ハノイの日本人

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東浩紀×宮台真司×小林よしのりのゴー宣道場。

面白かったです。ニコ生のプレミアム会員になればタイムシフトで観ることができますよ。東さんの司会で、まず宮台さんが小林よしのり著『新・戦争論』が道徳の教科書になり得ると発言された理由について質問されます。そして、安倍内閣周辺の憲法守らなくていいんじゃね?発言が最悪だということについて東さんがわかりやすい例をだして解説されています。できれば動画を観て欲しいですが、宮台さんの中韓に対しては謝罪よりも、信頼醸成が大事だという話が面白かったので、その部分を文字化しました。「日本は戦前と手を切ったのか?」という話です。


◉「戦争と道徳」第48回ゴー宣道場(ニコ生)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv221273037
『【小林よしのり談】6月14日(日曜)の「ゴー宣道場」は、東浩紀氏の主催する「ゲンロンカフェ」による「ゴー宣道場」ジャックとして、開催します。 テーマは『戦争と道徳』、第一部の司会を東浩紀氏に任せます。 もちろん司会といっても、自由に発言もしてもらいます。 そして特別ゲストとしてもう一名、宮台真司氏を招きます』




宮台:(前略)靖国参拝問題。日本は戦争に負けたんだから。当たり前ですよ。負けたんだよ。負けた戦争をやったんだよ。これは大問題。だから戦勝国のレジームを引き受けるのは当たり前。そうしないと戦後復興に誰も協力してくれない。極東裁判史観ってなんなのかって言うとね、これみなさんご存知だよね。日中共同声明周恩来がリピートしたあれだよ。日本国民は悪くなかった。日本国民も、中国国民も、共通して日本の軍国主義者の被害者であると。つまり、A級戦犯という概念は、天皇陛下と特に朝日新聞を頂点とするような日本国民から、戦争犯罪の責任を免罪するためのスキームなんですよ。
東:だからあれは生け贄みたいなもんですからね。そりゃ怨霊もでてきますよw だから、あれは失敗ですよね。って言うか、戦後処理の失敗というのがあって、誰がどういうふうに責任を問われるかといったときに、日本国民は無垢であり、騙されたということを選んでしまったというのはあると思うんですよ。
宮台:そうね。
東:最近、これはまったく関係のない仕事で江戸東京博物館に行って、江戸東京の歴史展示を観たときに、東京大空襲関東大震災の展示がまったく同じ文法で作られてるんですよね。
小林:うん?
東:つまり、突然大きな災害がやってきて、突然どかんと人が死んだ。人々は苦しみました。それから数十年経って、またでかい災害がやって来てどかんと人が死にました。人々は苦しみましたって話になってるんだけど、やっぱり関東大震災東京大空襲では性質が違う訳ですよ。日本が地震が多いせいなのかもしれないけれど、なんか戦争も地震も全部同じと言うか、なんとなく天から災いが降って来て、我々民は苦しんだみたいな。しかし、嵐も去り、これから国復興みたいな感じな訳ですが、やっぱり、空襲は自分たちでやってるんですよね。少なくとも自分たちで招いていると。そういったときに、引き受けがちゃんとしてなかったと、僕は思いますけどね。一個人として。
小林:わしはその辺、異論があるんだけどもね。結局、東京裁判で敗戦国にされてしまった。この歴史的なレッテル貼り、東京裁判てリンチ裁判ですから、あれは。やられてしまったということですから。例えば、これを認めれば、中国とか韓国が、より好意的に接して来るかと言ったら、わしはそうではないと思ってる訳。この辺、ちょっと感覚が違うと思うんだけど。
要するに、中国にしても韓国にしてもだけど、永遠の敗戦国にしておこうという感覚だと思うんだよ。だからポツダム宣言を受け入れたんだと。日本は世界征服を企んでいたんだと。そういう悪の国なんだと。だから、そういう国際的な位置にずっと置いておこうというのが、アメリカだけじゃなくて、中国においても、ロシアにおいても、あるいは韓国においても、そういうポジションに置き続けようとしてると思うんだよ。
宮台:わかりますよ。でも問題はね、じゃあ僕たちはその状況からどうやって脱することができるか?ということだよね。そこから脱するという目標を立てた場合にはですね、まあ、政治家がやって来たことは、非常によくないことなんだよね。まず、僕たちは敗戦しました。で、僕たちが民主主義国として再建するためには、日本国民はダメな国民ではないという枠組みをつくる必要があるので、あの極東国際軍事裁判図式は不可避。それ以外の図式で日本が民主主義国として再出発することはあり得ない。これをまず認める必要がある。
