ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

ジャニ友、HALさん、全日本選手権編。

男子フィギュアスケートが盛り上がっています。今回は先日行われた全日本選手権の結果について、HALさんに解説していただきます。まずはジャニーズの話から。



——HALさんのフィギュアの話が好評で、また登場してもらうことになりました。今回は KinKi Kids の大阪でのライブの話、そして、私の電子書籍の感想も伺おうと思っています。
HAL:好評だったんですか? それはありがたいですが、他人様のブログでやらせていただくことだったんだろうか、と今でもちょっと後悔していたので、なんかそういっていただけるとありがたいやら申し訳ないやらです。


——話を聞いてなければ、いまの面白い状況がまったくわかりませんでしたから。タイミングもよかったですよね。男子の盛り上がりにハマって。
まずは、キンキの話から行きましょう。これまでに観たことのないステージだったとメールに書かれていました。HALさんが行かれたのは大阪ドームの2日間。23日と24日。
HAL:今回のコンサートのステージセットなんですが、メインステージから伸びる花道が15周年を意識して、中央に2本のラインがある以外に、数字の「1」が向かって左サイドに、「5」をかたどったものが右サイドに配置されていました。
それ以外におなじみのジャニーズ・ムーヴィング・ステージがあるんですが、これが今回横に移動するだけでなく、縦にも移動するように作られてまして、ドーム3階席の高さまで床が上がります。スタンド上層階の観客には非常にうれしい作りの反面、そこで踊られるとアリーナやスタンド下層階はほとんど見られないので、席がどこになるかで大分満足度が変わるのではないかと思います。


——大阪ドーム、野球を見に行ったことがありますけど、3階席って、めちゃめちゃ高いですよね? そう言えば、光一君は高所作業車の資格も持っていましたか?(笑)
HAL:持ってましたっけ? 本人も忘れてそう。光一君は「別に高いところが平気ってわけでもない」と言いつつ、ある程度の耐性があるみたいですが、高所恐怖症の剛君は今回のステージは大変だと思いますよ。私もそうなのであのステージに人が乗ってるのを見るだけでも怖いのですから、乗ってる本人は相当辛いでしょう。それで歌って踊ってなんてよくできるなとプロ根性に感心しました。こればかりは多分同じ高所恐怖症の人にしか理解してもらえない辛さかもしれないですけど。
初日はアリーナでしたが、ほとんど機材を見上げてただけのような(笑)。最もこのあたりの不満は大阪公演での反応を受けて東京公演ではまた修正してくると思います。でもジャニーズ・カウントダウンではどのような使い方をされるかはわかりません。



——ムービング・ステージは 松潤が発明し、2005年のツアーで初登場したと言われているんですが、最近ではジャニーズ以外でも K-POP や 秋元ビジネスがマネするようになって、大規模ニューマシンを投入したわけですね。凄いな。あれ? その大きさだとついに人力から脱したってことですか?
HAL:機構がどうなってるかはよくわかりませんが、人力ではなかったような。ただスタッフが横を数名ついてケーブルさばいたりだとか色々やってましたね。別のアーティストのですがコンサートの設営、一回だけ手伝ったことがあるのですが、小規模のホールでもすごく大変で危険な作業なので、ドーム規模でこれだけ大掛かりのセットを短時間で組み立て、演者や観客の安全に気を配りながら運営していくのはとても大変でしょう。


——私も大学生のときにコンサート・スタッフのバイトをよくやりましたよ。ドームの規模じゃないですけど、ホールのタイムリミットまでにじゃんじゃん機材を運び出して。非力な私は、BUCK-TICK のライブでスタッフに怒鳴られて泣きそうになりました。ジャニーズだとどんだけ動員されてるんだろ?
HAL:凄い人数がかかわってるでしょうね。今回夕方4時開演だったのですが、リハーサルが終わってから2時間くらいですべての機構をチェックして客入れに間に合わせて、凄いよねーと光一君がMCでスタッフに感心してました。
余談ですが、他のアーティストのライブで裏方のスタッフの働きにまで触れる人って聞いたことないです。光一君は必ずMCでスタッフの労をねぎらいますね。当たり前かもしれないですけれどなかなかできないことでもあるので、彼のそういう感覚は好きですね。
ニューマシンというか光一君のソロでびっくりしたのが「ドット・イメージ」という最新の照明機材ですね。光の粒が3Dで投影されてくるんです。



——光一化身白馬王子(笑)。
HAL:韓国では「Asian Lovely Prince」って紹介されてましたよ!(笑)。本人が聞いたら苦笑しそうですけど。
4分37秒あたりから出てますが、こればかりは生で見ないと驚きが伝わらないというか、こんな面白い演出ができる機材があったんだと、「ドット・イメージ」が出てくると、これの動きばっかり毎回目で追ってしまう。


——そうですね。この映像ではちょっとわかりにくいかな。
HAL:最近ユニバーサルスタジオとかのショーで目玉の演出になってる「プロジェクション・マッピング」も私が最初に見たのは何年か前のKinKiのコンサートでしたし、ジャニーズって常にステージ演出の最新のところを行ってるんじゃないですかね。



——プロジェクション・マッピング! 東京駅のイベントが中止になったと話題になってましたね。ジャニーズでは前からやってたんですか。DVDではあまり意識したことなかったな。
HAL:それだけをメインに据えるのじゃなくて、あくまでも演出の一部として数秒だけイメージ投影とか、さりげなく贅沢な使い方してるせいもあると思います。
音楽ライターの市川哲史も何かの記事で書いてましたけれど、ジャニーズのコンサート演出の多彩さは、従来のロックバンドよりかなり視覚で見せることを意識しているはずのヴィジュアル系バンドのそれをはるかに凌駕しているってのは同感です。


——今回の『ジャニーズ・ワールド』も凄いでしょうね。たぶん、凄いを通り越して「狂ってる!」ぐらいに過剰な演出になってると想像します(笑)。
HAL:私は歌をメインで聴きたいので、(音響が酷くなければ)席にそれほどこだわりはないのですが、今回ダンスに関しても新しい振付師の方を招いて、70年代風の振り付けのダンスがあると聞いていましたが、席的にそれが良く見える位置にはなかったのでちょっと残念です。DVD(出るかな?)までお預けですかね。
そういえばダンスで変わったところと言えば、今回『愛されるより愛したい』の感想部分の振り付けで珍しく二人が女性ダンサーと絡んでるものがありましたね。光一君ソロだと珍しくないですが、剛君がやると新鮮。


——前回、今年の活動について不満も話されていましたが、それは解消されたのでしょうか?
HAL:コンサートの MCで現在アルバム製作中ということで、いろいろ水面下で進行してるんだなというのはわかりました。
「なんで15周年やらなかったんでしょうね?僕にもわかりません!」と光一君がしきりに言ってましたが、だれに対するアピールだったんでしょう?(笑)。いろいろと簡単には動けない事情もあるんでしょうけれど、読み違えてほしくないのは、グループファンは15周年だから何かしてほしかったわけじゃなく、記念年くらいはグループとしての活動量が増えるんじゃないかと願っていたということです。


