ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

映画『リバー、流れないでよ』を観た。

 

ホテルに到着したとき、1階の PUB の前に「木曜日はクイズ大会」と書かれた看板を観ました。「今どき誰がクイズ大会で盛り上がるんだ?」と思った私に言いたい。「映画館には夜に行き、クイズが終わるまで戻ってくるな」。マイクで煽る司会者と、観客の大歓声でうるさいうるさい。テーブルごとのグループ戦なのか、相談する声まで上に響いてくる。もうそろそろ2時間ですよー

 

 

 

 

本日は昼から映画館に行きました。現在、ニュージーランドの首都 ウェリントンでは、小規模ながら映画祭が開催されています。ニュージーランド国際映画祭。日本からも、カンヌで役所広司が最優秀男優賞を獲った『PERFECT DAYS』、同じく坂元裕二脚本賞を獲った『怪物』、75歳で死を選択できる日本を舞台にした SF『PLAN 75』、庵野秀明監督の『シン・ウルトラマン』、ミニシアターでヒットした『リバー、流れないでよ』が上映されています。

 

 

今日観たのは、The Embassy という由緒ある映画館での映画『リバー、流れないでよ』です。京都の出町柳駅から叡山電鉄に乗って行く、山間部の川が流れる静かな観光地、貴船が映画の舞台です。出町近くに住んでるとき、一度は行きたいと思ってたけど。人が少ないコロナ禍に行くべきだった。観光気分をそそられる映画でした。

 

数年前『カメラを止めるな!』というミニシアターで大ヒットした映画がありました。『リバー』はその2匹目を狙った映画、そう感じた人も多いはず。私もそう思った。でも新しい才能が出てくるのであれば、ありですよね。笑いながら観れました。でも「これは映画なのか?」「映画とは何なのか?」と考えさせられもした。あまり考えたことなかったから、それも有意義と言えるのか。

 

京都を拠点にする劇団、ヨーロッパ企画制作の映画です。私はその劇団を観たことがありません。なんと言うか、シチュエーション・コントみたいだった。観光地にある旅館のお昼の2分間が何度も何度もループする。2分前には戻るけど、記憶は継続してる。食事が終わり、片付けたはずの御膳が元に戻っている。でも片付けたという記憶はそのままある。それでみんなパニックになる。混乱した状況をどうやって日常に復帰させるか? 2分の繰り返しだけで1時間半。そんな凄い SFコメディ映画です。

 

残念なのは、映画のテーマがぼやけてることです。ぼやけてると言うか、取ってつけたようなラスト、取ってつけたような達成感があり、この映画を観てきた楽しい気分を台無しにされるんです。これは何なのか?

 

映画のテーマは、締め切りが迫り、缶詰になっている小説家の言葉で説明されていました。「日常という名の牢獄」という言葉を使っていましたね。世界中でテロのような酷いニュースが流れる中、貴船だけは静かで変わらない日常を送っている。その日常を受け入れる者と、そこから飛び立とうとする者。それらの人々が織りなすコメディです。

 

明らかに『方丈記』の「行く河の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず」を意識してるのだから、それに関連するような着地点を用意して欲しかった。もう一度練り直して(小説家が「練りたくない!」と叫んでいた)、アニメでリメイクするとか? あったらいいなと思いました。