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ベトナム株ブログ、Suzuhara さんインタビュー。後編

前回は Suzuhara さんがベトナムに来た きっかけ や、ベトナム株ブログ を始めた理由を語ってくれました。今回は「2010年ベトナム株ニュースベスト5」を中心にお送りします。


ベトナム株ブログ、Suzuhara さんインタビュー。前編
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20110127/1296111528


——前回、Suzuharaさんが 2003年からだいたい2年置きにハノイホーチミンに交互に住まれていることを聞きました。それはどうしてですか?
Suzuhara:仕事の関係でです。ハノイベトナム語がそこそこできるようになった頃、前の会社の社長に誘われました。その会社はホーチミンにオフィスがあり、将来的にハノイにも進出したいということでした。まずはホーチミンの本社で研修も兼ねて働いてほしいということで、ホーチミンへ行きました。
ホーチミンで2年ほど働いてから、いよいよハノイ事務所の立ち上げでハノイへ移りました。しかし、結局ハノイ事務所は2年で閉鎖、私は再びホーチミンの本社に戻ることになったというわけです。ちょうどリーマンショックの後くらいの時期ですね。


——ハノイホーチミンの一番の違いはなんですか?
Suzuhara:いろいろありますが、やはり気候の違いが大きいですね。何といってもホーチミンハノイと比べると格段に住みやすいです。年中気温が高いのですが、ハノイと違ってカラッとしているので、暑さも苦になりません。今考えても、ハノイの「冬は寒く、夏は蒸し暑い」という気候はかなりハードなものだと思います。ハノイの天気は一年のうち8割近くが曇りなんじゃないかと思うくらい、曇りの日が多いイメージもありますね・・。


——ホーチミンは過ごしやすいんですか。まだ、行ったことがないんですよ。やっぱり行かないとな。
では、そろそろ昨年のベトナム株について話しましょう。 2010年のベトナム株の全体的な印象はどうだったのでしょう?
Suzuhara:簡潔に言うと、盛り上がりに欠ける一年だったなと思います。


——まったくです。3月4日につけた2010年の最高値が「 549.12(ざら場高値550.61) 」。11月24日つけた2010年の最安値が「 426.19(ざら場安値 420.04)」でした。
Suzuhara:ベトナム株特有の急上昇、急降下があまり見られない一年でもありましたね。


——2009年は最安値が2月24日につけた「 235.50(ざら場安値234.66)」で、そこから急激に上げて11月22日は「 618.48(ざらば高値622.26)」をつけています。指数で倍以上になっていますからね、個別では10倍になった銘柄もあったわけです。これぞベトナム株って感じでした。
Suzuhara:そうですね。上がり始めると買えない、下がり始めると売れない、というのがベトナム株の特徴でしたからね。そういう意味では2010年は少々物足りなかった気がします。


——では、「2010年ベトナム株ニュースベスト5」を発表してください。
Suzuhara:個人的なものも含まれていますが、以下になります。


1. 上場企業数の増加
2. ベトナムドン切り下げ
3. 悪いニュースが続出
4. 友人のベトナム人投資家に惨敗
5. ブログ「ベトナム株はどうでしょう」がスタート


——なるほど。全体を見渡せる内容ですね。1位「上場企業数の増加」。これは納得です。
Suzuhara:個人的な趣味でもあって、ベトナム株の全ての上場銘柄の株価を記録しています。2010年の一年間で新たに上場した企業数は、ホーチミン証券取引所が80社、ハノイ証券取引所が110社でした。


——多いとは思っていましたが、そんなにあったんですか? えーっと、ホーチミン市場の上場社数が現在(1月26日)283社。ハノイ市場が373社ですから、凄い勢いで増やしましたね。
Suzuhara:そうですね。2011年に入ってからもかなりのペースで増えていて、株価を記録するのがだんだん大変になってきました・・・。ベトナム株は増資も多いので、上場株数がだぶついて需給関係が崩れているとの指摘もありますね。2011年により多くの資金が証券市場に流れてくることを期待していますが、簡単にはいかなさそうですね。