——記念日を大切にするジャニーズとしては珍しいですね。まあ、そのお詫びも込めてのニューマシン投入だったのかも。
HAL:そんなお詫びいらないので全国ツアーとか、もう少し行きやすい日程でコンサートを開催するとかしてほしいです。今回のツアーだって関ジャニ∞に年末年始東京ドームやってもらって、KinKi は京セラドームを12月30日からにしたら、単独カウントダウンコンサートできたと思うんですけどねー。関ジャニも大阪から紅白に移動するよりそっちの方がよっぽど楽だったでしょうに。
KinKiはソロ活動の比重も高いですから、1年何もしてなかったわけじゃないですけど、それぞれのソロの方向性も極端に違い、ソロだけを支持するファンも増えている。それは別に悪い事ではないし、むしろそれだけはっきりと個性を確立できたことは素晴らしい事だと思います。


——私はトップグループ制の話をよくしていますが、それとは別にキンキの2人がそれぞれに活躍していることを見れば、結局は自分たち次第ってことがわかると思うんですよ。どのグループにしたって他の事務所より恵まれているんだし。
HAL:でもその一方で活動比重が明らかにソロにおかれ、グループとしての活動がほとんどない現状はグループのファンにとっては寂しいことなのだと、その気持ちを KinKiのスタッフには汲んでほしいと思いました。


——わかってはいると思いますけどね。
HAL:今回のセットリストはスタッフが中心になって考えたそうですが、AからKまでのアルバムの中から、ファンに人気が高かった曲を中心とした選曲で、昔から応援していたファンには懐かしく、新しくついたファンにはもう見られないと思っていた曲でのパフォーマンスが見られて、満足度の高いセットリストだったのではないでしょうか。こういうセットリストが組めるスタッフがファンの気持ちを読み取れないわけでもないと思うので、やっぱりいろいろと事情があるんだろうなとは思います。堂々巡り(笑)。


——ジャニーズで現在活動してるグループは、14組もありますから。NYC とか テゴマス、ソロなども含めると交通整理も大変なことは想像できます。
HAL:何時になるかはわからないけれどアルバムのレコーディングを進めているということもわかりましたし、気長に待ちます。
今回は『 Lアルバム 』に収録予定の曲から2曲披露してくれまして、一つは吉田建さん作詞作曲の『恋は匂へど散りぬるを』。タイトルからわかる通り、和風な感じの桜を題材にした失恋ソングでしたが、ダンサブルで華やかでKinKiの歌謡曲路線が好きな人は気に入ると思います。
建さんが二人を見て「今こういうのをやるのもいいんじゃないか」と言ってくれたそうで、剛君曰く「KinKi の根底を知っている建さんならではの楽曲」でした。個人的にも気に入ってます。


——ちあきなおみ『色は匂へど』を連想させるタイトルですね。こちらは伊集院静作詞、筒美京平作曲です。この歌詞は光一君を連想させるなにかがありますよ。



HAL:2番の歌詞聞いて納得しました(笑)。うん、そんな感じで応援しているファンも多いでしょうね。ただ今回の新曲との共通性はないですね。タイトルは意識したかもしれません。
曲は光一君がソロでよく和を意識した曲を作ってますが、それが好きな人なら絶対好きでしょうね。



HAL:もう一つは堂本兄弟玉置浩二さんが即興で作ったものを完成させてくれた『むくのはね』。こちらは玉置さんが歌ったバージョンもいいですが、今回初めてKinKiの声で歌われたものを聴いて、本当に感動しました。



HAL:「愛してる」と繰り返されるフレーズがロマンチックな愛のささやきというよりも、もっと切実な、痛々しいほどのひたむきさを持って心を打つのは、もう二人の声質の特権でしょう。早くちゃんと聴きたい。
というわけで『 Lアルバム 』対する期待は高まっています。


——大御所ミュージシャンが先に歌ったとしても、それとは違う歌にしてみせるという自信があるんでしょうね。キンキはもっとアーチストとして評価されていい気がします。もちろん、アイドルであることを大事にするジャニーズが私は好きなんですけど。
次に、私の電子書籍を読んでもらいました。今回は嵐の楽曲が中心でキンキとは直接関係ないですが、ジャニーズ全体を知ることでわかることもある気がします。どんな感想を持たれましたか? なんでも言ってください(笑)
HAL:まずジャニーズ事務所の歴史自体まともに知らなかったので、勉強になるなあと思いながら読んでました。


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◉ジャニーズのトップグループ制と現在のトップ嵐

 http://p.booklog.jp/book/62547

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——ありがとうございます。一応、ジャニーズのことを知らない人にも読んでもらいたいと思い、歴史にも触れたんです。50周年ですしね。でも、たしかにジャニーズのファンも過去を意識することは少ないですよね。
HAL:大塚英志の『物語の体操』や『定本 物語消費論』は既読でしたが、それとジャニーズのグループの動きを重ねてみたことはなかったので、かなり目からうろこというか、そういう考え方もあったのか!と驚きました。


定本 物語消費論 (角川文庫)

定本 物語消費論 (角川文庫)


——ああ、読まれていたんですか。私も読んでいたんですけど、それをジャニーズと結びつけることはありませんでした。『文化系トークラジオLife』を聴いていたら、アイドルと物語消費について鈴木謙介さんと澁谷知美さんが話されていたんです。ジャニーズと結びつけることに、自分としては違和感がありました。もちろん、私がしていることは物語消費に違いなかったんですけど。だけど、もう一度考え直してみたんです。
ファンがそれぞれ自分自身のストーリーを持っているとは感じていました。でも、物語消費で書かれていることと、それを結びつけることはなかった。物語消費の本質を理解していなかったと言えるのかも。ジャニーズの CD だけが今でも売れ続けているのは、ファンが物語を作るのを邪魔しないような形で活動しているからかも知れないですね。
HAL:確かに通過儀礼に関する話に関しては、一致する部分が多いんですよね。大塚さんはそれが日本だけでなく人類共通の物語として普遍的に私たちの意識に刷り込まれているものだと民俗学の観点から指摘してましたが、ジャニーズはそれをわかっていてやっているのか? もし無意識に取り入れてるのだとしたら凄い嗅覚だと思います。



——「少年から大人へ」の物語を導入したのは、本文でも書いたように郷ひろみのプロデューサーだった酒井政利さんなんです。そのときはもちろん、物語消費という言葉はありませんでした。マッチさん、光GENJISMAPKinKi Kids、嵐、Hey! Say! JUMP と物語が受け継がれて来た。そのどこかで物語消費が導入されたわけです。大塚英志さん本人が関わってる可能性だってありますよね。
HAL:曲がアーティストの成長記録になっている、というのは新しくファンになった人も初期からの曲を聞いていくことで、時代を追体験できるわけで、確かに上手い戦略だなあと思います。



