ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

私は日本語会話の先生です。

先週から週3回で日本語会話の先生をしています。初級クラスが2つと、中級クラスが1つです。初級クラスはやはりほとんど日本語が通じません。どうしても必要なときは英語で説明することになります。中級クラスは全員大学生で、日本語科の生徒なので、なんとか日本語で話すことができます。こちらは全員女子でした。驚きました。


初級クラスは2時間授業があるので、わりと余裕があります。なので、今回は自己紹介をかねて日本の音楽を聴かせたり、映画「下妻物語」を見せたりしてみました。ですが、やはり言葉がわからないので興味を持っているのかどうか微妙でした。ただ、「コスプレ」という言葉はしっかり教えておきました。みんなノートに書いていましたよ。よしっ!

下妻物語 スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD]

下妻物語 スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD]

音楽は短くいろいろ聴かせました。ですが、宇多田ヒカルも知らないようでした。で、三波春夫先生の「世界の国からこんにちは」を聴かせたところ、これは理解できたようでした。

中級クラスは授業が90分で教えることも多いので、ひたすら授業をしました。彼女たちは日本語能力試験の2級を受けるために、勉強をしています。で、「読解」というテキストがあるのですが、内容はセンター試験の現代文のような感じです。私が最初に教えることになった文章のタイトルは「就職離れ」でしたw


出だしはこうです、「若者の就職離れが社会問題になっている」。いや、参りました。私は大学をでてから会社員になったのは、最初の7ヶ月だけです。ほとんど、ここに書かれている「就職離れ」の人、そのものですよ。「社会問題」が先生をやってていいのか? 「神様のいじわる」って感じです。せっかくなので、全文を写しておきます。


◉ 就職離れ
若者の就職離れが社会問題になっている。この数十年で大人たちの作った社会があまりにもひどかったせいか、それを見て育った世代は、自らは大人になるということを(�)。卒業しても決まった職に就かなかったり、就職活動という名のもとにアルバイト先を転々とする者、さらには、仕事も勉強も仕事をするための訓練さえ受けないというニートも現れている。また、社会に出るのを怖がり、大学に残る学生も少なくない。ピーターパン症候群と呼ばれる若者達は、いつまでも子供のままでいようとしている。
これは、日本社会が未来を描けなくなっているからなのだろうか。(�)、若者が変わってしまったのだろうか。一昔前なら、卒業したからには当然働かざるを得ないと考えたものだが。


どうですか? 心に刺さりますか? 私だけですか? ベトナム人の感覚は最後の一文と同じです。卒業したら働くのは当たり前です。日本のように「発展?もういいんじゃん?」というわけには行かないのです。この国には未来があり、優秀な働き手は求められているのですから。当然、この文章に書かれていることは、まったく理解できないようでした。日本人でもそういう若者を理解できないという人も多いことでしょうし、無理もありません。でも、実際にこういった若者は日本にいるわけですよ。


勝手に苦悩の表情を浮かべながら、「先生は未来を求めてベトナムにやってきました」とまとめておきました。いや、東京に戻るつもりはまだまだあるんです。でもね、こっちの方が楽しいじゃんというのもあるんです。相変わらず風邪は治らないまんまなんですけど、精神的にはずいぶん楽ですから。「ニッポンの未来は世界がうらやむ」という歌が流行ったのは1999年でしたよ。まだ、笑って歌える時代だったんでしょう。たのむよ、ニッポン!