ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

北京在住 青木さんのインタビュー。中編

北京在住の 青木裕一郎さん( DJ QingMu )インタビューのつづきです。前回は北京での生活について話を聞きましたが、今回は神戸からハノイまで旅してこられたときの話を聞いています。


——ハノイに来たときにはいろいろ小道具を見せてもらいました。いくつか説明してもらえますか?
青木:「リズム遊び」に可能性を感じています。


——それはなんですか?
青木;コンタクトジャグリングです。透明のアクリルボールを HIPHOP とシンクロさせて躍らせています。最終的には DJ プレイ にも結び付けたいなと。



——しまった。ちゃんと見せてもらえばよかったですね。
青木:この夏は中国でジャグリングアイテムを仕入れて 日本各地プレイしながら路上販売していました。ハノイを訪れたのもモン族の口琴(こうきん)という楽器の仕入のために来ました。



——日本各地を旅しながらですか。どういった場所で どういったパフォーマンスをされたんですか?
青木:今回、3週間ぐらい三重に帰省していました。せっかくの日本ですから、日本円を稼いでみようと思って、コンタクトボールや中国保定ボール、チベタンシンギングボール仕入れました。三重や京都、名古屋の駅前で路上パフォーマンスし、集まった人たちに手にとって触ってもらい、欲しいと思った人には買っていただいきました。


——なるほど。やり方を教えつつ商品を売るって感じですね。
青木:北京に限らず海外で初めて出会う人に自分が何者かをよく問われます。民族楽器をプレイすることで、出身地や専攻を伝えるよりも「コイツは音楽が好きなんだ」という印象を持ってもらえます。


——それは わかる気がします。南アフリカに行ったときも「ワールドカップを観に来たんだ!」と言うと「サッカーが好きなんだな。そうか、そうか」と歓迎してくれました。
青木:僕は外国語はまだまだ得意じゃないので、下手に多く話すよりも自分を伝えやすいのですし。もし相手も音好きでそのまま一緒にセッションできたなら、言葉以上に深いコミュニケーションがとれると思います。国籍、性差、世代などを飛び越えて相手をよく理解できるのです。そういう意味でコミュニケーションとしての「リズム遊び」に可能性を感じてます。


——ハノイに来られたときには口琴を見せてもらいました。口琴という楽器自体は知ってたんですが、それを仕入に来るという発想はありませんでした。布にくるまれていて、おみやげとしても最適な気がしました。
青木:口琴ベトナムだけではなく東欧や、中国少数民族のイ族、北海道のアイヌなど世界各地に拡散していて、とっても原始的な楽器だと思います。ベトナム黒モン族の口琴は音も他のに比べ伸びがあるし、初心者でもすぐにプレイすることができると思って仕入れました。



——上の動画は Youtube にアップされていた黒モン族の少女の演奏です。では、青木さんが書いてくれた 今回の旅のスケジュール、まずは前半です。これを見ながら話を聞いて行きます。


7月20日(火) 日中フェリー鑑真号にて神戸を出港
7月21日(水) 船内
7月22日(木) 上海着、一泊。
7月23日(金) 午後に上海出発
7月24日(土) 南寧着、ハノイ行きバスにて出発
7月25日(日) ハノイ着、旧市街のホテルにチェックイン
7月26日(月) 旧市街を探検/夜、wakita-A と会う
7月27日(火) お仕事/午後に彼女合流
7月28日(水) 暑さにばててホテルで休憩/夜は3人でカレーを食べる
7月29日(木) ハノイ市内の楽器屋さんをまわる/夜、汽車でサパへ出発
7月30日(金) 朝にラオカイ駅に到着着、ミニバスでサパへ。午後はサパ市内でクリスタルボールのパフォーマンス
7月31日(土) 午後に宿のオーナーからモン族楽器口琴仕入れる


——神戸から上海までがフェリー。上海からは鉄道ですかね。日本からは いろんなルートがあると思うんですが、なぜ このようにしたんですか?
青木:水路と陸路でハノイを目指そうと思っていたので、このルートが一番安いと思ったからです。また、実家が三重なので神戸に比較的に近いというのもあります。


——このフェリー、一番安いので2等 大部屋で2万円。丸2日間乗ってるんですね?
青木:鑑真号は1年OPEN の往復で3万円です。さらに2往復してスタンプを押してもらうと3往復目が半額の15000円で乗船することができます。今回は半額で乗ることができましたよ♪



◉鑑真号
http://www.shinganjin.com/


——船内はどんな感じですか? 2日間なにをしてるんですか?
青木:乗客の皆さんはユニークな人が多いです。 例えば、中国語を学ぼうと考えている大学生や、留学を終え1年ぶりに日本に帰る人。 中国人の彼女を作ろうと頑張る団塊世代や、 上海から世界中を陸路で旅しようとしているバックパッカー、日本語と中国語が混じった言葉を話す子供までいて、飛行機では会えないような人が乗船しています。 中国と日本は本当に近い国なんだと改めて気付かされます。


——そうですか。船の旅もおもしろそうですね。
青木:片道がほぼ丸二日ありますから、自然とみんなで話すようになり情報交換やアドレス交換を終えて上海に到着します。その後は「また会いましょう」とそれぞれの目的の地へ散って行きます。びっくりすることに本当にまた船で会うことがよくあるんです。


——で、上海に着いて、今度は鉄道で南寧まで。時間、お金はどのくらいかかるんですか?
青木:寝台席で300元(4500円)ぐらいだったと思います。たしか、30時間弱ぐらいだったと思います。