——そう! だから、ベスト盤の発売時期はしっかりと考えられていると思います。
HAL:比較に出しちゃって申し訳ないですが、AKBグループは内部にいろいろな波乱を起こして物語を作り出していますが、それがこの通過儀礼にのっとったものになっていない、もしくはそれをしようとしても脱線してしまっているものが多いと思います。
なぜなら主体となるファン層は成熟を拒否し、成長し少女から女性になったアイドルを受け入れることが到底できないからです。かといって代わりに新たな少女に乗り換えることもできない。できる人のほうが少ない。自分の好きなタレントに永遠に「少女」でいてほしい。
だから世代交代ができないんです。彼らが最も恐れるのは「変化」ですから。サプライズと称する一連の事件は所詮予定調和の世界の中の茶番劇で、本当の成長ではない。ですから無理がきて破たんするのだと思います。


——成長過程を見せると言ってはいるんですけどね。実際に、運営やファンがそれを望んでいるかはわかりません。おニャン子もそうでしたが、「成長」の代わりとして更新システムの「卒業」があるんだと思います。
それと、秋元ビジネスは大塚英志さんの『物語消滅論』の方を意識してると思いますよ。IT化が進んでからの話。こちらにはフェイクヒストリーを必要としないキャラ萌え型の物語消費ということが書かれていますから。



◉未来マンガ研究所
http://ch.nicovideo.jp/channel/mirai-manga-labo


——そう言えば、秋元ビジネスの東京ドームライブのDVD を観たんですよ。いきなりジュニア・マンションで始まるんですけど(笑)。ジャニーズ・ファンには『 SUMMARY 』でお馴染みですよね?
でも、私がライブに求めるものはありませんでした。いい曲もあるんですけど、ライブ感がまったくありません。だって、一部のソロ以外はCD音源が流れているだけなんです。音が外れようがなにしょうが、生歌には価値があるものなのに。安定しているとしてもスリルがない。だから、熱狂しようがない。成長するわけない。ひたすらサイリウム振ってるしかない。まったく求めてる物が違うんだと認識しました。
HAL:コンサートってその時ならではのハプニングやパフォーマーの感情の揺れやオーディエンスとの一体感とかそういうのも含めて「ライブ」ですからね。普通舞台裏ってあくまでもメインがあってのおまけですが、そこが AKBでクローズアップされるのは、「裏ではいろいろあって努力してるんです」ってところを見せないと、メイン部分が成り立たないからなんだろうなと思います。
あと AKBのファンにとって一番「ライブ」が体感できる場所ってやっぱり握手会なんでしょうね。


——たしかに、大変でしょう。接客がメインの活動なんだから。
電子書籍KinKi Kids『硝子の少年』編も来年出すつもりです。私としては非常に面白いストーリーになっていると思うんですけど。まあ、一連のシングルを物語として読むというのは、あまりされている人がいないようで、反応は薄いですよね。
HAL:私は楽しみです。確かにファンサイトでジャニーズについて語る人たちって、グループ内のタレントたちの関係性に注視したり、楽曲に関してもその1曲のみの評論になっていることが多いですね。


——そうなんです。でも、キンキの場合には、連続物で歌詞を書くと言っている松本隆さんが主力作家としているんですから。
タレントのことを考えるなら、彼らが所属してる事務所のことも知った方がいろいろわかりますよ。普通なら面倒でなかなか出来ないことですけど、なんと、今回は 300円で読めるという!
HAL:そうですね。なかなかない切り口なので面白いし、同じ曲を聞いても違った感想が生まれると思いますよ、と私もお勧めします。


——ありがとうございます! 文化系のみなさんは秋元ビジネスをどう語るかというゲームに熱中してるんですよ。お金のこともあると思いますが。もう、十分でしょう。そろそろジャニーズの話をしましょうよ。50周年なんだし。
HAL:ところで大塚英志といえば『人身御供論−通過儀礼としての殺人』は、読まれてますか?「猿婿入り」や「瓜子姫」といった昔話に見られる「供犠」の存在によって、主人公が大人へと成長していく通過儀礼が、現代のコミックにもモチーフとして多く使われているという指摘がされているんですが、以前ブログでわきたさんが指摘されていた「Hey!Say!JUMPの森本君の起こした不祥事の後にシングル『 OVER 』をリリースする」という過程が、そのまま「猿婿入り」の通過儀礼の枠組みに合致すると思うんですよ。


人身御供論 通過儀礼としての殺人 (角川文庫)

人身御供論 通過儀礼としての殺人 (角川文庫)


——本当ですか! 大塚英志さんの著作は全部読まないといけないですね。最新作も今月発売になっています。情報ありがとうございます。そう言えば、「瓜子姫」の話はニコ生の『物語の学校』で見ました。
HAL:「猿婿入り」は簡単に言うと、「村を禍から救った猿が褒美としてある村娘を嫁にもらうのですが、娘は猿を計略によって殺害して、村に戻って幸せに暮らす」という猿の立場からすると酷い話なんですが、猿は少女を恨むのではなく少女のその後を心配する歌を残して死んでいきます。なぜなら、この昔話の中で猿が果たしている役割が、少女が大人へと変わり幸せな生活を送るための「供犠」としての存在だからだ、というのが大塚さんの主張なんですが、Hey!Say!Jumpにおける「猿」がだれで、大人になったのがだれなのかはもうお分かりでしょう?


——ひえー 残酷な話ですけど、完全にそういう設定だと思います。
HAL:昨今はやりの『 ONE PIECE 』なんてこのモチーフそのままですね。主人公もそうですし、仲間が加わる際に展開される仲間の過去の話も、「だれか」か「何か」の喪失によって、人生の岐路に立たされ、大人になることを選択した経緯が繰り返し、色を変えて何度も何度も書かれている。


——私はジャニーズにおいて受け継がれる物語を書籍にしようとしているわけですが、ジャンプのマンガでもそういうのをやって欲しいですね。特に車田正美で。1977年にスタートした『リングにかけろ』ではギリシア12神が登場していますし、1985年にスタートした『聖闘士星矢』では、女子をターゲットにギリシア神話そのものを題材にしています。車田本が読みたい!
そう言えば、『リングにかけろ』の高嶺竜児はボクシングのチャンピオンになれば、大好きな母と一緒に暮らせると姉に言われ頑張っていたんです。でも、母は先に死んでしまい、その死を知って初めて、姉から自立した男になりました。
HAL:ジャンプで神話を下敷きにした作品と言えば藤崎竜の「封神演義」も面白かったですけどね。中国神話を下敷きにしながら SF 設定を取り入れ、地母神信仰まで話を広げてました。原作にした安能務版の「封神演義」からさらに深く掘り下げてましたね。単純な勧善懲悪ではない、最終的には主人公すら見方を変えれば悪になるのではないか?という話がジャンプ読者層に受け入れられたのかはわかりませんが、ある程度成功したのではないでしょうか。
話をHey!Say!JUMP に戻せば、『 OVER 』のシングルのセールスは、森本君の犠牲によって成り立っている。彼を失ったことを受け入れて応援していかなければならないファンは、現在の成功が喪失によって成り立っているものであることを受け入れながら、これからの JUMP を見ていかなければならない。つまりグループだけではなく、彼らを応援するファンにも痛みを強い、失うことによって否応なく成長を促しているわけです。グループと一緒にファンも成長させようとしている。