そのあと大事なことなんだけども、中国がなにを危惧しているのかと言うと「日本は戦前と本当に手を切ったのか?」という問題。わかりやすく言うとね。単に日本を永続的な敗戦国にしておきたいと考えるような、感情的なバカじゃないよ、中国。たくさん偉い人いますから。日本は戦前と手を切っているかについて、危惧があり続けて、ある時期、もう危惧するのはやめてもいいのかなと思う時期があった。70年代にね。田中角栄の時期ですよ。短い期間だったけれども。でも、やっぱり違うなということになった。
例えばね、ドイツはどういうことをやったのかと言うと、ドイツ政府は今まで一度も謝ってないよね。それは東西ドイツにわかれてしまったというのが一番大きな理由なんだけど、だから謝れないということにしたら戦後のヨーロッパでドイツはポジションを獲得することができない。だから、彼らはどういうようなことを言ったかというと、民事責任の概念を出したんですよ。刑事責任がなくても民事責任があるだろうという理屈を持ち出した訳ね。どういうことか?
例えば、戦争を起こした、ナチスドイツの蛮行という罪に対して言えば、当時生まれている奴もいれば、生まれてなかった奴もいれば、軍人、民間人、あるいは軍属、軍人の中でもポジションによってやったことは違う。だから、ドイツ政府がドイツ国民全体の罪を背負って謝罪するということはあり得ない。だから、今後もドイツ政府としてドイツ国民を代表して謝ることは永久にあり得ない、とまずこれを確認する。しかし、ドイツは今後、ドイツという枠の中で、子々孫々にいたるまで、生きて行く。その人間たちが不利益を被ることがないように、ドイツは信頼を獲得する必要がある。じゃあ、謝罪をしないで信頼してもらう方法はなにか? これがヴァイツゼッカーの議論のポイントだよ。
いいですか? それは、詳しいエビデンスの調査はほどほどにして、自分は戦争の被害を受けたという個人補償の請求があれば、個人、自治体、企業、あるいは国・・・ドイツは当時、連邦共和国でしたけれども、そのレベルで個人補償を付けて行くのであると。近代国家にあり得ないことだが、時効も廃止すると。近代国家にはあり得ないことだけど、表現の自由も、ナチスドイツの応援のようなものについては全て重罰に処するみたいに禁止を行う。これは近代国家から観ればずいぶん恥ずかしい枠組みだけど、そのような枠組みを犠牲を払ってでも、採用し続けることで信頼醸成しようということになった。
あるいは、ナチスドイツを悪く言う映画なんてのは世界中でつくられまくっている。今もつくられてるわけだけど、一切文句は言わないと。なぜなら、我々は既に過去とは手を切った。手を切ったということを今一生懸命示しつつあると。だから、戦前のナチスを悪く言い過ぎてるとかですね、「おい、お前、手を切ったんじゃねーのかよ!」と言われる可能性があるので、いろんな想いがあるにしてもですね・・・
小林:ちょっと待って。ドイツはね、戦争した相手には謝罪してはいないよ。ナチスドイツの罪に対して謝罪してる訳だから。で、ユダヤ人とドイツ人は戦争してない。国内にいた訳だから。それは圧倒的な差別な訳ね。差別について謝罪してる訳。だから、最近ギリシャが経済危機になってきてる。そうするとギリシャの方から、ドイツは謝罪してないから金を払えと、言い始めてる訳よ。だから、戦争当事国に対して、謝罪して賠償はしていない。
宮台:ユダヤには謝罪してるけど国のレベルでは謝罪はないんです。今に至るまで。
小林:だから、日本も同じ訳なんですよ。日本は戦争した当事国に対して謝罪をしてきた。だけど、ドイツはやってない。
宮台:謝罪をしたかどうかは問題じゃないんですよ。現にドイツは謝罪していないけど、信頼醸成には成功したんですよ。
小林:そうだよ。ヴァイツゼッカーがうまいんだよ。巧みな演説をやってるんだよ。
宮台:そう。でね、僕は何十年間も言ってるけど、重武装中立です。とにかく、重武装化することによって、アメリカのケツを舐めるのやめろってずっと言い続けていますよね。それは今も全く変わりませんよ。しかし、そのためには、日本は戦前と完全に切れているという信頼醸成が必要なんですよ。本当に切れてるかは問題じゃないんです。本当に切れてるように見える信頼醸成が必要です。謝罪が役立つならやればいい。しかし、謝罪はいくらやっても信頼醸成に役立って来なかった。どうしてかと言うと、みんなが謝罪してるように見えないから。「あの謝罪は間違ってる」とか、世論が聴こえてくる訳でしょ。だから、謝罪もほどほどに信頼醸成の方法をとるべきなんですよ。



