ハノイの日本人

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小林旭 昭和恋歌。

ホテルの近所のDVD屋に小林旭伍代夏子氷川きよしという、どういう基準で仕入れたのかわからない3種のDVDがあった。日本の歌手であったのはこれだけだ。で、迷わず「小林旭 50周年記念コンサート」を買ってきた。このコンサートは実際に行きたかったんだよな。


小林旭50周年記念コンサートDVD

小林旭50周年記念コンサートDVD


小林旭には名曲がやまほどある。ここで歌われる「ダイナマイトが百五十屯」「さすらい」「北帰行」「ギターを持った渡り鳥」「オロロン慕情」ですらも、その内のごく一部だったりする。



今回一番うれしかったのは、「昭和恋歌」が入っていることだ。まあ、当然歌われるべき名曲なのだが、私は持ってなかったりするので、、、、。いや、これがでた当時、もの凄く貧乏だったから。モスバーガーでバイトなんかしてたのでw 


この歌の作詞は阿久悠さん。しかも、美空ひばりのために作ったというエピソードまである。あるパーティーで、阿久さんは美空ひばりに耳元でささやかれたという。「あっちにばかりいい歌書いて」。それだけ言うとひばりは立ち去ったそうだ。阿久さんはそのとき、なにを言われてるか、まったくわからなかったという。数年前に大ヒットした「熱き心に」のことを言われたと気づいたのは、あとからだったそうだ。


熱き心に」はもちろん、小林旭の大ヒット曲だ。2人は夫婦だったことがあるらしい。私には信じられない話だったりする。それにしても、「昔の旦那にばかりいい歌を書いて、私には書いてくれないの?」と大歌手ひばりに言われて、阿久さんは燃えたことと思う。ひばりの晩年の代表曲を自分が作詞してやろうと考えたかもしれない。しかし、その機会はなかなか巡ってこなかったようだ。


そして、ひばりが歌うことを想定して阿久さんが書いた「昭和恋歌」をひばりが歌うことはなかった。昭和が終わって半年も経たない1989年6月、ひばりは亡くなってしまったからだ。そして、その歌はどういう経緯からか、2001年になって小林旭が歌うことになった。



◉昭和恋歌(2001年 作詞:阿久悠 作曲:谷村新司
 命あるなら 恋に生き 花の桜と 競いたい
 例え短い 春だって 思い遂げれば 悔いはない
 おとめ18 おとこは20 おとなこどもの境なく 
 ともにこの世に生まれたことを ただと信じて抱いていた
 ああ〜 ああ〜 一日一日遠くなる
 私の時代が遠くなる そして あなたも あの人も



 ときは昭和の真ん中で 吹いた嵐も 過ぎた頃
 飢えた心も 満たされて めぐり逢う日を 待っていた
 おとめ18 おとこは20 ひとの情けを知りそめて
 熱い涙を 流せることを 恋と信じて抱いていた
 ああ〜 ああ〜 一日一日遠くなる
 私の時代が遠くなる そして あなたも あの人も


この歌詞を渡されたとき、アキラは「あれ?」と思ったそうだ。たしかに、もう自分の時代ではないと歌わされているような歌詞にも見える。それどころか、「そして あなたも あの人も」の後には、「死んでしまった」という言葉が入ることを想像する人も少なくないはずだ。しかし、それは阿久悠さんの実感だったのだと思う。そして、これは昭和とともに生きた阿久悠という作詞家が、その昭和への愛を全力で表現した大作だと私は思う。阿久悠さんの代表曲に挙げられてしかるべき名曲だと思う。


美空ひばり阿久悠さんも死んでしまったいま、小林旭がこの曲を歌ってる姿を見ることは、特別な体験であるように思う。小林旭のベストCDにも、ちゃんと入れて欲しい。