ハノイの日本人

アイドル、ジャニーズ、サッカーなど。

宮台真司、町山智浩、松本隆。

 

透明な存在の不透明な悪意

透明な存在の不透明な悪意

 

 

社会学者・宮台真司著『透明な存在の不透明な悪意』という本を読んでいたところ、私のことが登場していました。今までこの本を読んでなかったんです。この本は神戸の酒鬼薔薇事件について書かれたものです。14歳の少年が近所に住む11歳の少年を殺害し、その生首を校門に飾った事件でした。当時、酒鬼薔薇が書いた「透明な存在のボク」という言葉に共感した同年代の子たちがたくさんいたんです。宮台さんはそこでクラスや職員室をなくすという提案をされています。教室で窒息しそうになっている生徒を開放するのです。もう一つ、事件は共同体が崩壊して、それにともなってできたニュータウンが舞台になっています。宮台さんが「学校化」と呼ぶような状況があり、みな窒息しそうな状況がありました。この須磨のニュータウンは、どこまで歩いても同じ風景で、お店もなく、みんなが隠れられるような場所もなかったのです。

 

校門の生首が見つかったニュースで世間が大騒ぎだった頃、私は当時付き合っていた彼女の部屋で寝ていました。会社の女子寮でした。前日の夜、初めて一緒に過ごしたら、翌朝そんな事件があったんです。お昼になってその子が戻ってきて、事件のことを教えてくれました。当時、テレビを持っていなかったので、本当に偶然、その事件の報道を観ることになりました。その頃、新宿トークライブハウス・LOFTプラスワンの店長をしていました。そこではお店の中にあるステージで、毎日トークショーが行われるんです。酒鬼薔薇事件のイベントも入れようと考え、佐川一政さんに電話してイベントを入れました。それがなぜか東スポで1面記事になったんです。驚きました。たぶん、宮台さんが書いたのもそのことだと思うんですけど、メディアがダークサイドに光を当てると、そこにいた奴らはさらに裏側に回る。その悪影響について批判されています。

 

いろんなことがそうなのです。ご存じかもしれないけど、新宿の週末トーク・ライブのできる居酒屋ロフトプラス1の店長が、今回の酒鬼薔薇事件について、犯人はデスメタルじゃないかと言いました。

 

私は言ってません。実のところ、ステージで広げられたその東スポの1面は観たんですが、大文字しか観ていません。この事件のときはテレビや新聞からやたら電話があったんです。そういう電話って鼻持ちならないもので、なんでそこまで偉そうなのか? そう思うことばかりでした。用件は「誰か猟奇犯罪について詳しい人はいないか?」なのに。映画評論家の柳下毅一郎さんを紹介し、柳下さんにご迷惑をかけたかもしれません。ごめんなさい。正直、この事件のとき、私は現実の出来事として受け止められずにいました。連続して事件が起きてることは知っていましたが、それほど興味がなかったんです。もっと悪く言えば、ネタとしか考えていませんでした。だから、コメントもしていません。

 

宮台真司さんには非礼な振る舞いをしたことがあります。私が店長になってから、宮台さんに挨拶しなかったんです。それには理由があって。最初に会ったとき、ライターの藤井良樹さん主宰の私塾「ライターズデン」で行われた宮台さんの授業でのことです。当時『終わりなき日常を生きろ』(1995年)というオウム真理教地下鉄サリン事件について書かれた本を出されたばかりでした。その本のタイトルに、私は本気でむかついたんです。なにがつまらない日常に耐えろだよ、嫌に決まってんだろ!って。でも今となってはよくわかりますよね。暴発して人を殺さないで生きろってことです。

  

 