——『 OVER 』発売と同時に明るみに出た森本君の事件には、私もかなりショックを受けました。そして、JUMP 編で詳しく書きますが、『 OVER 』の次のシングル『 Magic Power 』で「♪ 離れられるわけないよね?」という歌詞が登場しています。これを聴いたときには頭がクラクラしました。
HAL:それを意図的に組み込んでやっているのかはわかりませんが、嵐の通過儀礼が「英雄物語」になぞらえられるなら、JUMP は「猿婿入り」になぞらえることができるんじゃないかと、そう思いました。
そして「猿婿入り」の枠組みを駆使している『 ONE PIECE 』があれだけヒットしている現状を考えると、今の時代にこの手法は合っているんだと思います。



——最初に用意したのは別のストーリーです。でも、事件が起きたことで、「猿婿入り」が導入されたのでしょう。週刊文春によると、事件が明るみに出る結構前から脅迫を受けていたそうですから。
とりあえず、今回の電子書籍の 嵐のストーリーは他のグループのファンにとっても面白いと思いますから、ぜひ、読んでください。何度も言いますが、事務所の意向と 嵐の魅力は別ものです。そんなことを事務所は考えていたのかくらいに思ってもらえれば。


—さて、本題のフィギュアスケートに参りましょう。今回の全日本選手権はいかがでしたか?
HAL:全日本選手権というのはやはり特別な大会だなと思います。国際大会に出るようなトップ選手にとっては1月以降に続く大きな大会に出場するための代表選考の場なので緊張感はけた違いですし、そうでない選手にとっては地方のブロック大会から予選を勝ち抜いてきてようやく出場できる一番大きな国内大会ですからね。高校野球で言う「甲子園」です。


——サッカーで言う「天皇杯」ですね。プロ、アマ問わず参加出来る。
HAL:実は国内外問わず試合に出てくるフィギュアスケートの選手はアマチュアではなく全員「エリジブル(五輪参加資格のある選手)」です。なぜならグランプリシリーズや世界選手権などは順位に応じて賞金が選手に渡されるので、厳密にアマチュアとは言えなくなっているんですよね(テニスやゴルフの賞金額と比べると雀の涙程度の額ですが)。プロスケーターはISU(国際スケート連盟)傘下の大会には基本的に出場できません。
全日本は毎年いろいろなドラマが生まれる場所ですが、今回は特に男子が盛り上がりまくってましたから、いい時代になったとしみじみ思いながら見てました。


——まずは男子から。ついに羽生選手が優勝しましたね。



HAL:ショートプログラムであれだけの点数を出されてしまったので、ほかの選手にとっては厳しい戦いでしたね。


——素晴らしい演技だと思いましたが・・・
HAL:素晴らしい演技ですよ! どうせなら100点超えさせてもよかったくらい。そうなるとほかの選手の気持ちがさらにめげますが(笑)。
昨年の高橋選手の全日本ショートもそうでしたけど、どこの国も国内大会は宣伝を兼ねて点数を盛りまくるのに、日本は割と遠慮がち。
若手の選手はなかなか点数がいきなり跳ね上がるということが無いので、昨季の点数と比べると羽生選手はシーズン当初から点数が出まくっていたのに驚かれていたんです。
グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカ羽生結弦選手のショートプログラムの得点が出た時は、あまりの高得点に「スケートアメリカはどの選手も例年得点がインフレするから」というのが大方のファンの見解だったのですが、その高得点が持続しているのを見ると、「一時の勢いだけではなかった、本物だ」と評価されているのだとみていいと思います。
実際スピン、ステップもすべてレベル4を取れる構成を実施していますし、今季から導入された後半にジャンプを跳ぶと基礎点に 1.1倍の係数がかかるというルールを利用して、とにかく取れるだけの技術点を狙う構成になっており、実際それをミスなく実施できているのは凄い事だと思います。
そして安定した演技を続けていることで演技構成点も高くなっている。スケーティングも昨季に比べるとずいぶんよくなってますからね。ジャッジの期待値も多分に入っていますが、その期待に応える演技をし続けている、というのも大きいです。



——グランプリ・ファイナルのときにはスタミナについて心配されていました。
HAL:彼の今季の課題はフリーでのスタミナだったのですが、今回のフリーでは崩れることなく滑り切りました。グランプリファイナルも最後まで体力が持ちましたが、あれは予定していた4回転サルコウが2回転にすっぽ抜けたことで、逆に体力が持ったのではないか?という意地の悪い見方をしていたんですが、今回は予定していたジャンプ構成をやり切っても余力がありました。体調不良で明らかに痩せてしまっていたから、みんなフリーのスタミナが持つか心配していたのに!


——伸び盛りなんでしょうね。
HAL:着氷が乱れたとはいえ2種類の4回転を跳び、さらにジャンプの基礎点が 1.1倍される後半にトリプルアクセル2回、トリプルルッツ2回と4回転の次に基礎点の高い2種類のジャンプを成功させたことで、高い得点を得ることができました。
彼はジャンパーなだけではなく優れたスピナーでもあって、スピンでも多様なポジションを取ることができ、回転も速く美しい。それが評価されて安定してスピンの得点が稼げることも強さの理由ですね。
その反面、フリーに関してはまだ技術要素をこなすだけで、曲想をちゃんと滑りで表現できているとは本人もまだ思っていないでしょう。
今季はアイスダンスの2011年世界選手権優勝カップルであるデーヴィス&ホワイト(アメリカ)も同じ「ノートルダム・ド・パリ」を使って滑っていますが、羽生選手はその演技を見てへこんだそうですが(笑)、彼なりの「ノートルダム・ド・パリ」を表現できるように頑張ってほしいです。



HAL:現在改善に取り組んでいるスケーティングも疲れてくると猫背になり、首を突き出して滑ってしまう姿勢の悪さが出てきてしまいます。スピードがステップになると落ちてしまうのも課題ですね。このあたりが克服できると、演技構成点でも9点台が狙えるようになるのではないでしょうか。そうなったらもう手が付けられませんね。


——ああ、言われてみると、たしかに姿勢が悪くなってるときがありますね。体幹をもっと鍛える必要があるのか。
HAL:彼も課題をわかっているのが、下記のNHK特集「アスリートの魂」で語られています。



HAL:ちなみに4回転ジャンプについては同じNHKの『ミラクルボディ』の特集も参考になります。



HAL:もう一つ評価したいのがコーチであるブライアン・オーサーの手腕です。フリーでは羽生選手は最終滑走。6分間練習から実際の滑走まで40分近く待たなければなりません。この間に緊張のためにウォームアップをやりすぎて本番前につかれてしまったり、先に滑った選手の演技に対する歓声や得点を聞いて動揺してしまったり、本番前の調整というのはベテランであっても難しいのですが、今回オーサーは羽生選手にイヤホンをさせて外部の音を遮断させました。そのため 羽生選手は先に滑った最終グループの5選手がどんな演技をし、どんな得点を出したのか、全く知らない状態で自分の演技に集中することができました。


——なるほど。観る選手もいれば、観ない選手もいるんですね。
HAL:最初に滑った高橋大輔選手がものすごい演技をし、観客総立ちの大歓声、そして192.36点という信じられない高得点を出したのを知っていたら、少なからず心理的な影響があったでしょう。
オーサーは選手に本番で力を出させるための調整の仕方が本当に上手いコーチだと思います。選手個人の性格や能力をよく観察し、この選手にはこういう調整が必要だ、ということをよくわかっていると思います。



