ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

批評再生塾 第3期、最終回。

博多に続いて東京に行きました。ついにゲンロン批評再生塾・第3期最終回です。その前に、カオスラウンジで開催中の弓指寛治 個展『四月の人魚』を観てきました。1986年4月8日に亡くなられた岡田有希子をテーマにした作品展です。弓指さんは自殺をテーマにした作品を制作されています。当時私は高校生ですね。既にMTVを中心に洋楽を聴いていたので、アイドルへの熱はそれほどでもなくなってました。『夕やけニャンニャン』は観てたけど。それでも松田聖子の妹分的にデビューしたことや『ファースト・デイト』『リトル プリンセス』などのシングルは知っていました。最後のシングルとなった『くちびるNetwork』は化粧品のCMでじゃんじゃん流れてましたから大ブレイクしたすぐ後ですよね。





◉弓指寛治 《Oの慰霊》
http://playtaro.com/blog/2018/02/16/kanjiyumisashi/


◉弓指寛治個展『四月の人魚』
http://chaosxlounge.com/wp/archives/2250
『「ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校」第1期の最優秀者である弓指寛治が、第21回岡本太郎現代芸術賞にて次席である「敏子賞」を受賞しました。自身の母親の自死について描いた巨大な絵画《挽歌》(新芸術校第1期成果展覧会出品、2016年)以降、弓指は一貫して「自殺」をテーマに制作しており、『Barrack Out』展(2016年)での壁画制作、『Death Line』展(2017年)のキュレーションなど、注目すべき活動を続けてきました。太郎賞に出品した《Oの慰霊》は、80年代に社会現象になったとあるアイドル「O」の自死をモチーフにしています。これまで母親の自死のみを扱っていた弓指が、他者の自死と残された人々の存在に目を向け、それらの「慰霊」を試みたのです。今回開催する個展『四月の人魚』では、引き続きアイドル「O」の自死をモチーフとし、《Oの慰霊》の続編とも言うべきインスタレーションを展開します。』
『今年の4月8日でアイドルOがこの世を去って32年。僕はOが居なくなった後でその存在を知った。歌が上手で絵が好きだったという。そんで超まじめ。亡くなった彼女も残された人達も地獄の苦しみを味わっただろうと思う。けれどもそれで終わりじゃない。長い時間を経てOの死は別の形に変える事ができるかもしれない。慰霊ってのはそーゆー力があると僕は信じている。(弓指寛治)』


今回気づいたんです。私は岡田有希子のことを考えないようにしてた。もちろん事実として、昭和の一つのニュースとしてそのことを思い出すこともあったし、大塚英志さんが書かれた文章も読んでた。初めて四谷四丁目の交差点、サンミュージックの前を偶然通りかかったときには「ここか!」とやっぱり岡田有希子のことを思い出しました。でも例えば、彼女が所属していた事務所のアイドル、さんみゅ〜が『くちびるNetwork』でデビューした時は、はっきりと嫌悪感を持ったんです。無かったことにするかのように、聴こうとしませんでした。岡田有希子の作品を一つも持っていない。弓指さんの個展で彼女のライブ音源が流れていて、その楽曲の良さに新鮮な驚きを感じていました。


弓指さんの代表作の『Oの慰霊』は今回観れなかったんですけど、どこかで必ず観たいと思います。アイドルの文章を書いてる人間として、岡田有希子のことを無視することはできません。絶対に忘れないように弓指さんの作品を買おうと思いました。欲しいと思った作品が2つあったんですけど、それらは既に売れた後でした。特に出口の前にあった黄色の背景の絵に惹かれました。


例えばアイドルファンがよく使う言葉として「多幸感」があります。それは死の匂いがする言葉だと私は思います。このまま死ねるならそれもいいかも。そんな瞬間を経験するために私たちはライブに足を運ぶのかもしれません。


昔、家族で行った福井県若狭湾で、ボートで沖の方へ行ったことがありました。私はまだ浮ける程度だったんですけど、誰かに言われて海の底を見れるか試したんです。いい天気の日で、海底が見えてるかどうかはわからなかったんですけど、光が乱反射しててその美しさに海の底に引き込まれそうに思い、ぶるっとふるえ怖くなってすぐにボートに上がったんです。でもそのことは忘れ難くあります。死への誘惑。必ずしも自殺は絶望とともにあるわけではないと思っています(だからと言ってアイドルが自殺するような境遇にあって欲しくはないけど)。もっともっと死の匂いのする絵が見たいと思いました。「裸のラリーズ世代」(©宇川直宏)なので。個展は4月29日までやってます!




宇川直宏×松浦寿輝×佐々木敦×東浩紀「最終課題【本編】」(ニコ生)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv311754135?ref=ser&zroute=search&keyword=ゲンロン


最終回、いろいろ思うことはあります。でもまだ言葉にならないですね。そう言えば受講生の伏見さんから全員分の課題についてのコメントを書いたんだけど、読んだかと聞かれました。そこでもいろいろ話したんですけど、まだ読めてません。元気になったら必ず読んでそれに対するアンサーも書きます。かなり辛口だと言ってました。上の映像も元気になってからもう一度観ます。これからだ。