ハノイの日本人

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日本語能力試験は、なぜ日本のダメさを宣伝しようとするのか?

最近、生徒たちが12月に受験する日本語能力試験2級の過去問題を解いています。400点中240点を取れば合格するそうです。つまり、60%正解すればいいわけです。私が解いてみたところ、90%は余裕で取れる程度の問題でした。ですが、400点中、200点の配点がある「読解・文法」の「読解」については、日本人でも間違う人が多いかも知れません。センター試験の現代文と同じような問題です。コラムなどを読み、問題を解くわけです。2005年の「読解」にでてきた文章をリストアップします。

◉「心くばりの話ことば」岡部達昭
→(文章の要約)時間に対する日本人の感覚は、きわめて神経質だと言われている。相手を待たせる場合、きちんと時間のメドを言う人ももちろんいるが、時間のメドが立たない場合でも、その理由をはっきりことばで伝えた方がいい。メドが立つ場合でも30分後と思ったら「1時間以内には……」というように、多め多めの時間を伝えた方がいい。その方が喜ばれるから。

◉「トットちゃんと私」黒柳朝
黒柳徹子の大ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」の便乗本か? お母さんも有名なエッセイストらしい。(文章要約)トットちゃんはみんなと海で夕日が沈むのを見た。すごくきれいで感動した。トットちゃんが「このままここにいて朝日がでるのを見よう」と言ったら、みんながズッコけた。

◉「21世紀の本の読み方」山本毅雄
→(文章の要約)子供の授業参観に行って驚いた。先生の質問に生徒が次々と答えたが、そのすべて同じ答えだった。先生もそれを期待していたようだった。しかし、無理をしても人と違う答えをだすこと、あるいは同じことはいわないことが、大事だと思う。クラスに40人いたら40通りの答えがあるべきだ。

◉「<むなしさ>の心理学…なぜ満たされないのか」諸富祥彦
→(文章要約)就職と結婚は、人生の二大イベントだ。よい配偶者に恵まれて、自分を生かせる仕事に就く。これが今も昔も、幸福の二大条件である。しかし、ある調査によると、現在の若者はその二つですら自分で選んでいない。「今付き合っている恋人と結婚するかどうか」を「自分で決める」若者は22%しかいなかった。そうであるなら、大きな悩みも葛藤も生まれて来ないだろう。しかしそれで果たして、自分の人生を生きていると言えるだろうか。(調査方法に問題があるのではないか?)

◉「非行を叱る〜カウンセラーのノートから」野代仁子
→(抜粋された短い文章)子どもたちの何かが変わって来た。自分を語れなくなってきた。

◉『究極の言葉は「ありがとう」』斎藤茂太
→初対面のときには、誰しも丁寧な言葉を使っているが、2・3回顔を合わせているうちに次第に慣れが生じる。そのときこそ相手の個性を理解した上で接し方を工夫すると関係がスムーズになる。

◉「察し合いの会話」作者不明 アンケート調査の結果


まあ、こんな感じです。はっきり言って、どうでもいい文章のオンパレードです。せっかく、日本語を学ぼうとしている外国人の方々に、こんなしょうもない文章を無理矢理読ませるなんて、酷いと思うんですよ。20年以上も前に出た「トットちゃんと私」が一番面白く読めるっていうのは、ちょっと問題でしょう。

素直な生徒たちのことだから、こういうものだと思って読んでるんだろうけど、残念な話ですよ。よくある日本人論も、若者がダメって話か、日本人の神経質さをこれでもかと伝える文章のどちらかです。ほとんど、日本のよさをアピールするものではありません。「日本人って変ですよね?」そう思わせることになにかメリットでもあるのでしょうか? それってどうなの?