——こちらも素晴らしい演技だと思いましたが、減点があったんですね。
HAL:2位の高橋大輔選手はショートの採点がとても厳しかったですね。4回転は回転不足でアンダーローテッド判定。トリプルルッツは正しい踏切りをしていないということでエラー判定され、スピンもステップもレベルを取りこぼしています。このうちルッツの踏切りに関しては、フリーの解説で荒川静香さんも「きわどい判定」と言っていたように、一見問題なく見えたのでエラーがついたのは意外でしたが、「曖昧な踏切りは厳しいジャッジに当たると、今回みたいに判定されるから気を付けたほうがいい」という日本のジャッジからの忠告と受け止めるべきでしょう。他の減点要素に関しても、なぜこういう判定をされたのかはジャッジに聞けば教えてくれますので、それを参考にして次の試合に向けて修正してほしいと思います。実際、フリーではルッツの踏切りをかなり意識して正しく行うように修正してきました。
技術面はそれでいいのですが、今季のショートプログラムに関しては完璧にやらないと演技構成点も伸びない、ジャッジが点数を出しにくいものに取り組んでいまして、引退まであと残り4つしかない彼の試合用プログラムに、正直なぜこの曲、この振り付けを持ってきたのか疑問です。最もそういわれることは高橋陣営もわかったうえで、「大輔にとって、とても難しい曲。彼の持つ、体から醸し出す雰囲気を必要としない曲なので、彼の良さを表現しにくい」とあえて苦手な曲調に取り組んでいると長光歌子コーチは話しています。


——ええ、音楽は気になりました。ビックバンド・ジャズですか?
HAL:ロックです。『 Rock'n'Roll Medley (Hard Times) 』『 The Stroll 』『 Rudy's Rock 』のメドレー。でもジャズっぽくも聞こえるということでの選曲だったみたいですね。今季はショートで何をやろうかさっぱり思い浮かばなかったので、振り付けを頼んだ阿部奈々美コーチに選曲してもらったそうです。でも振り付けは最初に披露された8月から何度も手を入れて変わってますね。ニコライ・モロゾフコーチの手もかなり入っているように思います。
8月のショーで初めて見た時は「これで点数出るだろうか?」と本当のところかなり不安でしたので、今の改良バージョンはそれなりに安心して見られますが、今回のような判定が出ると厳しいなと思います。


◉ 勝利の方程式 高橋大輔(4)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/skate/121221/20121221037.html


HAL:彼は2011年の世界選手権後に五輪まで現役続行を決めてから、1シーズンごとではなく、2014年2月のソチ五輪までの約3か年計画で調整を行っていくつもりですから、目先の結果ではなく先を見据えての取り組みなんだと言い聞かせて見てますが…。


——それは上位を狙う選手として当然あるでしょうね。そして、フリーの演技。これはもう圧巻ですよね。



HAL:フリーに関しては凄いものを見せてもらいました。
鬼気迫るという表現がぴったりで、もうこういう演技を見せられると、点数とか順位とか吹っ飛びますね。どんな点数をつけられようが関係ない。この演技に点数なんて必要ないと、そういうところまで行ってしまいます。



——パヴァロティ。結構、若いときですか?
HAL:これはそうですね。名盤と言われるデル=モナコのもいいですけど。



HAL:下は2006年全日本選手権のFS『オペラ座の怪人』ですが、この時もすごかった。



HAL:高橋選手は陽性の演技より、こういった人間が持つ怒りや嫉妬、憎しみや恨み、そういった負の感情を、見ている人の心までえぐるように伝えることができる表現者ですが、その力がますます研ぎ澄まされていっていると思います。
彼が今回これだけの演技をできたのは、ショートであれだけ点数を離されたことが悔しかったからだと思うと、羽生選手の存在にも感謝です。国内にこれだけのライバルがいるということは、互いを向上させるうえで非常に重要な要素だと思います。


——そうか。周りを意識させない方がいい羽生選手と、意識してそれ以上の演技を見せてやろうとする高橋選手と。
HAL:ただ高橋選手も実際のほかの選手の演技は見ないように聞かないようにしてるみたいですけどね。トリノ五輪の時に最終グループ最終滑走で、ほかの選手の演技に対する大歓声にみんな良い演技をしたんだろうと緊張しまくっていたのに、五輪が終わってほかの選手の演技をみたらけっこうぼろぼろと失敗してて、「お客さんに騙された!」状態だったそうですから、もう観客の歓声には騙されないぞとバンクーバー五輪の時は思ってたそうです(笑)。
同国内のライバルというと、ロシアのアレクセイ・ヤグディンエフゲニー・プルシェンコが男子シングルでは最も有名です。
こちらは2001年に代々木体育館で行われたグランプリファイナルの男子決勝(現在とはルールが異なり、当時はショート、フリーを滑った後、上位二人のみで決勝が行われ、そこでは別のフリーを滑らなければならないルールになっていました)の模様で、伝説の戦いとして今でもファンの間では語り草なのですが、まさか似たような状況が日本選手で見られるとは思いませんでした。



HAL:2000−2001シーズンは年下のプルシェンコヤグディンに全試合で勝利。世界選手権のタイトルもプルシェンコが獲り、これからはプルシェンコの時代。ヤグディンは終わったと言われ、翌年のソルトレイクシティ五輪の金もプルシェンコのものだろうと言われていましたが、実際にソルトレイクで勝ったのはヤグディンでした。勝負は最後までわからない。羽生選手と高橋選手は今度どうなるでしょうね。


——ヤグディン最高ですね! これは凄いわ。
HAL:二人に絞って話をしましたが、今大会の結果でソチ五輪代表選考レースは混沌としてきました。世界選手権、五輪ともに各国の代表枠は最大3枠までと定められていて、それ以上の人数を派遣することはできません。ですからこの3人の中に何としても入らなければならない。

この間の記事で紹介しましたが、今回の世界選手権代表選考条件は
1. 世界ランキング日本人上位3名
2. 全日本選手権上位3名
3. グランプリファイナル上位3名
であり、全日本が終わった時点ですべての項目を満たした羽生選手と高橋選手は自動的に確定。残り1枠を1と3の条件を満たしている小塚崇彦選手と、2の条件を満たした無良崇人選手のどちらにするのかが注目されていました。


——そして、無良選手が3人目に選ばれました。
HAL:代表に選ばれた無良選手は昨季四大陸選手権ショートプログラムですべてのジャンプを成功させ、高橋選手を押さえて2位に入りました。若手でほぼ無名の選手が、ミスがあったとはいえ世界チャンピオン経験者を押さえていきなり高い評価をされたことは、関係者に強いインパクトを与えるとともに、本人にも自信を与えたと思います。無名であってもやることさえやればきちんと評価してもらえる。それだけのものを持っている選手です。
今季優勝したフランス杯も優勝候補の選手たちが軒並み不調の中で、チャンスをつかみました。全日本のフリーは最後のアクセルが1回転になってしまったり、決してパーフェクトな出来とは言えませんでしたが、それでも連盟は彼を選びました。



