ハノイの日本人

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アイドル楽曲派・冬季講習会。3

 

アイドル楽曲派・冬季講習会。3回目は 10曲リストをつくります。テーマはラップです。普段からラップを聴いていて、ロックの方が苦手だと言う人もいるかもしれません。例えば、ギターの質感がわからないとか。そういう人はいつも通りリストをつくってください。ロックは次回にでも。とりあえず私がつくったリストを公開します。

 

アイドル楽曲派・冬季講習会。2 - ハノイの日本人

 

 

その前に、前回 D.A.N.『Take Your Time』の原曲と細野晴臣 Remix を取り上げました。でも大事なことを書いていなかった。この Remix で細野さんが何をしているかという話です。原曲は真ん中にボーカルだけでなく、耳を惹くハットの音とか、存在感のあるドラムの音が集まっています。途中からベースも入ってきます。

 

音が重ならないようにうまくデザインされていますが、それでも中央につみ重なって聴こえます。細野さんはその厚い部分をごっそり引いてる。一旦スカスカにして、空間をつくり出しているわけです。まあリミックスではあることかもしれません。その曲の一番強い部分を省いてしまう。そこから再構築に入るわけです。両方いい曲なので、聴き比べてください。どこが残ってどこが消えているか。

 

 

 

課題:連続100回聴いても飽きない10曲リストを作れ。

  1.  日本語の曲は4曲まで、最低3か国語入れる
  2.  ロックは3曲まで、バラードも2曲まで
  3.  歌のない曲を最低2曲入れる
  4.  80年代以前の曲は3曲までにする
  5.  歌い手の男女比はなるべく半々にする
  6.  新曲や名曲リストをチェックし、曲を入れ替えて行く

 

アイドル楽曲派・夏期講習会。実践編 - ハノイの日本人

 

 

SpotifyAmazonミュージックなど、サブスクにある新曲リストや、名曲リストをひたすらチェックし、100回聴いても飽きない10曲リストを月1回つくる。これが課題です。同じ曲を何度も何度も聴いて、より深く聴ける耳を育てるのです。今回は「ラップがわかる」を目標にするので、最低5曲はラップを入れてください。さらに日本語ラップは2曲までとします。私は入れませんでした。

 

夏季講習でも書きましたが、まずは歌詞の意味を取り除いて聴く。特にラップは声でリズムを刻む歌唱法なので、あくまでもサウンドとして聴く方に集中したいのです。そのためには海外の作品から入る方がいいと思います。

 

前回、新曲リストをチェックするのに、1曲10秒以上かけるなと言いました。最初から聴いて、音が鳴った数秒で30秒後、1分後などに飛びます。つまむように聴くのです。その数秒で「いい」「悪い」を判断する。少ない情報量で楽曲を理解する訓練です。この方法で1回に100曲とかをチェックして行くのです。ラップに慣れてない人は、私のリストから何曲かいただいてください。名曲リスト、グローバルチャートから探し、徐々に入れ替えてください。

 

 

 

 

この曲は知っていますか? 声優陣がラップバトルをする『ヒプノシスマイク』から、Fling Posse『キズアトがキズナとなる』です。ギャンブル狂の有栖川帝統を演じる野津山幸宏さんの声は素晴らしい。プロデュースは KREVA なので、もちろんデモテープに収録された彼のラップを聴いて、何度も何度も練習してラップしている。でも簡単ではないはず。それと白井さんの声のテカリも素晴らしい。

 

とにかくラッパーがキャラ立ちをよくするのではなく、最初から声でキャラをつくれる声優にラップさせた。声優の声には、私が K-POPについて話すときによく使う表現「テカリ」があるのです。だから、これをラップに使いたいと思うのは、後から考えればなるほどです。

 

似たようなあるプロジェクトで、女性の声優がラップするライブ配信を観たことがあります。ある程度の強度を持った曲でラップをするのは難しい。ライブは厳しかった。でも出来なくてもラップを理解するために、やってみるのはありだと思います。私も昔、カラオケで何度かブッダブランド『人間発電所』に挑戦したことがあります。散々でした。まあ静かに言葉を置いていくような、摩天楼の速水さんのようなラップもあります。自分にあったラップの仕方を見つけるのも大事です。

 

 

実際、ヒプノシスマイクの観客、声優ファンの女性たちは一緒にラップしています。この中から自分でラップする人も出てくるでしょう。やれば普通の R&B曲でも、リズムに声を乗せるのがうまくなるはず。あとラップするときの緩急、リズムの刻み方。言葉のどの部分に力を込めているのか。それから韻を踏む感覚。そういうものを感じれると思うんです。

 

 

 

 

私がつくったリストです。今回はラップの名曲と、1990年あたりから登場した HIPHOP SOUL の有名曲を入れてみました。それまでのホイットニーヒューストンやアニタイカーのようなメロディを伸びの良い歌唱で歌うシンガーとは違う、重いビートの上で歌うシンガーたちが続々と登場したのです。まずは順番に1曲目から行きましょう。

 

 

