Harmony's, Inc.、Unlucky Morpheus、FROZEN CROWN、マイリー・サイラス、AIBECK、などが登場しています。

 

 

https://www.billboard-japan.com/charts/detaila=hot_albums&year=2023&month=03&day=20