HAL:これにはソチ五輪後の構想も視野に入っていると思います。ソチ五輪時27歳になる高橋選手、26歳の織田選手は来季限りでの引退を予定していますし、24歳になる小塚選手も、年齢的に2018年の平昌五輪まで続行するかはわかりません。今までの日本男子を支えてきたトップ勢が全員抜ける可能性が高く、ソチ五輪時19歳の羽生選手がエースとして次の五輪まで続けるにしても、層が一気に薄くなることを避けなければなりません。


——なるほどー
HAL:日本スケート連盟アルベールビル五輪で伊藤みどり選手が金確実と言われながら銀に終わったのは、彼女ひとりにプレッシャーが集中したことが原因だと反省し、多くの有力選手を強化育成する方針を定めました。その方針が結実したのが2006年トリノ五輪荒川静香選手の金メダルです。現在女子の強化はそれと真逆の方向を向き、たった一人の選手のみに支援を集中させていますが、対照的に男子の強化チームは方針を変えてはいないのだと思います。
現在21歳の無良選手を世界に通じるトップ選手の一人にしたい、という狙いがあり、大舞台を経験させたいのだと思います。今回の世界選手権には五輪の出場枠もかかってきますから、他国の選手たちもいつも以上に気合を入れてきます。その緊張感の中で試合をすることは素晴らしい経験になると思います。無良を代表にして正解だったと言われるような演技をしてほしいと思いますね。



HAL:一方敗れた小塚選手。もし彼の順位が5位ではなく4位で、演技内容がもう少し良ければ、代表は小塚選手だったと思います。昨季は調子を落としたとはいえ2年前の世界選手権2位の実績もありますし、今季はグランプリシリーズスケートアメリカ優勝、ロシア杯では2位でファイナルに進出し、そこでの順位は5位だったとはいえ、決して悪い内容ではありませんでした。もしあのフリーが全日本で再現できていれば間違いなく表彰台だったでしょう。
ですが右足の甲の怪我もあり、フリーがあまりに悪すぎました。グランプリファイナルの成績が評価されるためには最低でも表彰台に乗る必要があり、例年連盟は全日本の成績を最重要視しますから、ここで力が発揮できなかったことが致命傷になりました。(というわけで、テレビ朝日がいくらグランプリファイナルを「世界一」と力説しようと、選手にとってシーズン前半で一番大事な大会は全日本選手権なんです。)



——次に女子です。真央ちゃんが連覇。
HAL:浅田選手に関してはグランプリファイナルの時と特に感想変わらないので、割愛します。何も言うことないです。



——そして、高校生の村上選手が2位、中学生の宮原選手が3位でした。
HAL:村上佳菜子選手、昨シーズンから「大人の女性」の演技を目指して試行錯誤しています。
フィギュアスケートの女子シングルは英語では「Women」ではなく「Ladies」と表記されます。これは単なる女性ではなく「Lady」としてそれにふさわしい演技をしてほしい、という願いからです。


——そんな風に方向性を示しているんですか。
HAL:男子は「Gentle men」ではなく単に「Men」ですから。女子に求められるのは知的で優雅で品のある大人の女性の演技。
1994年の世界選手権で14歳のミシェル・クワン選手(アメリカ)は複数回のトリプルジャンプを跳んで完璧に滑ったのに、彼女は金メダルをもらえませんでした。コーチのフランク・キャロルは「Girl」ではなく「Lady」の演技が求められているからだと痛感します。
そこで次のシーズンはフリーのプログラムに「サロメ」を選び、大人の女性の演技を目指させます。サロメ預言者ヨハネに一目ぼれし、彼に手ひどく拒まれたことで狂気に陥り、王に自分の舞を見せる代わりに、恋しい男の首をよこせと要求した娘です。エキゾチックなメイクと衣装に身を包み期待通りに狂気のサロメを演じたクワンは、念願の世界選手権金メダルを15歳で獲得しました。



HAL:20歳過ぎた女性が学校の制服姿で踊っているのが「国民的アイドル」ともてはやされる日本とはこのあたり大分価値観が異なります。


——秋元ビジネスの「国民的アイドル」はあくまでも自称ですよ。でも、女子アイドルというジャンルに対しての否定が込められた発言をされたのであれば、私も反論しないといけないのですが・・・
HAL:女子アイドルでも年相応の子が年相応の格好で歌ってるのに関しては、別に文句はないですよ。少女期特有の美しさや儚さって確かにありますからね。
今現在もっとも持ち上げられているのがあれってのがなんだかなあって感じなんですよ。いつまで幼くいなければならないの?って感じで。
未成熟な「Girl」であってはいけない、シニアの世界に入ってそのことを村上選手も痛いほど痛感したのでしょう。シニアデビューの年の世界選手権で 10位になった後、「自分の滑りは幼稚だった」とはっきり認めています。
その反省からここ2シーズン、大人びた曲を選んで頑張っています。そうやって努力していることがだんだん花開きつつあるようでとても楽しみです。もともと音楽や演劇に対する感性が鋭く、プログラムの世界観を理解して演じることがとても上手い選手で、彼女ほどショースケーターに向いていると思う日本女子もいません。ミュージカルナンバーをやらせると本当に楽しい滑りをしてくれるんです。
ジャンプに癖があり、特にルッツフリップで足を高々と振り上げるため、そこで流れが止まってしまうのが惜しいのですが、スピードがあり「魅せる」ことが上手な選手なので、今後の成長が楽しみです。



HAL:宮原知子(さとこ)選手。前からファンの間では注目されていた存在で、昨年の全日本もフリーの技術点は彼女が1位でした。ショートで失敗して出遅れたので、なんとフジテレビは彼女のフリーを撮影せず、映像が残っていません(怒)。フジは2010年全日本の羽生選手のフリーも同じ理由で撮ってないんですよ。まだジュニアでショート13位と出遅れましたけどフリー5位で総合6位まで巻き返したのに。


——それは残念ですね。もったいない。
HAL: トリプルルッツトリプルトウループを始めとした高難度ジャンプが跳べる存在で、フィギュアの10代の天才少女に飢えているマスコミにとっては格好の食いつき対象になったようです。各局盛んに特集が組まれています。
彼女は例の子役の本田望結ちゃんたち兄妹も師事する浜田美栄コーチ、田村岳斗(やまと)コーチについて関西大学スケートリンクで練習しています(田村さんは1998年長野五輪の男子シングル代表で、もう一人の代表だった本田武史選手とともにテレビ局に「氷上のKinKi Kids」(笑)というあだ名をつけられてました)。



HAL:浜田門下の特徴はジャンプよりも指先からつま先まで神経を配った美しい所作。彼女が育てた代表的な選手は2003年世界Jr.選手権・2004年四大陸選手権優勝の太田由希奈選手ですが、「氷上のバレリーナ」という形容にふさわしい、美しい演技をする選手でした。



