ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

変身型アイドルはどのように誕生したか? 

 

BEYOOOOONDSのライブが観たい! その気持ちを沈めるために、変身型アイドルの年表を作りました。以前にも書きましたが、私はアイドルを3つに分類しています。一番多い「疑似恋愛型」は、アイドルである私とファンであるあなたの関係を歌います。次に「変身型」は世界観がありその登場人物としてアイドルが存在します。ほとんどのグループは「疑似恋愛型」と「変身型」を配合してつくられています。そして最後にアイドルとアーチストの中間に位置する「中間型」です。

 

Perfume や BABYMETAL、KinKi Kids関ジャニ∞ など大人気グループが『中間型』です。でBEYOOOOONDSが入る「変身型」には、ももいろクローバーZでんぱ組.inc という人気グループがいます。でもそれ以前からたくさんあるのです。その起源を考えるのも面白いんですけど、今回は少し別のことも考えたい。「変身」とは「加速された成熟の過程」であると、斎藤環さんは『戦闘美少女の精神分析』で指摘されています。要するに視聴者の成長願望を刺激する表現。戦隊モノなどを考えると、なるほどと思うのですけど、現在のアイドルでは他の意味も加わっていると感じます。必ずしも成長しない。そうではないですか? ダメな方にも変身する。その辺りを考え直そうと思うのです。どういうベクトルに変身してるかを調べれば、その時代の欲望がわかるとか? 人間やめたいとかもあるだろうし。

 

 

1964年12月 ジャニーズ『若い涙』でデビュー

1965年5月 スパイダース『フリフリ』初シングル発売

1966年7月 テレビ『ウルトラマン』(TBS系)放送開始

1967年2月 ザ・タイガース『僕のマリー』でデビュー

1967年4月 アニメ『リボンの騎士』(フジ系)放送開始

1968年5月 オックス『ガール・フレンド』でデビュー

1968年9月 フォーリーブス『オリビアの調べ』でデビュー

1971年4月 テレビ『仮面ライダー』(NET系)放送開始

1971年6月 南沙織『17才』でデビュー(ソニーのシンシア)

1971年10月 天地真理『水色の恋』でデビュー(ソニーの白雪姫)

1971年10月 オーディション番組『スター誕生! 』(日テレ)開始

1971年12月 阿久悠作詞・小林亜星作曲『ピンポンパン体操』発売

1972年6月 山本リンダ『どうにもとまらない』発売

1974年12月 ダウン・タウン ・ブギウギ・バンド『スモーキン・ブギ』でデビュー

1973年8月 フィンガー5『個人授業』発売

1976年6月 山口百恵横須賀ストーリー』発売

1976年8月 ピンクレディーペッパー警部』でデビュー

1977年4月 千昌夫北国の春』発売 *コスプレして歌う

1977年9月 ピンクレディー『ウォンテッド』*変身を歌う

1978年11月 大滝詠一プロデュース『LET'S ONDO AGAIN』発売

1980年1月 沢田研二TOKIO』発売

1980年2月 シャネルズ『ランナウェイ』でデビュー *黒人メイク

1980年4月 松田聖子裸足の季節』でデビュー

1980年6月 田原俊彦『哀愁でいと』でデビュー

1980年9月 横浜銀蝿、アルバム『ぶっちぎり』シングル『横須賀Baby』でデビュー

1980年12月 近藤真彦スニーカーぶる〜す』でデビュー

1981年11月 薬師丸ひろ子セーラー服と機関銃』でデビュー

1982年2月 忌野清志郎坂本龍一『い・け・な・いルージュマジック』発売

1982年5月 中森明菜『スローモーション』でデビュー

1983年4月 東京ディズニーランド、開園。

1983年9月 チェッカーズギザギザハートの子守唄』でデビュー

1984年10月 戸川純、アルバム『玉姫様』でソロデビュー

 

どうしよう? こんなに長くなった。とにかく、この年表の簡単な説明だけします。まず最初のアイドルと私が思うジャニーズが1964年にレコードデビュー。この時点でもジャニー社長はキャラを考えてメンバーを組んでいます。なんとメンバーカラーも既にありました。そして、グループサウンズ(GS)のブームが起こります。この中で注目したいのはオックスです。後発グループで王子様衣装のグループですが、一方で、過激なパフォーマンスをしていたことで知られています。ライブにおける楽器ぶち壊しや、失神パフォーマンスをしました。XジャンプやBABYMETAL『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の元ネタとも言うべき『オックス・クライ』もあります。オックス・ジャンプはないかな。

 

オックスの代表曲は筒美京平が書いていますが、それが郷ひろみの楽曲にもいかされたと高護さんは指摘しています。郷ひろみの前にフォーリーブスがいます。こちらはGSブームの中でデビューしているので、世界観が GS と同じく架空の世界になっています。デビュー曲『オリビアの調べ』は、大ヒット映画『ロミオとジュリエット』のジュリエット役オリビア・ハッシーから来ています。プロデューサーはCBSソニー酒井政利。その酒井が南沙織郷ひろみ山口百恵をデビューさせます。

 

最初のアイドルとも言われる南沙織のデビューと同じ年、酒井はもう一人重要なアイドルをデビューさせています。天地真理です。キャッチフレーズが「白雪姫」だったので、白い衣装のイメージがあります。ただ、コンセプトというほどでもないような。記憶はさだかではないのですが、最初にグッズで儲けたのは天地だったと思うのです。すごい数のグッズが販売されました。有名なのは自転車ですね。グッズ商法はフィンガー5ピンクレディーに引き継がれます。

 

天地の所属事務所の社長である渡辺晋ジャニー喜多川酒井政利、そして「変身型」をつくった阿久悠、だいたいこの4人が70年代にアイドルの原型をつくった4大偉人と言えそうです。その阿久悠が子供番組『ママとあそぼう!ピンポンパン』のために作詞した『ピンポンパン体操」が200万枚を超える大ヒットを記録。その勢いで「非日常のエンタテイメント」という手法を考案します。歌の中で変身を歌うのです。阿久はその手法を「歌のディズニーランド」とも呼んでおり、山本リンダフィンガー5ピンクレディーの楽曲でミリオンを連発します。

 

 

今回、ピンクレディーのミリオン連発に触発され、大滝詠一がパロディアルバムを制作したり、変身型のグループが激増したという流れになるはずだった。しかし、その間に千昌夫北国の春』が挟まれているw もしかして、これがピンクレディーの変身にも影響してる? コスプレは最初からだったのか? わからん。もう少し調べる。(つづく)