ハノイの日本人

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赤西仁 主演映画 BANDAGE を見た。

おもしろかったんですよw いやー意外だった。まったく期待してなかったから。赤西仁 の演技もまったく自然で、初主演とは思えないような落ち着きぶりでした。あれが素のままの姿なのか?と思ったくらいです。1回目見たときは、たぶん 先入観がありすぎて まともに見れませんでした。でも、なんとなく気になって 昨晩 もう1回見てみたんです。すごくきっちり作られた映画だってことに気づきました。『少年メリケンサック』なんかよりずっといいバンド映画でしたよ。


BANDAGE バンデイジ 豪華版DVD 2枚組 (本編DVD+特典DVD) <初回限定>

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ストーリーは90年代前半、高校生の アサコ は友人の ミハル と ロックバンド LANDS のライブを見に行く。アサコ はギターの ユキヤ のファンだったが、ボーカル の ナツ に気に入られ 口説かれる。アサコ は恋愛関係を避けながらも、成り行きで LANDS のマネージャーになる。ナツ が アサコ に捧げた『元気』が大ヒット。しかし、そこから LANDS の様子はおかしくなって行く。バンドブームのさなかでもあり、業界的な力にも巻き込まれ バンド崩壊の危機にさらされる。そして、2人の関係は… って感じです。



映画の冒頭は『イカ天』(1989年2月〜1990年12月)が終わってから 少し経ったぐらい。ということは1991、1992年あたりですかね? 小林武史監督が Mr.Children のプロデュースをはじめた頃ですねw でも、この映画とミスチルとは関係ないですよ。いろんなバンドの要素が次々にでてきます。そういうのを考えるもおもしろいですけど。監督は 90年代の 洗練されてないながらも エネルギーに満ちた音楽状況を映画にして提示しようと考えたようです。現在のシーンがこじんまりとまとまっているのに不満なのかもしれません。


それはそうと、もうひとつのテーマが見て取れました。バンドのメンバーもマネージャーも「アサコと別れろ!」とナツに言います。これ 不思議ですよね? そんなに アサコ が悪影響を与えているようには見えないですもんね? 恐らく、ナツ は「バンド」を、アサコ は「バンドブームにおけるファン」を象徴する存在なのでしょう。ナツ が アサコ に捧げた『元気』が大ヒットしたというのは先に書きました。『元気』は売れることだけを考えて作られた曲であり、バンドにとって立ち位置を見失った状態ということになるのでしょう。その後、アサコ がマネージャーを辞めたのですが、そのあと 程なく LANDS も解散します。「 Last 16 Days 」と書かれたボードがありました。ブームが去ったわけです。そして、2年後、アサコ が友人 ミハル のバンドのマネージャーとして音楽業界に戻って来ると、ナツ もスタジオに戻ってくるわけです。そこでの対面がラストシーンです。


ですが、ラストシーンでは2人の成長が描かれていました。2人はスタジオの中にいるわけですが、お互いにガラスと壁に隔てられており、影響しあいません。実際には アサコ が見ているだけで ナツ と対面してないのです。そして、その状況で一緒に歌っているのは「♪ その悲しみも 苦しみも その痛みも 届かない」というものです。これは アーチスト とそれ以外の者との間には「断絶」があると 監督は言ってるんでしょうかね? 少なくとも ナツ は『元気』ではなく、『二十歳の戦争』を選択しています。そして、アサコ もそれを受け入れて泣いています。ですから、2人の今後も交わることがないのでしょう。以下は 小林武史監督 と 脚本を書いた 岩井俊二さんの対談です。赤西仁は褒められてますよ。


岩井俊二 × 小林武史
http://www.eco-reso.jp/ecoresotalk/2010/01/1bandage.php
『僕も岩井君も洋楽を聴いて育って、こうやって作品を紡いでいるのもコラージュの精神があるからだと思う。 『リリイ・シュシュのすべて』だって、田んぼの中で、ドビュッシーがガーンと流れているし、一神教多神教、いろいろな文化がとミックスしているような感覚は僕の中にずっとあるので。日本で音楽をやっていること自体がすごいミックスではあるわけで、そういう視点で90年代を捉えられると思ったときに「たとえばこんな足場が掛けられる」と納得できた。「じゃあわかった」と思って、エンドロールで流せるものを1曲、作ってみようと思ったの。あっさりできたのが今回の「BANDAGE」という主題歌で、今まで、話してきたことを歌詞にどんどん書いていって、スタッフとかいろんな人に聴いてもらったんですよ』
『でも今回、赤西みたいな男を引っ張ってくると、「こういう撮りかたがいい」って、めちゃくちゃ反応するんですよ。彼は勘がいいし、僕らと似た質のものを持っているんだろうな。要するに正直なんですよね。 おもしろい事に対して従順な男なので、自分の武器や強味というか、安全地帯を自分で抱え込まないでね、逆に無防備でいてくれるのが良かったのかも』