ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

48グループと ももクロが繰り広げているゲームとは?

櫻井くんの発言が話題になっているみたいですね。嵐 が SMAP に代わって国立でライブをするようになったのが2008年。その前年、2007年にはドリカムがライブしています。私は 2008年の国立から 嵐 がジャニーズのトップに立ったと書いて来ました。そして、来年は 48グループと ももクロが国立に立つわけです。嵐 のライブは本当に行われないのでしょうか? だとすると、それはジャニーズ内の世代交代を示すサインということになります。年初のドラマは注目ですね?


◉「嵐が最後の国立」伝説崩壊。櫻井翔の大人対応に称賛の声。(真紀和泉)
http://japan.techinsight.jp/2013/12/sakuraisyou-kokurituakb48-satajyany20131228.html



◉これまでに 国立競技場 で行われた単独公演のライブ
◎ 2005年9月4日、5日 SMAP とイク?SMAP SAMPLE TOUR
◎ 2006年9月9日、10日 Pop up! SMAP—飛びます!トビだす!とびスマ?TOUR
◎ 2007年9月23日、24日 史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007
◎ 2008年9月5日、6日 arashi marks ARASHI AROUND ASIA 2008
◎ 2009年8月28日、29日、30日 ARASHI Anniversary Tour 5×10
◎ 2010年8月21、22、9月3、4日 ARASHI 10-11 Tour “Scene"〜君と僕の見ている風景
◎ 2011年9月3、4日 ARASHI LIVE TOUR Beautiful World
◎ 2012年5月26、27日  L'Arc〜en〜Ciel WORLD TOUR 2012
  2012年9月20日、21日 嵐『アラフェス』
◎ 2013年9月21日、22日 嵐『アラフェス』
◎ 2014年3月15日、16日 ももいろクローバーZ
 2014年3月29日 AKB48、30日 48グループ総出演
 2014年7月 国立改修工事開始



2005年にジャニーズは「国民的アイドル」を象徴するステージとして「国立」を選びました。それは 初代ジャニーズがレコード・デビューを果たした年に行われた、東京オリンピックが開催された日本の聖地でした。そして、2014年7月、2度目の東京オリンピック開催にむけた改修工事のため「国立」は長期休暇に入ります。その前の2014年3月、2つのアイドル・グループがライブするとすでに発表されています。その2つは「国民的アイドル」という言葉に相応しいグループなのでしょうか? まずは80年代の話から始めます。


システムと儀式 (ちくま文庫)

システムと儀式 (ちくま文庫)


『〈普通の女の子〉がある日〈アイドル〉として選ばれるという〈物語〉、さらには、その少女にどの様なコンセプトを付加し、それに従ってどの様な楽曲を作りあげていくか ——この様なアイドル誕生のプロセスを秋元康は自らを実例としながら体系だてた上で、消費者に手渡していった。あるCMプランナーが秋元の仕事を「企画書が見えすぎる」と評価したが、〈おニャン子〉を通して見えてくる「企画書」こそが実は商品の本体だったのである。』
『さてこの、〈おニャン子〉をめぐるゲームで最も活用されたのはヒットチャートである。一時期は出せば一位と言われ、ブームが下火になりかけた八七年でさえ「オリコン」のチャートの一位は五二週中一〇週がおニャン子系に占められていた。しかしこの様にヒットチャートの一位を独占することがゲームの一部だったのだから、これは当然の結果であった。ヒットチャートの数字がレコード会社や芸能プロによって操作されていることを既にファンたちは薄々気づいていたはずである。実際、ヒットチャート工作はチャート用の調査店に関係者が変装して何回も買いに行くという古典的手法をとる必要はもはやなく、芸能プロなりレコード会社からレコード店にシングル一枚の店の利益分210円×買い占め枚数分を振り込むだけで済んでしまうという程度までに合理化されているという。「発売日にレコードを買ってください」という少女たちの懇願に煽動されたファンたちは、レコードを買うことでチャートを動かすというゲームに参加したのである。』


おニャン子が解散した次の年、1988年に出版された大塚英志著『システムと儀式』という本の序章に書かれた文章です。読んでもらえればわかる通り、48グループで行われていることと何ら変わらないことがわかります。25年も前に行われたことが現在でも通用していることに驚きます。


大塚英志さんは80年代のおニャン子クラブについて「〈普通の女の子〉がある日〈アイドル〉として選ばれるという〈物語〉」もしくは〈ゲーム〉と評されています。では、現在の 48グループはどうでしょう? 大塚さんは発言されていませんが「〈普通の女の子〉がある日〈アイドル〉として選ばれ、〈国民的アイドル〉の位置まで上り詰める」といった感じではないでしょうか? SMAP が開拓し、嵐 が引き継いできたストーリーを攻略して行くゲームです。そのため、48グループは ジャニーズ と同じ番組に出たがるのでしょう。それを可能にしているのは大手広告代理店・電通の存在であり、パチンコ・マネーです。〈連続1位〉〈ミリオン〉〈冠番組〉〈CM〉〈国立〉という「国民的アイドル」をイメージさせる記号を集めて「国民的アイドル」に成り済ますゲームです。


面白いのは、秋元康が始めたゲームのストーリーを上から書き換えた芸能事務所があったことです。大塚英志によって、すでに解説されているとは言え、それを実践した人物は凄いと思います。スターダスト・プロモーションは 柴咲コウ北川景子 を擁する大手事務所でありながら、48グループには参加していません。そして、AKB48 がメジャーデビューした 2008年、ももいろクローバーは結成されています。


70年代の国民的アイドル・ピンクレディーから「ももいろ」を。数々の国民的アイドル・グループを輩出して来たジャニーズ事務所フォーリーブスから「クローバー」を取って・・・・ いや、取ったように見えるグループ名をつけています。ちなみに、フォーリーズス はアクロバットを最初に披露したアイドルとして知られる 北公次 がリーダーをしていたグループです。


ももクロ運営は AKB48 を挑発するような言動を度々行いました。「いま会えるアイドル」というキャッチフレーズはその代表的なものでしょう。人気が出て劇場で会えなくなった AKB の「会いに行けるアイドル」を皮肉ったものとして知られています。このあたりから 秋元康 の始めたゲームをももクロは書き換え始めたのです。偽「国民的アイドル」を倒し、自らが真の「国民的アイドル」になるというゲームです。


作り込まれた楽曲、魅力的なパフォーマンス。ももクロは凄い勢いでライブ動員を増やして行きました。そして、ついに 2013年8月 日産スタジアム単独ライブ開催が決定しました。48グループを乗り越え、真の「国民的アイドル」になるときが来たのです。


ももクロ、日産6万人の大岡裁き
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20131208/1386497911



しかし、その発表からチケット発売が行われるまでに、なんらかの手打ちが行われたのでしょう。ももクロの日産は6万人という中途半端なチケット枚数しか用意されませんでした。ゲームは白黒つけないまま途中で中断されました。現在のももクロと48グループは争っているというより、仲良く並走してるという印象です。まあ、別にそれでいいんでしょうけど、ももクロのからかいなしで 秋元康 の茶番を見せられるのにはゲンナリですよね? 4月からは新しいストーリーが用意されているのだろうか? ああ、つまらない。