その授業を聴いて、宮台さんがなぜその本を書いたかが理解できました。文句の一つも言ってやろうと思ったのに、その授業に感動したんです。今から思うと、当時はまったく理解できてなかったんですけど。とにかく、その感動を本人に伝えようと黒板前で片付けをしている宮台さんの前まで走り寄りました。帰られる前に声をかけたかったのです。しかし、宮台さんは私を観て、数メートル後ずさったのです。一応、授業に感動したことは伝えたのですが、なにかとても残念な出来事として記憶されました。実はその光景はその後、もう一度繰り返されました。

 

井島さんというメンヘラ気味の生徒がいたんですが、その子が宮台さんにお茶のペットボトルを持って、教壇に駆け寄ったところ、宮台さんはまた数メートル後ずさったのです。そして「刺されるかと思った」と言いました。なんでそんなに刺されると思ってるのか? というわけで、ショックを受けた私は、ロフトプラスワンでは挨拶できなかったんです。仕事だからちゃんとしなければならなかったんですけど。ごめんなさい。もう25年も前の話ですね。

 

 

町山さんがモータウンの映画を紹介されています。そこで日本のアイドルソングに与えた影響の大きさについて語られていました。本当にそうです。いっぱいあるんですよ。でもハロプロは案外少ない。たぶん、つんくさんはナンパ・ディスコの人なんですよ。だから、モータウンで聴いてるのは70年代後半の曲じゃないですか? スモーキー・ロビンソンが抜けた後のザ・ミラクルズ『Love Machine』とか。これがモーニング娘。の大ヒット曲のタイトルになり、元ネタから Negicco『アイドルばかり聴かないで』が小西康陽さんによって作られる。素晴らしい伝承。現在、Negicco主催の NEGi FES 2020開催中。火曜日23:59まで視聴可能。いい音でよかったですよ。まだ全部観てないけど『トリプル!WONDERLAND』イントロの華やかさに涙がでた。

 

 

そう言えば、町山さんが激賞していた『The Witch』が NETFLIX に入りました。もう続編はないのかな? NETFLIX が作ればいいのに。そうか、この子は『梨泰院クラス』のフォロワー数が多い子だったのか。松本隆さんが激賞する『応答せよ』は観てないんだよな。なんか入れなくて。『オレンジ・マーマレード』は現代編に入り、高校でバンドを始めました。ヴァンパイヤがバンドを組むと言えば『クィーン・オブ・ザ・ヴァンパイヤ』。 今度は『Dr.HOUSE』を観るために hulu か U-NEXT に入るか迷ってます。結構他のドラマに影響を与えた作品っぽいよね?

 

 

高木紗友希イベント感想のつづき。

 

コロナ時代の哲学

コロナ時代の哲学

 

 

高木紗友希さんのイベントの感想を東京で書かずに高知に戻って書いたのには理由がありました。大澤真幸さんと國分功一郎さんの『コロナ時代の哲学』という本に気になる文章があったからです(でもそのことすっかり忘れてた!)。ここで國分さんはエイズと新型コロナの順番について語られます。どちらが先に来てもおかしくなかったはずだが、実際の順番としてこうなった。HIVで性的接触に厳しい制限が課せられ、その次に新型コロナで今度は対面で話すことにも制限が課せられるようになった。しかし、完全に安全なセックスなどないから「セイファーセックス」だったはずだ。であれば完全に安全な対面での対話などないから「セイファートーク」だと。「セイファーセックス」から「セイファートーク」への順番になっている。それが意味することはなにか。その発言を受けて大澤さんは斎藤環さんのnoteで発表された『コロナ・ピューリタニズムの懸念』という話題になった文章について触れられます。

 

そこでも、エイズと今回のコロナとの関係が論じられている。エイズの場合、性的接触による体液の交換が問題だった。今回は、飛沫感染が問題になっている。より微細な体液が、です。今回のことで、性的接触はもちろんのこと、実は人間の交流というのは、最小限の体液の交換をともなっていた、ということにあらためて僕らは気づくわけです。体液の交換を悪いことであるかのように禁止することは、人間の関係そのものの禁止になってしまうのです。

 

 

