ハノイの日本人

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不要不急の集まりはなぜ必要か?

 

社会学者の宮台真司さんが、なぜ私たちの生活に「不要不急」が必要なのかを語られています。30分以上ある動画ですが、その部分を文字化しておきます。

 

 

宮台:(前略)なんで日本のコロナ対策が失敗するのかっていう話に結びつけて行きたいんだけど。去年の2月にジョルジョ・アガンベンというイタリアの思想家、哲学者が一言で言えば「ロックダウンに従うな」ということを言った。ロジックはすごく単純なことで、生きていればいい、生きていさえいればいいという、剥き出しの生にそんなにこだわるのか。人間に必要なのは意味ある生(Life)。尊厳ある生ではないかと言ったんですね。

これはすごくヨーロッパ的に重要なことで、この尊厳ある生というのは、思想家たち、ユルゲン・ハーバーマスなんて代表的だけど、基本、不要不急の集まりとして概念化してるわけ。大事でしょ。だから(スウェーデン感染症専門家)テグネルがどうして「不要不急の集まりはやっていいよ」と言うのか、あるいはメルケルが去年のクリスマスに「ごくごく短期間だから、本当に申し訳ないけど私を信じて、クリスマスの時には集まらないでくれ」と言った。それはまさに不要不急の集まりが人間の尊厳を支えているんだと知ってるからなんですよ。

でも小池百合子なんて見てよ。あるいは当時の菅とか。「不要不急の集まりはやめてください」。それを聞いて唯々諾々と従う人間たちって、基本、市民としての資格がないんだよね。まずそのことを押さえておいた上で、ジョルジョ・アガンベンの発想の一番重要なポイントは、統治権力、政治家に対する信頼の重要さを炙り出してるということなんですよ。

ルソーから見たら残念なことに、2万人規模の民主制社会なんてほとんどなくて、基本、大規模な代議制になったわけだよ。代議制っていうのは、最終的な決定は多数決だよね。多数決というのは、場合によっては49% VS 51%、49%の少数反対者を生む。彼らの決定は通らないんだよね。これは実は大変な問題なんだよね。何がそこで必要かと言うと、わかりやすく言うと、こういうことです。

(司会者を指し)佐々木さんと僕が、何がいいコロナ対策かで対立している。佐々木さん側が51で、僕の側が49の支持者を取っていると。僕の側がダメだと。しかしね、ここで重要なことは、俺とは意見が違うけど、佐々木さんの言ってる理屈はわかると。わかるけど、俺はそれだけでは動けないというときに、佐々木さんが、僕はオネスティと言ってるけど、人格的な信頼だよね。どうかお願いするから意見の違う人も、ここは私に従ってくれと、個々の人々の目を見て言うこと。オネスティというのはフランク・シナトラの独特の歌唱法に付けられた名前から発祥してるんだけど。これって大事だよね。

 

さらに続きますが、前篇も含めて動画で見てください。