HAL:濱田コーチはレッスンにバレエや新体操を取り入れ、プログラムとして完成された作品を滑る選手を多く生み出しています。
ただ懸念材料が二つありまして、濱田コーチの門下生はジュニアからシニアに上がって大成した選手がいないんです。太田選手もそうですがその過程で怪我をして選手生命を縮めてしまう選手が多いです。怪我をさせないために濱田コーチも色々な工夫をしているんですけど、指導法に問題があるのか、単に運が悪いのか、どうしてもそうなんですよね…。
もう一つは宮原選手のジャンプの性質。見ての通りの低空高速回転です。身体の軽いジュニアのうちは大丈夫ですが、第二次成長期を迎え体重が増えると同じジャンプは跳べなくなります。これからシニアに移行するにあたって、いかにジャンプを改良していくかが課題になってくると思います。むしろそれさえできればシニアに上がっても十分通用するだけの才能の持ち主なんですが。このあたりは現役時代4回転トウループ+3回転トウループ+2回転トウループというビッグジャンプを日本男子で唯一成功させている天才ジャンパーの田村コーチの手腕を期待したいです。


——たしかに、低空高速回転。でも、スピンなどもきれいですね。
HAL:ポジションにとても気を使ってますよね。濱田門下の美意識の高さは本当に素晴らしいです。
さて中学2年生14歳が全日本選手権3位、ということでメディアは盛大に取り上げています。彼女は来年2月末に行われる世界Jr.選手権代表なので、当然放映権を持つフジテレビとしては彼女を金メダル候補として煽りたいところでしょう。しかし残念ながら彼女は優勝候補ではありません。
優勝は今年のJr.グランプリファイナルを制したエレーナ・ラジオノワ選手と今季シニアのグランプリシリーズに参戦した現世界Jr.チャンピオンのユリア・リプニツカヤ選手のロシア勢二人の争いになるでしょう。そこにアメリカJr.勢がどれだけ食い込んでくるか。宮原選手にとっては厳しい戦いになると思います。



——とは言っても期待する気持ちはわかります。
HAL:今季はどっちにしろ年齢制限でシニアの国際大会には出場できませんが、来季はシニアへも参加できます。しかし今季世界Jrで優勝しない限り、彼女をいきなりシニアにあげるのは時期尚早だとも思います。それでもある程度活躍できたなら、4年後の平昌五輪への経験としてソチ五輪を出場させる、という手もありますが…。まだ何とも言えませんね。
ジュニアの選手は好不調の波が激しく、いつもいつも成績が出せるわけでもない。宮原選手に限らずどの選手も一試合の結果だけですべてを評価してしまわず、どうか長い目で応援してあげてほしいと、この手の報道を見るたびにいつも思います。


——一方で、鈴木選手が来期での引退を発表されましたね。こういうのは先に発表した方がすっきりするものなのでしょうか?
HAL:人によると思いますが、はっきり明言していなくても年齢的にこの五輪を区切りにして引退だろうな、という予測ができる選手は今回結構いますね。
鈴木選手の場合、まずソチ五輪を目指すかどうかで迷っていて、自分に満足できる演技ができたら、五輪を前に引退という選択肢が常にあった選手だったので、こうしてソチ五輪シーズンまでの現役続行を発表してくれただけでも嬉しいんですけどね。 後もう1年半、選手としての彼女を見ることができる。


——なるほど。引退の表明というより、ソチ出場に挑戦すると明言したわけですね。
HAL:グランプリシリーズから結果を残し、ファイナル、全日本と短期間でピークを合わせながら滑るのは、年齢的に厳しいものがあるのだと思いますけれど、逆にあと1シーズンと思いきることで、覚悟を決めて全力で走れるのかもしれません。でもやっぱりついていけない心と身体が悲鳴を上げるのは当然で、今回はそれが一気に出てしまったなあと思わせるフリーでした。見てて辛かったです。
試合後に高橋選手と無良選手が涙ぐむ鈴木選手を慰めてくれていて、ちょっとホッとしました(高橋選手の顔がちょっと近すぎるんじゃないかという疑問はさておいて)。



HAL:鈴木選手の演技は心で滑る演技だと思います。彼女が全身全霊を込めて滑るプログラムは、いつもいつも人の心を動かしてきました。
順位として点数として反映されなくても、記憶に残る演技がたくさんあります。




HAL:今季のフリーである「O(オー)」もそんな名プログラムに既になっています。



HAL:全日本選手権は4位でしたが、選考基準の1と3は満たしていますし、昨季の世界選手権銅メダリストで、今シーズンも出場した国際大会すべてで表彰台に乗っていますから、五輪の出場枠がかかった今回の世界選手権で彼女を外すことは連盟も考えられなかったと思います。
是非、世界選手権で世界中の人にNHK杯の時以上の素晴らしい感動を与えてほしいと、彼女が彼女らしく滑れることを心から願っています。


——来年3月にカナダで行われる世界選手権。女子は真央ちゃん、村上選手、鈴木選手と。
HAL:その世界選手権の展望ですが、男子はすでに日本では羽生選手の金メダルを期待しまくっている報道が続いていますけれど、今のところ何とも言えません。


——それはどういう意味ですか?
HAL: 1月のカナダ選手権でパトリック・チャン選手がどれだけ復調しているか? そして1月末の全米選手権で決まるアメリカの世界選手権代表がだれになるのか? 同時期に開催される欧州選手権ハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)が、おそらく出てくるエフゲニー・プルシェンコ選手(ロシア)のプレッシャーに負けずに演技ができるのか?


——有力な選手も多数出場して、羽生選手の実力が試される場なんですね。
HAL:今年の世界選手権はカナダのロンドン(イギリスの首都に非ず)で開催なんですよ。つまりパトリック・チャン選手のホームです。ウィンタースポーツが大好きなカナダ人はフィギュアでも自国選手に対する応援はとても熱狂的。その圧倒的な大歓声の中で戦わなければならない。
そして羽生選手は今まで世界選手権のフリー最終グループで滑った経験がない。フィギュアスケートの男女シングルはショート上位24名までしかフリーに進めません。フリーでは順位ごとに6人ずつ4グループに分けて、それぞれのグループごとに抽選で滑走順を決めます。最終グループはショートの上位6人が滑るグループで、実質ここから世界選手権のメダリストが生まれることが多いです。
どんなに経験を重ねても、世界選手権や五輪の最終グループの空気は独特なもの。この空気に呑まれてしまうと信じられないミスもしてしまうものです。それに負けずに世界タイトルを取れたなら、その勢いでソチ五輪金も行けるかもしれませんね。


——試金石となる大会ですね。
HAL:ただ羽生選手はまだ18歳。もちろん取るべき時に取っておいたほうがいいに越したことはないですけれど、彼にはまだ失敗してもいい時間が残されていると思うんですよ。ほかの選手なら高橋選手にとってはもうこれが最後の世界選手権、五輪となる可能性が非常に高いし、チャンや小塚選手も年齢的に次の平昌五輪を狙うのは大変になってくるし、続けても確実に体力的なピークは落ちてしまう。
だけど羽生選手はソチで19歳、平昌で23歳。怪我や病気など思わぬアクシデントが無い限り、次の五輪も確実に狙える年齢で、そのためにいろいろな経験をしてほしい。そこには失敗や挫折だってあるでしょうし、そういうことを糧に選手は成長していくんです。しかし最近の報道は、何が何でもソチ五輪で金を!と、そういう方向性に世間を誘導しているようで少し怖いです。失敗をすることが許されない空気が形成されているというか…。