——需給の崩れは大きいですね。ベトナム政府としては、国営企業の民営化を積極的に進めているのでしょうけど、海外からはベトナムの経済状況を不安視する声もありましたから、資金の流入も進まなかったということでしょうか。まあ、その割りには大きく下がらなかったと言えるのかも。次の「ベトナムドン切り下げ」は実生活でも影響を受けることの多い出来事でした。
Suzuhara:そうなんです。2010年も、ベトナムドンはドンドン下がってしまいました。USD に対しては、この一年で 5.5%近く下がりました。日本円 に対しては、なんと 25%近く下がっています。日に日に ドン が下がっていくがわかる一年でした。
ちなみに私が最初にベトナム株に投資した時から比較すると、ベトナムドンは日本円に対して 80%近く下がったことになります。為替も考慮すると、日本人でベトナム株でしっかり儲けている人はそんなに多くないかも知れません。


——私は2009年の上昇相場でけっこう儲けたのですが、ドン安で完全に吹っ飛びました。まあ、これから参入する人にはあまり関係のない話かもしれませんが。3位が「悪いニュースが続出」です。
Suzuhara:2010年はベトナム株に関して、良いニュースよりも悪いニュースが多かった気がします。ベトナム経済全体でみるとインフレ、外貨不足、ドンの切り下げなど。個別銘柄では株価操作、社長の着服、ビナシンの負債問題等がありました。
私の保有していた銘柄で、その被害を受けたものもあります。2011年こそは明るいニュースが多くなってくれればと思います。


——ベトナム株について話される不安要素が一気に噴出した年でしたね。中でも、ビナシンの破綻は気になっています。不動産投資の失敗でしたよね? 他にそういう企業はないのでしょうか?
Suzuhara:表立ったニュースにはなっていませんが、不動産投資や証券投資等、本業と関係無い分野で失敗した企業は少なくないと思います。政府も、「本業に集中するように!」というお達しを出していたくらいです。


——インフレはまだまだ今年も気になるニュースですよね?
Suzuhara:はい。CPIも順調に(!?)上昇を続けています。先日、2月のCPI上昇率が許容範囲内(前月比1.4ポイント程度)であれば利下げの可能性もあると、ベトナム国家銀行総裁の談話が発表されました。しかし、旧正月を挟むので特に難しく、大方の予想は1.8ポイントくらいのようです。インフレは実際にベトナムで生活している我々にも影響してきますからね。


——4位が「友人のベトナム人投資家に惨敗」。
Suzuhara:ベトナム人の投資対象は主にUSD、ゴールド、証券、不動産、銀行預金で、その中でも人気なのはやはりゴールドなんです。


——「金」は人気ですよね。先日、お金を両替に行ったんですけど、テト前でずいぶん「金」を持ち込んでいる人が多く見られました。現金のように、普通に「金」を取引しているんですよね。ただ、日本人が想像する金の延べ棒と違って、文鎮みたいな金塊をペンチでちぎって売ったり、買ったりしていました。
Suzuhara:ベトナム人は本当にゴールドが好きですからね。よほど自国の通貨が信用できないんでしょうか(笑)。不動産の売買でもゴールドで決済されることがありますね。


——本当ですか? それは凄いw その友人はどういう方なんですか?
Suzuhara:ベトナムに来た頃に知り合った、長い付き合いの友人(ベトナム人)です。彼も投資に夢中なんですが、証券には手を出さず、昔からゴールド一筋でした。一方の私は証券一筋。2010年も競い合っていたのですが、結果は私の惨敗でした・・。


——まあ、ここ数年、金価格はずっと上昇してますもんね。しょうがない。
Suzuhara:金価格はこの一年で30%近く上昇しました。一方のベトナム株(VN-Index)は、若干のマイナスです。2011年こそはなんとかリベンジしたいですね。