高木さんのイベントでもフェイスガードが配られました。マスクの上から取り付けましたよ。でも最後方にいた私は、絶対にここまで高木さんの飛沫は飛んで来ない! 体液の交換はあり得ないと気付かざるを得なかったのです。2曲終わった時点でフェイスガードを外しました。おわり。

 

高木紗友希イベント、オアシスの映画。

 

 

高知に戻ってきています。昼間は26℃とかあるんですよね。まだ Tシャツで大丈夫。今回の東京は、いろいろ応募してたんです。結局、行けたのは高木紗友希さんのバースデーイベントのアンコール公演のみ。コットンクラブでのライブ。いつもは芸人の司会を入れてトークコーナーもあるんですが、高木さんは歌を中心にして聴かせてくれました。うれしかったです。どの曲もよかったですが、やはり派手な『Give Me 愛(ラブ)』『ガタメキラ』がよかった。ひとりで歌うの大変ですよね。

 

高木さんは、歌うまいとみんな褒めてくれるけど、まだまだなんだとしきりに言われてました。本人的には課題がいろいろあるんでしょう。もちろん、メンバー8人で歌うJuice=Juiceの歌唱と、ソロでひとり歌う歌唱ではずいぶん違いもあります。でも私が強く言いたいのは、小田さくらさんもそうですが、二人の声質のよさなんです。だから肩の力を抜いて、気持ちよく歌って欲しいです。早く通常のライブが出来るようになればいいですね。て言うか、そう考えるファンを慰めてくれた気がします。ありがとう。

 

 

 

Amazonプライムにオアシスのドキュメンタリー映画があったので観ました。売れてからは3年しか活動してないんですね。いや、活動は続いていたけど、バンド的には死んでたって話なのか。1996年のネブワースでのライブ、2日間で25万人を動員したそれがバンドのピークだったと示されています。なるほど。まあクリエイション・レーベルの倒産とかもあったしね。私自身も3枚目のアルバムはほとんど記憶にない。

 

 

1994年4月に最初のヒット曲『Supersonic』(UK 31位)、8月『Live Forever』(UK 10位)、9月アルバム『Definitely Maybe』がUK 1位。その後、早くも来日して東名阪クアトロツアー。この頃、10月にイギリスでオアシスを観るチャンスがあったんです。私はイギリス国内をライブ観ながらぶらついてました。携帯のCDプレイヤーを持ってたので、このアルバムも買って聴いてました。

 

ケンブリッジプライマル・スクリームのライブがあって、そこで知り合った尼崎の女子たちに、週末はオアシスに行くつもりだと言ったら、チケット取れるわけないよと言われたんです。1位になった頃ですもんね。でもこの映画を観たら、そこまで人気は加熱してなかったっぽい。日本での様子が映されてるんですけど新幹線のホームで「これが追っかけという奴か」みたいなことを話してるんです。普通にパブで飲んだくれたりもしてる。当時はまだ日本だけ人気が加熱してたんです。もちろん人気はあったわけですが。ライブ会場も大きくなかった。チャレンジすべきだったな。たしかそのときはジャミロクアイを観に行った。最後に、ノエルが映画で語ってた言葉を記録しておきます。イギリスでも今は口の悪い人は行きづらいのかな?


 

デジタル以前でリアリティTV以前の時代

物事の意味が深かった

オアシスをやるのはもちろん 生きてるだけで楽しかった

セレブをもてはやす文化が生まれる頃だ

いつも思う ネブワースはインターネット誕生前

最後の素晴らしい集まりだったと

いま ああいうのがないのは偶然じゃない

 

9月27日付 CD シングルBEST 5。

 

高木紗友希さんの誕生日イベント、Jリーグ・千葉 VS 京都を観てきました。高木さんのことは高知に戻ってから書くとして、昨日の試合について。久しぶりのフクダ電子アリーナです。私が2度ほど行ったのはスタジアムが出来たころ。さすがに今は少し色褪せた感じもありますが、観やすさは変わりません。いいスタジアム。しかし、昨日の試合はつまらなかった。前半は酷かったですね。京都は前節の2−0から後半に4点取られて逆転負けした大宮ショックのせいです。消極的もいいとこ。寝そうになった。まあ仕方ないですけどね。あんな試合、スタジアムで観てたら立てなくなる。

