正直がっかりした。紹介するつもりなかったけど、煽られて?、モヤモヤしてるのも嫌なので書いて忘れる。
この本は批評の本ではないんです。音楽批評の本を紹介するガイドブックです。巻頭にその説明があるのですが、私は読まずに買ったんです。でも面白いですよ。紹介されてる本には読んでないものも多いですから。前半なんてほとんどか。でも様子が違ってくるのが1996年〜2025年の本を取り上げた第5章です。それまでは30年ごと、各章ごとに文章で、その時代の批評がどうであったかがまとめられています。そこに批評性があると思います。しかし、第5章だけは著者2人の対談で軽く語られるんです。まだ2025年になっていないから。だったら2025年が過ぎてから発売すればいいのに。
第4章までで十分に価値のある本ですし、本人たちからすれば、労力を考えたら1万円取ってもいいくらいに思っているでしょう。でも、第5章でがっかりして、追加で3万円くらい取られた気分だよ。なんでブックガイドだけにしなかったのか? 以下、私のがっかりポイントを抜き出して記録しておきます。全文は買って読んでください。3万円返せよ!!
P343
大谷:それってアキシブ系って呼ばれたやつじゃ? 確かにゲーム音楽とアニソンは、まだこの時期までは業界的にも差別されてたと思う。カウントダウンTVとかで、チャートに入ってるのに飛ばされちゃってたりとか。05年くらいにラジオ番組やってたんですが(TFM『水曜Wanted』)、オリコンに入ったアニソンをCDJでイジって遊んでたら被差別民から猛抗議があったのを覚えてます。
栗原:LiSA がとうとう紅白に出て天下を取った感じだけど、忘れもしない、4、5年前に、有名批評家とか純文学作家とか美術評論家とか映画監督とか文芸誌編集長とかが居並んでいた打ち上げの席で、LiSA の話になったの。というかおれがしたんだけど(笑)、誰も知らなくてさ。ひとりもしらなかったんだよね。
大谷:その時はまだ一般の音楽ファンにとって、アニソンは全然ノー眼中ですよ。ところが今やもう大アーチストですよね。
他の章に比べてかなり軽い。これを売るための努力と言うのであれば、読者をバカにしてる。ここに登場する「被差別民」という言葉は、文脈を読めばわかりますが、オタク差別を意図したものではありません。大谷がバカにしてアニソンを扱ったわけでもないのに、オタクをバカにしたと怒ってきた人物をバカにしてるわけです。私もですね、このブログの巻頭に貼り付けてある『消えたアイドル Maison book girl』という文章で、「アイドル楽曲派」を小馬鹿にしたと都築響一『IDOL STYLE』を取り上げ、アイドルオタクとして怒っております。でもこれは、編集者の説明に政治的意図を感じ、それに軽く乗ってしまった都築響一も含めて批判したまでです。よかったら読んでください。
私は集団ストーカーに遭っている被差別民です。毎日酷い目に遭っています。自業自得と言う人がいるなら聞きたいです。私は何をしたんですか? それはそんなに悪いことなんですか? 虐げられてる人間にただただ耐えろと言うのは酷ですよ。まじで。はい次、アイドルについて触れられた箇所。
栗原:全体を網羅したい欲望っていうのも、持っている人はそれほどいないんだよね。物理的にも難しいし。だから南波さんなんかは「アイドル界の柳田國男」って呼ばれてるわけで(笑)
栗原:でも、それをまとめ上げる作業はあまりやってないんだよね。タワレコ社長の嶺脇育夫とやってるネット番組「南波一海のアイドル三十六房」とかで喋って聞かせておしまいみたいな感じでさ、欲がないというか。あの番組のアーカイヴがアーカイヴという意識なのかな。まあ、忙しくて手が回らないというのもあると思うんだけど。
かなり適当なこと言ってます。まあ南波さんのことだから私が言わなくてもいいんだけど。でもこのくらいの適当さで書かれた本なのかと思うじゃないですか? 南波さんは「アイドル三十六房」で聴かせて終わりじゃないですよ。『JAPAN IDOL FILE』の1と2をタワレコのレーベルから出されてます。それが売れなかったから3がまだ出てないんですよ。サブスクもあるからもう出ないかも。私としては音源をまとめた作品を買いたいし、クラウドファンディングでもやればお金は集まると思うけど。あと自分でアイドルのレーベル運営されてるから文章としての批評はやらないのかも。
もう一つ。南波さんが凄いのは、確かに誰も知らないアイドルを見つけてくるからなんですけど、その本当の凄さは伝わってないんです。マイナーなアイドルの楽曲の8割、9割はゴミみたいな作品なんですよ。それをCDどころか、会場でしか売られないCD-Rまで買ってきて「またゴミだった」とがっかりしながらも続けてることです。凄いよ。これは真似できない。私なんて音の悪いライブに行っただけで腹立って仕方ないのに。まあ本人もそろそろ「R-グランプリ」はやめたいと言ってます。それは年末に開催される今年出た手焼きCD-R の1番を決めるイベントです。恐ろしい。