茂木健一郎の『ジャニーズにだまされるな』という文章が話題です。「ジャニーズにだまされる人は、芸術の教養が根本的に欠けている」と文章にあるのです。これが現在炎上中で、茂木さんはブログの文章に追記を出しています。
ジャニーズにだまされる人は、芸術の教養が根本的に欠けている。クラシックからロック、ポピュラーまで、音楽のほんものに触れていれば、SMAPや嵐には騙されない。ジャニーズを聴くんだったら、モーツァルトやビートルズ、ボブ・マーリーを聴いた方がはるかに深く世界に通じる教養が身につく。
追記。ここに書いたことは、ぼくのオリジナルな考えというより、今までに出会ったさまざまな方に折にふれうかがったことも含めてまとめたものです。もちろん文責はぼくにあります。日本には、「世間」に加えて、「相対主義」という信仰があるように思います。それぞれの人が自分が思ったことをきちんという批評性が根付くことを心から願わずにはいられません。
この人は炎上することをわかっていて、それでも自分の存在感を示すために、定期的にこの手法を繰り返しています。炎上マーケティングですよ。追記には、ぼくのオリジナルな考えというより、いろんな出会った人たちの考えであると、情けない言い訳をしています。
現在、ジャニーズ性加害問題で活躍するジャーナリスト松谷創一郎も、その問題について「女子供に教養がなかったからだ」と以前発言(失言?)しました。いまいちわからない。この人たちが言う「教養」という言葉が。私にとっては、両名とも現在の音楽状況を理解出来ていない人という認識ですが。
実のところ海外では『日本の「アイドル」という奇妙な文化は、もしかしたら面白いのかも?』と、密かに注目されていると感じています(性加害問題でやっぱりダメとなるかもね)。例えば映画『バービー』がそうです。男尊女卑的な日本と韓国以外では大ヒットしているこの映画。もしかしたらジャニーズの分析からアイデアを生み出した作品かもしれません。あらすじから。
いつも楽しいバービーワールドのはずが、突然、バービーの「死ぬってどういうことかしら?」という一言で変わり始めます。バービーの平穏でハッピーな日常が、突然終わるのです。その原因を探すため、バービーは現実世界に旅立ちます。自分の持ち主の女の子を探し出し、そして原因が彼女の母親にあることを突き止めます。
彼女の母親グロリアは加齢による不安感から、娘が見向きもしなくなったバービーを持ち出し、遊ぶようになっていました。彼女の不安感がバービーに伝染していたのです。大体こんな感じでストーリーが進みます。ジャニーズ・ファンであれば、何かピンとくるものがないですか?
これですよ! 長瀬智也、麻生久美子主演、岡田惠和脚本のドラマ『泣くな、はらちゃん』(2013年、日テレ系)です。ここでは何度も紹介してきました。マンガを書くことが趣味の女性・越前さんは、ある日、自分の描いたマンガの登場人物が、現実世界に飛び出してきたことを知ります。二人は出会い、はらちゃんと越前さんのラブストーリーが展開されるのです。
平穏だった、はらちゃんのいるマンガの世界が、ある日を境に、みんなが喧嘩し、銃を撃ち合い、荒んで行くのです。マンガを描いている神様、越前さんの職場での不満が、全てマンガにぶつけられているのが原因であるとわかるのです。はらちゃんと越前さんに、ハッピーエンドは訪れるでしょうか?
どうですか? 共に、現実世界が、創作世界に影響を与え、混乱した状況を元に戻すため主人公が旅に出る話です。一緒ですよね。
じゃあ、このドラマの2次元キャラクターと恋愛するというアイデアはどこから来たか? 本当に関連しているかは不明ですが、前山田健一プロデュース、吉木りさ『ボカロがライバル☆』(2012年)で、好きになった相手が、初音ミクに恋してるという歌詞世界が描かれています。