東:(前略)僕は東京大空襲も、広島、長崎も、とんでもないと思う訳。とんでもない訳ですけど、日本人のよくないところは、勝手に水に流してる訳ですよ。僕たちが勝手に水に流して、向こうが水に流さないのに逆ギレしてる訳ですよね。(一同笑い)俺たちここまでバンバン流してるぞ。原爆だって文句言わないし、東京大空襲だって忘れてるじゃないか。お前らはなんで今そんなこと言うの?と逆ギレしてる訳ですが、それはやっぱ通らないんで、水に流さないで、俺たちも責任取るけど、お前らも責任取らせるよってことをちゃんとやって行かないといけない訳ですよ。
小林:だからね、韓国が「恨」の文化でね、徹底的に日本に植民地にされたことを忘れない。中国も侵略されたことを忘れない。正しい姿勢だと思う!
東:(笑いながら)僕もそう思います。
小林:日本もそうしろよと。
東:さらに言うと、あれに対して今の日本人が怒るのはよくわかるんですよ。日本人は水に流してるからね。でも、もう一周回って、水に流してることが間違ってるんですよ。こんなに水に流して来た俺たちをなんで責めるの?みたいなね。泣きそうになってる訳じゃないですか。(一同笑い)それは通らないですよね。
小林:ところがね、今になってアメリカでは、原爆っていうのはアメリカの側に責任があったんじゃないかという議論が出て来てるんだよ。こっちが言ってないのに、向こうがやってる訳。
宮台:人体実験説だよね。
小林:そうそう。そうやってアメリカから出て来てる。だから、これから歴史は変わるかもしれないよ。そしたら、やっぱり主張はちゃんとやっておかないといけない訳ですよ。だから、わしが言いたいのは、信頼醸成のためにと言うけど、アメリカとの歴史を捏造(安倍首相の「日本とアメリカの出会いは、日本にとって民主主義との出会いでした」というアメリカ議会での発言のこと)してしまったら、やっぱり困るなと。
東:もちろん、そうです。
小林:中国、韓国にだってそうなんだよ。捏造はできないなと思う訳。だから、我々は我々で、あの戦争はどのように起こって、なにが問題だったのか、なにが悪かったのかということは考えないと仕方ない訳ね。その思想の自由は主権国家なら許されるはずな訳ですよ。(後略)