——長いですね! 船と比べたら窮屈でしょう。車内でなにをしてるんですか?
青木:本を読んだり、音楽聴きながら風景を眺めたたりしています。中国人から話しかけられることもよくありますよ。バスに比べて電車の方がお隣さんとお話します。


——それはそうかもしれませんね。食べ物をもらったりとか。で、南寧からハノイまでのバスは私も使いました。だいたい9時間くらいですかね。中国側は道もいいですし、景色もいいですよね?
青木:景色はあまり覚えていませんが、中国国境はとても栄えていて、ベトナムに入った瞬間貧困が目に付くようになりました。もう自分が中国人目線になって見ているからかもしれませんが、、、 国境地帯はびっくりするぐらいこじんまりとしていました。。。



——そうですか。一度、国境付近でも泊まってみるかな。ハノイの第一印象はどうでしたか?
青木:ハノイは2006年に一度来たことがあります。道が狭く、バイタクが多く、空気も悪い。まさに発展途上国の首都というのが第一印象です。


——たしかに、中国の各都市間の道路網は驚くほど整備されていますよね。それから比べると、ベトナムはまだまだ発展の途中です。
青木:今回は偽札掴まされたり、バイタクや交渉で揉めて逃げられたりもしました。人・建物酔いをしてしまい、、、かなりまいっていました。


——お金の揉め事は本当にうんざりします。あと 暑いのもありますけど、空気が悪いのと、クラクションの騒音で疲れますよね? それと一番気になること。歩行者優先じゃないんですよ。バイク優先。中国はどうですか?
青木:中国の道路は大きいもの優先です。バスやトラックは優先されていると思います。その次に乗用車、バイク、電動スクーター、自転車、歩行者、という順で歩行者は一番気を使います。


——中国もそうですか。日本ではあたり前になってますけど、歩行者優先は素晴らしい思想だと思います。これはハノイに来るまで気づきませんでした。ハノイでは歩道を歩いていてもバイクに轢かれそうになりますから。ハノイは観光都市なんだし、なんとかしてもらいたいんですけどね。観光客はほとんど歩行者ですからね。青木さんは北京ではバイクですか?
青木:自転車です。


——中国では電動スクーターが普及してると聞いたんですが、乗ったことありますか?
青木:とても普及しています。友人のを乗せてもらったことがありますが、時速60キロぐらい出るので、ほとんど原付と変わらないですよ。


——それほどスピードの出ないものだったら安いですし、買おうかと思ってるんですよね。そう言えば、偽札は災難でしたね。私も青木さんの偽札を見せてもらいました。色も悪くコピーだったのかな。見せてもらった後、犯人が逮捕されたニュースを日本語サイトで見ました。でも、それは青木さんが来る前のことだったようです。けっこう、たくさんいるのかもしれません。ベトナムの1万ドン以上のお札はオーストラリアで作られたアクリル製です。旅行者は注意してください。
青木:ただ、ご飯は美味しかったです。Pho(フォー)はもちろん、ドライライスの上にカリカリしたフレークがのったのも安くて美味しかった!



——それは「おこわ( XOI )」ですね。フレークは ニンニクを揚げたものです。私も朝によく食べますよ。5000ドン(25円ほど)です。肉類や卵を乗せたものはもう少し高くなって行きます。


——旧市街のホテルはどうでしたか?
青木:まだ彼女と合流していなかったので、シングル5米ドルの部屋に滞在しました。狭くて高いビルを螺旋階段で上って行くのはまさにハノイ旧市街。決して綺麗なホステルではありませんが、スタッフがとても親切でした。そこで基本的なベトナム語も教えていただきましたよ。


——バックパッカーの人たちと話すと、ハノイの交通事情やホテルなどが とても評判が悪いんです。特にラオスから入った人たちが怒っています。ラオスのホテルなどはきれいで安いですから。でも、シングル5ドルの部屋だったら まあ、しょうがないですかね?
青木:彼女と泊まったホテルはダブルで20ドルでしたが、確かにラオスなどに比べると高い割りには部屋も全然よくないですね。


——翌日は楽器店めぐりですか?
青木:いや、まずは街の全体像をイメージしたかったので足の向くままに歩いていました。


——先ほども触れましたが、ハノイでも パフォーマンスをされたんですよね? 具体的にはどこでされたんでしょう?
青木:コンタクトボールを廻しながら旧市街をぶらぶらしていました。あと大教会前でもちょっとだけやりました。


——そうだったんだw 反応はありましたか?
青木:子供が集まってきて、触りたがっていたので手の平に乗せたらそのまま返してくれませんでしたw


——大人から子供まで まんべんなくやられたわけですねw お疲れさまでした。さて、ハノイを離れてサパに行かれました。鉄道は快適でしたか?
青木:たしかソフトシートで17万ドンぐらいで8時間ぐらいだったような気がします。鉄道は中国に比べて揺れました。けど、しっかり寝れましたよ。まずラオカイ駅に着いてからは、乗り合いミニバスで2時間ぐらいかけて山に登っていきます。


——実は、サパにまだ行ったことがないんです。どんな雰囲気なんでしょうか?
青木:サパは街全体が観光地でとってもひっそりと存在しています。建物はヨーロッパのお城みたいで目立ちました。中心には広場があり、マーケットが開かれています。全体的に物価はハノイよりも高かったです。


——じゃあ、完全に観光客向けのマーケットなんですね。
青木:ハノイの蒸し暑さや人の密度に比べるとまさに避暑地でした。欧米人旅行客とモン族がとても多いです。それを仕切ってお店を出しているハノイ人も多くいるようでした。(つづく)