1. Ditto / NewJeans(2022年)

2. Dopeman / N.W.A(1987年)

3. C.R.E.A.M. / Wu-Tang Clan(1994年)

4. Family Affair / Mary J Brige(2001年)1992年デビュー

5. My Adidas / RUN DMC(1986年)

6. Loser / Beck(1993年)

7. Hold On / En Vogue(1990年)

8. Right Here - Human Nature / SWV(1992年)

9. Girl TalkTLC(2002年)1992年デビュー

10. The Boy Is Mine / Brandy, Monica(1998年)

 

 

 

何度も登場している NewJeans『Ditto』です。前回、いろいろ説明しました。とにかくハンドクラップが作り出すテンションを感じてください。

 

 

 

 

数年前に映画もヒットした N.W.A の名曲『Dopeman』。2005年とかかな。秋葉原石丸電気が潰れかけで、よく DVD のセールをやってた。映画のDVD 3枚買うと1枚1000円以下で買える。そこで Jay-Z のMSGライブが売ってました。妻のビヨンセも登場してて。豪華なライブ。

 

その映画にスタジオでバックトラックをつくるのに煮詰まるシーンが。そこで『Dopeman』の元ネタ Ohaio Players『Funky Worm』のシンセを流して、思いっきり首を振るシーンがあるんです。あれは良かった。このシンセのサウンドの質感を発見したことで、Dr.Dre は大金持ちになるのです。大金脈ですよ。ヘッドフォンで有名な Beats の Dreと言えばわかる人もいるかも。HIPHOPの名曲の元ネタはネットで簡単に探せます。

 

 

 

Wu-Tang Clan『C.R.E.A.M.』。これは N.W.A の映画で流れてましたね。DRE と Easy-E が再会するシーンだっけ? タイトルは、俺の周りでは金が全てを支配する、みたいな感じです。曲名をクリックして Youtubeの方に行くと、歌詞が英字で見れます。最初は動画を観ながら聴くと入りやすいです。ラッパーの個性を感じてください。

 

 

 

4曲目は Mary J Blige。1992年『Real Love』という曲がヒット。そのとき「QUEEN of HIPHOP SOUL」というコピーがついたことで、ジャンルの創設者となる(いまでは普通に R&B と呼びます)。でもそれ以前から En Vogue や、Def Jam からデビューした Alison Williams みたいな人もいました。彼女によって、よりラップに近い歌詞、歌唱法になったということでしょう。この『Family Affair』は文句なくかっこいいですね。リズムへの言葉の乗せ方に注目してください。

 

 

7曲目、En Vogue『Hold On』。これが 1990年だから、『Real Love』より2年早かった。ヒットもしてるし、JB『The Payback』も使ってる。あと冒頭がジャクソン5も歌ったミラクルズ『Who' Loving You』です。続けて8曲目は SWV 『Right Here - Human Nature』。こちらはマイケル・ジャクソンの歌声をサンプリングして使ってる。

 

 

とにかく90年代に入って、完全に HIPHOP の時代になります。その影響で R&B もその影響を受けたものになる。つまり、サウンドの質感とループの気持ちいい曲。9曲目、10曲目はもう少し新しい曲ですが、現在の耳で聴いてもいい曲です。いまだともう少しボーカルが前に出るでしょうけど。

 

 

流れで先にガールズバンドから書きました。5曲目は私が HIPHOP に目覚めたアルバムから。RUN DMC『My Adidas』。MTV で『Walk This Way』を観てびっくりしました。メロディを歌わない。しばらくしてアルバムがレンタルできるようになり、何度も何度も聴きました。

 

でも最初は『Walk This Way』しかわからなかった。次第に好きな曲が増えて行く。来日公演には行けなかったけど、そのとき『ベストヒットUSA』やテレビ神奈川の番組で、他のラッパーたちの曲も紹介されて、たくさん聴くようになりました。じゃあ『Walk This Way』を入れろよって感じですが、好きなスニーカーのこと歌ってるっていいじゃないですか。あとシンプルにドラムだけで成立してる感じを掴んで欲しいんです。『Dopeman』との質感の違いを感じてもらうのもいいと思います。

 

 

 

6曲目は Beck『Loser』。これも完全に HIPHOP の影響を受けた曲です。「俺は負け犬だから、殺せ」みたいなことを言ってます。多分、そんな曲が大ヒットしたのは初めてじゃないですか? 日本には『ヘイ・ユー ブルース』がありますけど、それより脱力した曲です。でもそれより宅録でこういう曲をつくったことです。そのスタイルに影響を受けたミュージシャンがたくさんいました。

 

でもこれはラップと言えるのか? 意見の分かれるところです。ここでは違いを感じてほしい。ラップには「止める、蹴る」的なリズムの刻みが入ります。

 

 

 

脱力と言えば、DE LA SOUL も大きな影響を与えました。80年代末、マッチョなイメージのあった HIPHOP にオタク要素のあるラッパーが登場したのです。かわいいラップもありだと。同じ頃、日本ではスチャダラパーも登場します。

 

 

この動画に出てくる音節の話がわかりやすいです。英語だとクリスマスだったら、クリス/マスと2音節で言える。でも日本語だとク/リ/ス/マ/スと5つになるので、ラップをするのにテンポが悪くなる。それをどう乗り越えて行くか? 日本語でラップをやることの難しさについて語られています。Dさんは、とにかくどうしてもラップをやりたかったのだと話されてます。