ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

市川哲史さんのポップ・ミュージック論。

GWを前に本屋に行きました。音楽本のコーナーには市川哲史さんと山崎洋一郎さんの本が並んでいました。懐かしいです。大学生の頃は『ロッキング・オン JAPAN』が大好きでしたから。2人がインタビューして、それに応えるミュージシャンの言葉にいつも刺激を受けていました。魅力ある人たちが沢山いたんです。まず、市川さんの本を買って来ました。



激刊!山崎〈2〉

激刊!山崎〈2〉


最近、自分の音楽履歴を書いているのは、時代的な幸運もあったのか検証したかったからです。かつて60年代、70年代に自分がミュージシャンでいられなかったことを不幸だと語るミュージシャンは沢山いました。私もそういうものかと90年代には思っていたのです。でも、私が生まれてから、阿久悠さんの時代、フィンガー5ピンクレディーのブーム、たのきん、80年代アイドル、HIPHOPの誕生、チェッカーズから始まる大人数グループ・アイドル、おニャン子光GENJI、バンドブーム、いか天ブーム、CD やレンタル屋の登場、などなどもの凄い勢いでシーンは変化して来たのです。これを体験できたのは幸運と言っていいですよね?


市川さんの本は大学での講義で話された内容に加筆されたものです。章立ては「音楽端末」「多人数ブーム」「集団女子力アイドル」「V系」「ジャニーズ」「小室哲哉とJ-POP」「K-POP来航」「バンドブーム」となっています。市川さんのもともとの専門であるヴィジュアル系とバンドブームの話が格段に面白く、ここでしか読めない話が満載です。シャケとノッコの話はよかったなー



注目したいのは「集団女子力アイドル」の章で語られた「AKB48ももクロはどっちが強いのか」です。「それにしてもつい先日までどアングラ・アイドルだったももクロがなぜ、巨大戦力を誇るAKB48帝国に拮抗できたのでしょうか」とあります。そして、「ももクロAKB48の同会場ライブDVD--たとえば西武ドーム公演を観比べてみます。観客のオタ芸勝負とか下手な生唄 vs. 完成された口パクとか見所満載ですが、何百人もの巨大戦力にたった5人でたちむかう図式に誰もが心を奪われるはずです」と書かれていました。


◉アイドル戦国時代はなぜ終わったのか?(2014年3月14日)
http://d.hatena.ne.jp/wakita-A/20140314/1394738981


このような内容は私もこのブログで書いて来ました。でも、書籍などで読むのは初めてです。いろーんな圧力がある中でぎりぎりのとこまで書かれているんですよ。ジャニーズ関係ではムービング・ステージの話が面白かったです。これは松本潤の発案として知られていますが、当初「ムービング嵐」と彼が名付けたところジャニーさんが「他の皆も使うから」と却下したエピソードが紹介されていますw



またジャニーズのドームライブで見られる「この歌詞にせよ花道にせよトロッコにせよクレーンにせよマンションにせよ、いまや AKB48EXILE などのコンサートでも当たり前の使用になりました」と記録されています。「この歌詞」というのは巨大スクリーンに映し出される歌詞のことです。初めて来た人でもいま歌われている歌詞がわかるようになっているんですよね。『Jr.マンション』については、はっきりとパクられたと書かれていますよ。



ひとつだけ間違いを指摘しておきますね。「日本のグループ・エンターテイメントにおいて、実は〈カラリング=色分け〉が重要な意味を持っています。そして前述した《スーパー戦隊シリーズ》が、その先駆的存在と言えるでしょう」と書かれています。でも、1964年にデビューした4人組、初代ジャニーズには既に色分けがありました。80年代のシブがき隊についてもそうです。ジャニーさんはどこまで凄いんだという話ですよ。