ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

Life を聴いてあれこれ考えた。

『文化系トークラジオ Life 』のポッドキャストを聴きました。その中でアイドルについて語られた「外伝1」について書きます。


◉「グッときたレコメンド体験」part7(外伝1)(文化系トークラジオ Life )
http://www.tbsradio.jp/life/2011/07/2011626part7.html


チャーリーは「ジャニーズの担当と AKB の推しメンって違う気がする」と語っていました。「そんなの違ってあたり前だろ!! 」という感情的な発言は、とりあえず抑えるとしてw AKB の推しメンでは「プロデュースするのは秋元ではなく、俺たちだ」という幻想がエネルギーの元になっているのではないでしょうか? 一方、ジャニーズの担当の方は、理不尽なジャニーさんの思いつきや厳しい芸能界からタレントを守ってあげる母親的な目線があると思います。推すという意味ではマスメディアへの働きかけが中心かな? 対象の発言をすべて聞き、ライブをできるかぎり見る。教義ということになるとタレント本人なのかな?


それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)

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この話を聞いていて、ひとつ思い出したことがあります。ITバブルです。私の推しメンはライブドアホリエモンでしたw ソフトバンクの孫さん、楽天の三木谷さん、サイバーエージェントの藤田さん、USEN の宇野さん、とみんなそれぞれの推しメンを、株券を買って応援したのです。あれは楽しいイベントだったな。なんか資本主義自体をこバカにしてる感じがありました。でもホリエモンの逮捕でその祭りは幕を閉じました。当時、秋元もホリエモンに接近していましたよね。


タレントとファンの関係で言うと、1993年にブームになり、その後地域に定着したサッカーサポーターの存在もあります。また、1997年からは、日本代表サポーターも大きな広がりを見せ始めました。私はドイツでのワールドカップの惨敗で、足元が崩れ落ちるような大きな衝撃を受けました。自分の人生で体験したことのないような経験だったのです。時間が少し経って、そのことを不思議に思いました。そこで、日本代表サポーター・ウルトラスの植田朝日さんに「自分のことでもないのに不思議だ」と語ったところ、「思い入れが大きかったからでしょ?」と事も無げに言われたのです。まったくその通りでした。サッカーを好きになった頃に十代だった選手たちが成長して、代表の中心になっていたのです。


実は、最初にサポーターに関心を持った理由が「なぜ、自分のことでもないのに、我を忘れて熱狂できるのか?」というものでした。その解答を10年以上経ってやっともらった感じでした。そう、もしかしたら対象はなんでもいいのかもしれません。自分が思い入れを持てるものがあるのであれば。試合の勝ち負けだって、喜びの本質ではないのです。例え、日本が勝ったとしても、そのチームに思い入れがなければ、それなりの感動しか得られません。外側にいる人間は「どれだけお金を使ったか?」「どれだけ知識があるか?」などを問い掛け「本物 or 偽物」という分類をしてきます。でも、そういうのって本当に無意味です。だって、思い入れというのは、その本人の中の問題だからです。長くなりました。ラジオに戻ります。


斎藤さんは「昔スターだったのが、隣の女の子的なアイドルになって、そこからもう一段切り下がって別の呼称が必要かもね」と語り、それを受けてチャーリーが「グラビアアイドルや声優アイドルは、タレントとファンという関係がそこにあったとしても、80年代までにあったアイドルビジネスの縮小再生産に過ぎない。アイドルビジネスモデルは80年代末か90年代最初で一旦崩壊している。そっから先はなんらかの工夫がないと受け手に届かないようになっている。」というようなことを語りました。私もそう思います。


例えば、私の場合、木村拓哉 をどう呼ぶべきか?と考えたことがありました。他の「アイドル」と呼ばれる人たちと別の呼び方をしたかったからです。メディアでは「国民的アイドル」と呼ばれましたよね? それも今では AKB によって切り下げられましたが… 結局、私は「スター」という呼び方をしたんですけど。SMAP は昔のようにスターと呼ばれてもおかしくない存在だとは思いますが、やっぱり、なにか新しい言葉が欲しいですよね?


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最後、チャーリーは以下のようなことを語りました。「送り手側が魅力的な商品、それはアイドルだったり、コンピューターだったりを打ち出したときに、そこにお金をだしてくださいではなくて、消費者のコミュニケーションを誘発して、喜んでお金をだしたくなるような環境をつくることに資本主義のシステムが向き始めている。そのときに、レコメンドというのを見たら、ひとりひとりは自分が好きですって言ってるだけなんだけど、その好きですを100人分集めてずらーっと並べると、強烈なレコメンド洗脳装置になる。で、それがいま、需要が飽和してると言われる時代、本当に欲しいものなんてないと言われている時代に、唯一欲しいという感情を掻き立てる手段になっている。あの人も、この人も推しているということが、消費者需要を喚起する仕組みになっている。」
 

私は上でチャーリーが語ったようなことを、ジャニーズは今度デビューする Kis-My-Ft2 で行うと思っていました。その戦略があるからこその「0トップ」だと思っていたのです。これまでのキスマイは、まさに語りたくなるアイドルグループでした。しかし、デビュー曲は一転して、これまでのジャニーズの焼き直しのような曲でした。なにか驚かせるような仕掛けが用意されていればいいのですけど。