——5位は『ブログ「ベトナム株はどうでしょう」がスタート』です。
Suzuhara:2010年の11月にベトナム株のブログを始めました。ブログに先駆け、最初はベトナム株の様子をリアルタイムで届けようと思い、ツイッターから始めました。ツイッターのアカウント名は「ベトナム株はどうだ(http://twitter.com/#!/vietnamkabuhelp)」です。
続いてブログを立ち上げたのですが、あまり深く考えずに、ブログの題名は「ベトナム株はどうでしょう」にしました。ちなみに、ツイッターの「ベトナム株はどうだ」は、奥田民生の「明日はどうだ」という曲が好きだから、という単純な理由からです(笑)。


——ここで話したニュースについても、ブログで解説されているんですよね?
Suzuhara:ブログの方では、私の個人的なニュースではなく、証券市場全体の 10大ニュースを掲載しています。


◉「ベトナム証券市場、2010年の10大ニュース」
http://vietnamkabuhelp.blog22.fc2.com/blog-entry-53.html


——これはいい記事ですね。1位が仕手株の話。2位が外国人の大幅買い越し。なるほど。昨年は2007年以来の大幅買い越しだったんですね。相変わらず海外投資家から、ベトナム株が注目されているのがわかりますね。では、最後に今年のことを少し話しましょう。なにか注目して観ているニュースなどありますか?
Suzuhara:今年はまず、利上げとドンの切り下げに注目ですね。政府は、旧正月までは公共料金の値上げはしないこと、ドンの切り下げはしないことなどを発表しました。ということは、ほぼ間違いなく、旧正月後にこれらが一気に実施されるはずです。そしてこれらのニュースは株価にも影響してくるはずですので、2月〜3月はまずこのニュースに注目ですね。


——やっぱり、来ますかね。
Suzuhara:はい、ほぼ間違いなく。それもあり、私も旧正月前に保有株の大半を売却しました。3月まではしばらく様子を見る予定です。wakita-Aさんは、ベトナム株は撤退される予定ですか?


——私も1月中頃に全部売却しているのですが、まあ、チャンスが来るのを待っている状態です。わかりやすく「ガツン!」と下がってくれるといいのですけど。
Suzuhara:そうですね。それまでは様子を見た方がいいかも知れません。無理して買う時期では無いですからね。
他に、ブログの方では、旧正月明けに「第一回チキチキ 資産運用対決inベトナム!(仮)」という企画も準備しています。定期預金、ゴールド、USD、株式のうち、短期間で勝つのはどれか?という企画です。ベトナム株に限らず、様々な資産運用の形を検証してみる予定です。


——定期預金が勝つことのないよう、ベトナム株には頑張ってもらいたいですねw 例えば、海外のニュースなどは注目されているでしょうか?
Suzuhara:昨年末あたりからベトナム株が世界の証券市場の動きと連動しなくなりました。その頃から海外のニュースをチェックする回数が減ってしまいました・・。ユーロ圏内ではスペインやポルトガルでゴタゴタがありましたが、とりあえず切り抜けたようですね。アメリカもここのところ調子が良さそうなので楽観的なイメージがありますが、実際はどうなんでしょうか・・?


——いろんなところから火の手が上がっているようにも見えますよね。「金」が強いことを見ても、まだまだ安心は出来ないと考えた方がいいんでしょう。あと、ラオス株やカンボジア株については、いかがですか?
Suzuhara:ラオス株はやはり気になりますね。上場企業は今のところ2社だけですか?


——そうですね。いま、実はラオスビエンチャンに来ています。と言っても取材というわけではなく、おいしい物を食べてのんびりしているだけなのですが。
Suzuhara:現在のラオス株は、ベトナム株が始まった頃と同じような感じですね。興味はありますが、実際にお金を動かすのはもう少し勉強してからにします。ラオスの通貨や経済についてあまりにも知らなさすぎるので・・。カンボジア株については、すみません、ノーマークです・・。


——じゃあ、今年もベトナム株、一筋ですね?
Suzuhara:そうですね。ここまできたらもうどこまでも追い続けていくつもりです。今回はありがとうございました。これからもハノイの情報、楽しみにしています。


——こちらこそ。また、なにか大きな転換があったときに登場してください。ありがとうございました。では!