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映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はヒップホップ世代のための映画なのか?

 

宇野維正さんが書いた宮崎大祐監督へのインタビュー記事を読みました。これか! 映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の評価が微妙なのは。映画評論家にロック世代が多いからなのか。なるほど! 宇野さんが「映画はロック世代で終わる表現なのかな」と話されて、宮崎監督が新しい表現として挙げるのが、スパイダーマン最新作なのです。痺れた。興奮して寝れない。

 

 

私はこの冒頭10分にも登場する、スパイダーグウェンがバンドから離脱し、街を彷徨うシーンとそのバックに流れる音楽をずっと聴いてたくなる。私にとってのアンビエントはこのシーンをループさせることで完成する。ambient kyoto 2023 に出品したいよ。

 

もっと早くこのインタビューを読んでいたら、映画『#ミトヤマネ』観に行ったのに。音楽も valknee さんがやってる。11月に松山で上映か。行けるかな? とりあえず監督のインタビューを読んでください。下に一部抜粋します。

 

 

――じゃあ、映画にもどっぷりな一方で、音楽に関しても普通にヘビーリスナーって感じだったんですね。『#ミトヤマネ』も、音楽の使い方を誤ったら一気に説得力がなくなってしまう題材だと思うんですけど、そこで外してないっていうのが、めちゃくちゃ大きいですよね。


宮崎「ありがとうございます。でも、なかなか周りの映画関係の方と音楽の話は合わないですね。すぐにニール・ヤングとかの話になっちゃうんで。『いや、ニール・ヤングも好きですけど…』っていう感じで(苦笑)」


――でも、それって日本に限らないですよね。自分が最近よく思ってるのは「映画ってロック世代で終わる表現形態なのかな」みたいな(笑)。だって、まだそんなに高齢ではない現役屈指の監督2人、ルカ・グァダニーノジェームズ・マンゴールドがどっちもボブ・ディランを題材にした映画を撮るって、一体どういうことなんだよ、みたいな(笑)。既にトッド・ヘインズも撮ってますけど。


宮崎「(笑)。映画は感傷とノスタルジーに蝕まれています」

 

――本当にそうですね。そして、ロック世代以降の優れた才能が、映画の世界にあまり入ってきていない気がしてならないです。


宮崎「感傷とノスタルジー、嫌なんですよね…」

 

サウンド的にはそのこと感じてたけど、映画全体に関わる話だったか。確かに、私はいわゆるロック以外の音楽がかかる映画の方が好きかも。ウェス・アンダーソンもそうですよね。スパイダーグウェンのバンドから離脱するシーンは、ロック映画からの離脱を表現してる??? そういう解釈もできるのか。

 

――最近のMCU作品なんてほぼほぼアニメーション作品を観ているようなものですからね。役者がどれだけそれまでのキャリアやプライドを投げ打って、グリーンバックの前で演技に没頭できるかを観客は眺めている。

宮崎「そういう作品がアニメーションとなにが違うのっていうことに意識的な人って、どれだけ日本にいるのかなっていう気もするんですけど。ただ、少なくとも僕の周りはここ数年の急激な変化にみんな結構騒いでますね。『どうしようどうしよう』って。一方で、このあいだ観た『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に完全にやられてしまって。自分があの作品をこれだけ受け入れられたというのは、自分にとっても一つの転機だなと正直思っていて。これまでアニメ―ションずっと苦手だったんですけど」

 

――1作目の時点ではそんなに?

宮崎「1作目の時は『すごいけど、これを認めちゃうと自分の仕事がなくなるんじゃないか』みたいな気持ちにもなったんですけど、今年の2作目は全面的に受け入れてしまって、もうこの方向に舵を切っていくしかないと思ってしまうくらい。具体的にどうこれからの自分の作品にフィードバックしていくかって話をできるところまではまだいってないんですけど」

 

宇野さんは前作『スパイダーバース』との違いに意識的ではなかったようです。でも全然違います。サウンドの質感が、絵の質感とものすごくマッチしてる。ビートじゃなくて質感。何度観てもいいとしか言いようがない。上の冒頭10分動画にも、興奮した人々が熱くコメントしてますね。

 

 

興奮して眠れないときに聴きたい曲、花譜『しゅげーハイ!!!』。この曲、ZEEBRA の「片手にかける銀河」と都はるみ『北の宿』から「寒さ堪えて編んでます」を繋げてる。暑さ堪えて編んでます。

 

 

チャートのとこでも触れたけど、K-POP について語る場合でも、英米以外の世界について考える必要がある。日本人は白人のことしかイメージしない人が多い。でも昨年大人気だったバッド・バニーなんかも、プエルトリコ出身だったりするし。極端に言えば、J-POP でも中国とインドでブレイクすれば、グローバルチャートを狙えるかもしれない。白人中心に考える価値観を変えることが必要かも。