——スターづくりに焦ってる感じですかね。
HAL:女子に関してはキム・ヨナ選手(韓国)が復帰してきますし、カロリーナ・コストナー選手(イタリア)もゴールデン・スピン、イタリア選手権とすでに2試合をこなしました。



HAL:コストナーはもともとスケーティングとステップには定評があり、長い手足を生かして難解な曲でも表現できてしまう芸術性があります。膝に腫瘍ができて基礎点の高いルッツが跳べなくなっていましたが、それでも世界選手権で優勝できたのは、そのあたりのことが評価されてです。
ですが、このままではこれから台頭してくる高難度ジャンプを武器にしたロシア若手女子に対抗できないと予測したのでしょう。グランプリシリーズを欠場して休養していたのですが、ずっと休んでいたわけではなく身体をしっかり鍛え、トリプルルッツを試合で入れられるレベルまで戻してきました。
彼女は欧州選手権でロシア勢と戦いますからね。欧州選手権は世界選手権より歴史が長く、格の高い大会ですから、どの選手も本気でタイトルを狙ってきます。
シーズン序盤の彼女は立ち上がりが遅く、信じられないようなミスを繰り返しては順位を落とす選手だったのですが、9月から振付けに取り掛かった割には完成も早いです。女子で最も才能のある選手の一人と言われながら、なかなかその実力が発揮できなかった彼女ですが、ちょっと今までとは違うような気もします。
ロシア勢は現在ロシア選手権の真っ最中ですが、この大会と1月の欧州選手権の成績で世界選手権代表が決まります。こちらもだれが出てくるかわかりません。
またグランプリシリーズで活躍したアシュリー・ワグナー選手(アメリカ)は、グランプリファイナルの怪我からどのくらい回復しているか。彼女が全米でどんな演技を見せるか、2枠あるアメリカの世界選手権代表枠がだれになるかも気になります。
このあたりを見ないことには世界選手権で、日本勢がどういう順位になるかは予想ができませんね。


——なるほど。
HAL:その前に2月初めには四大陸選手権があります。こちらは欧州選手権と同格になる大会が欲しいということで、欧州以外のアジア・オセアニア南北アメリカの4つの地域の選手が出場する大会として1998年に新設されました。
ところが初開催の年にいきなりアメリカが2軍を派遣してきまして、そのため世界選手権、欧州選手権、世界Jr.選手権と並ぶISUチャンピオンシップの一大会でありながら、権威が落ちる大会になってしまいました。大体四大陸と言ってもフィギュアスケートをやっている国のほうが少ないわけで、いつも日本・中国・アメリカ・カナダの選手が上位を占める4か国選手権になっています。
ISUが近年はトップ選手の派遣を各国に厳命したため、各国ともしぶしぶ従っていますが、アメリカは1月末の全米選手権で死力を尽くして戦った後、へとへとの状態ですぐに四大陸選手権に出場することになるので、選手たちは大変です。


——わけあり大会。
HAL:特に今年は日本の大阪開催ですから、アジア圏への時差移動が苦手なチャンはおそらく出場しないでしょう。わざわざ高橋・羽生のホームに来て負けたりしたら、世界選手権に向けて不利になります)。
アメリカはだれが代表になるかにもよりますが、現在は実績が欲しい若手が中心なので出場はしてくると思います。
今回はこの四大陸選手権に関して、日本スケート連盟の代表選考が理不尽だとファンから不満が出ています。
四大陸選考の条件は
1. 世界ランキング上位6位以内
2. 全日本選手権6位以内
3. グランプリシリーズの通算成績上位6位以内
から、主に全日本の成績を基にして例年1・2・4位あたりを派遣していました。
ところが今年に関しては男女シングルとも世界選手権の代表をそのままスライドさせたことに、大きな驚きの声が上がっています。


——じゃあ、男子が羽生、高橋、無良、女子が浅田、村上、鈴木。
HAL:女子に関しては例年なら今井遥選手も候補に挙がったでしょうが、さすがに今回の成績と内容では、この3人以外出せる選手がいなかったということでわかります。
問題は男子です。連盟としては五輪の枠取りもかかった世界選手権に派遣するにあたって、無良選手には経験を積ませたいし、上記の理由からチャンが来る可能性が少ないとなれば、日本男子3人で表彰台を独占できる可能性もあり、そうなれば強い日本男子をアピールできて、世界選手権も有利に戦えるという目算かもしれませんが、条件を最低一つは満たしていたのに選ばれなかった小塚、町田、織田の3選手にとっては、四大陸選手権で良い演技をして来季につなげる印象を残すという希望をばっさりと切られました。


——たしかに、それはかわいそうですね。
HAL:特に小塚選手は昨年は全日本2位だったのに、全日本4位、5位の町田、無良両選手に経験を積ませたいという理由で、二人を優先されて四大陸への出場を連盟に許可されなかった、という経緯もありちょっとこれは気の毒です。
そして男子以上にファンの間で憤慨されているのがアイスダンスの派遣。四大陸選手権はそもそも参加国が少ないので、出場枠はどの国も3枠ずつです。よってダンスも3組派遣できるのですが、連盟は全日本優勝のリード姉弟のみを派遣すると発表しました。
確かにあまりのレベルの低い組を派遣すると、その国の評判自体が落ちるという理由で派遣を回避する場合もあります。ですが、今回は派遣から漏れた2組は ISU が規定したミニマムスコアを国際大会ですでにクリアしており、「あまりにレベルが低い」組には該当しません。それなのに自国開催の大会になぜこの2組を出してくれないのか。
日本では文化や練習環境の問題もあってカップル競技はなかなか育たないのですが、その中で頑張っている数少ない選手たちに対して、この仕打ちは無いです。みんな世界選手権は無理でも四大陸選手権には出場させてもらえるだろうと頑張っていたのに。
大体四大陸に派遣しないなら、何のために国際大会にわざわざお金をかけて派遣したのか。意味が分かりません。どうして派遣しないのか納得いく説明が聞きたいのですが、今のところ連盟から納得のいく説明はないですね。
ペアの高橋成美マーヴィン・トランの解散もそうですが、連盟はカップル競技を真面目に育てていく気が無いのか、と遠い目です。


——ずいぶん、ショックを受けられたようですね。
HAL:悲しいですよ。単純にもうこの二人の演技を見ることが無いというのもそうですし、結成当初から見守ってきたという意味でも、結果を出してこれから、という時だったのになぜ、という意味でもショックでした。




HAL:IOC は国籍の違う選手のチームでの五輪出場は認めていませんので、高橋成美選手が五輪を目指すためには日本国籍の男子選手を探すしかないのですが、日本男子でペア経験者は皆無ですし、たとえ希望者がいたとしても相性が良くなければ組めるかもわからない。
そんなことは本人が一番よくわかっていることでしょうけどね。今季はもともと肩と膝の手術のため試合を欠場していますから、まずは身体を治して次のことを考えてほしいと思います。
いつかどこかで二人が新たなパートナーと組んで試合に出ているのを応援できたらと思います。

——HALさん、ありがとうございました。