ハノイの日本人

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BABYMETAL、欧米の音楽マーケットにもアジア枠がある?

田中宗一郎がBABYMETALについて語った文章を読みました。日本では AKBや乃木坂を頂点にしてしかアイドルのことは語れないルールなので、こういう文章は貴重です。以前に最初の回を読んだのですが、続きを読んでいませんでした。何度か検索して探したんですけど、見つからなかったんです。BABYMETALは2016年のポップス界の大事件だった、私もそう思います。楽曲のクオリティが世界基準に達していたことは間違いないのですが、それ以外にも重要なことがある気がしていろいろ考えています。



◉今さら訊けない「BABYMETALが全世界でブレイクした理由」について(照沼健太、田中宗一郎
https://silly.amebahypes.com/posts/1535055
『田中:あと、EDMって、ミニマル・テクノとか、以前のクラブ・トラックと違って、曲単位で完結してる。DJがミックスして、別のグルーヴを作るとかってことが前提にないから。
 照沼:だから、構成からすると、クラブ・ミュージックでもあると同時に、ポップ・ソングでもあるっていう。だからこそ、世界的に爆発したってことですよね。ホントEDMのひとり勝ち状態。
 田中:ただ、クラブ・ミュージックというのはアンダーグラウンドの世界では常に更新されていて、新しい形式を生み出し続けてる。決して多くの人々に共有されてるわけではないけど、常にエキサイティングなわけだよね。
 照沼:そこはメタルとも同じですよね。
 田中:そうそう。で、BABYMETALの全世界的なブレイクって、そこが背景にあったんじゃないかなと思って。
 照沼:というと?
 田中:BABYMETALって、ここ10年、新しいメタル・スターがいなかったところに、大文字のメタル・バンドとして迎えられたっていう側面もあるわけでしょ?
 照沼:なるほど。つまり、その背景には、あまりにサブ・ジャンルが細分化したメタルというマーケットがあった、と。
 田中:それって、EDMが形式として一人勝ちしたのと、すごく似てると思うんだよね。ただ違いがあるとすれば、クラブ・ミュージックの場合、特にこの何年かというのは、ダブ・ステップにしろ、ベース・ミュージックにしろ、トラップにしろ、メインストリーム・ポップがそれぞれの形式を取り込んできたという流れがある。代表的なところが、ジェイムス・ブレイクだよね。』



現在の音楽はめちゃくちゃ細分化されてて、たまたま好きになった曲があっても、それがどのジャンルに属しているかもわからない有様です。たいていの人はそこにエネルギーを使ってくれません。そんな状況のなかで、昔からの大きなくぐりとしての「メタル」を象徴するアイコンとしてBABYMETALは受け入れられたと語られているように思います。


でも本当に、BABYMETALを好きになった人たちはメタルファンなんですかね? それだと革新的とは言えない気もするし。もっと違う層に支持されてる気がするんですけど。私としては、アイドル先進国・日本から新しい音楽の聴き方を提示してる・・・そんな感じで語りたい誘惑には駆られます。だけど、そこは抑えて、マーケティングのことを考えました。日本はかつて洋楽の大きなマーケットがあったわけです。英米で成功したアーチストは日本でも稼ぐことが可能でした。96年洋楽誌『ロッキングオン』の発行部数は10万部を度々超えたそうです。


しかし、今はそうではありません。夏のロックフェスでは来てくれますが、素通りして香港やシンガポールに行ってしまうアーチストも多いのです。まあ日本人は英語が苦手ですしね。日本人にもっと洋楽を聴いてもらいたい。そんな動きはないのでしょうか? ちょうど、音楽の聴き方が変わる時期ですもんね? Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスを使うとか。


そこで BABYMETALです。サッカーではよくありますよね。Jリーグの例えば札幌がタイのメッシを獲得したとか。それによってタイで Jリーグの試合が中継される。東南アジアのマーケットを考えての選手獲得です。BABYMETALがいることで初めて、メタルがここまで細分化されてることを知った人は多いと思うんですよ。BABYMETALがいることで海外の音楽シーンを知ることになる。レコード会社はもっとBABYMETALの記事を書かせた方がいいんじゃないの?