 

 

千葉の監督は尹晶煥。きっちり固められた4ー4−2を最後まで崩せなかった。千葉のセンター硬かった。もう少し早く谷内田を入れて欲しかったけどね。京都もしっかり守れてたから、次の新潟戦はバランスよくやれるでしょう。印象に残ったのは千葉のキャプテンの田口選手。名古屋のイメージが強いけど、こんなに守備が出来る選手だったんですね。

 

今週のアルバム1位は 日向坂46。2位は米津玄師、3位は WANIMA でした。他に、BUCK-TICK、PENTAGON、COLOR CREATION、SKY-HIのベスト、降幡愛、プリンスの再発、フレデリック、EARTH, WIND & FIRE のベスト、ダイアナ・クラール、ズーカラデル、などが登場しています。


 

今週のシングル1位は V6 でした。25周年、素晴らしい。『PINEAPPLE』の作詞は土岐麻子です。一方、握手会チャートには、フィロソフィーのダンス愛乙女☆DOLL風男塾predia、などが登場しています。横浜銀蠅40thおもしろい。ツッパリHighschoolの在宅自粛編も。

 

 

◉9月27日付 CD シングルBEST 5。

1位 It's my life / PINEAPPLE / V6(10.6万枚)

2位 Winding Road〜未来へ〜 / FANTASTICS from EXILE TRIBE(0.9万枚)

3位 ENDLESS SUMMER / Kis-My-ft2(0.7万枚)

4位 アイマス MILLION THE@TER WAVE 11 オペラセリア・煌輝座(0.7万枚)

5位 ギガアイシテル / レキシ(0.5万枚)

 

 

竹内結子さんのドラマ。

 

竹内結子さんが亡くなられました。次々と有名芸能人の自殺が報道され、そのことに囚われて自分を見失う人も出はじめているようです。ここでは竹内さんの思い出を語ることにします。竹内さんと言えば、私にとっては松本潤主演ドラマ『夏の恋は虹色に輝く』でヒロイン役を演じた女優さんです。このドラマはまだ嵐の人気が盤石ではないころ放送されました。国民的アイドルSMAP の次として嵐はやっていけるのかというテーマのドラマになっていたんです。松潤は二世俳優の役。そして、竹内さんは海辺の小さな街の缶詰工場で働くシングルマザー。その二人が偶然に出会い、結ばれるまでが大体のストーリーとなっています。

 

 

普通に考えて、華やかな生活を送る二世芸能人と、缶詰工場で働くシングルマザーが恋愛することはありません。それを可能にしたのは、スカイダイビングをしていた松潤が突風によってパラシュートごと流されたからでした。雑木林に宙吊りされていたところを彼女が助けたことで、二人の関係は始まったのです。ところで、起こるはずないことが突風によって起きるドラマって最近観ませんでしたか? NETFLIXの『愛の不時着』です。男女は逆ですが。

 

 

韓国ドラマは日本のドラマやアニメなどの断片をバンバン入れてくるんです。韓国ドラマのデータベースには、日本のエンタメ作品がしっかりと入ってるんですよ。それはこちらの記憶をくすぐって来るんです。今、私が観ているドラマ『オレンジ・マーマレード』も鬼滅や亜人ポーの一族などの断片が挿入された韓国宮廷ヴァンパイヤモノです。ヴァンパイヤのヒロインは、さすがに竹を口に咥えてはいません。ですが、二人の出会いのシーンで主人公が毒蛇に噛まれたところ、彼女はわざわざ竹のストローを使って毒を吸い出します。それくらい意識的に引用してるんです。

 

彼女ははじめて味わった人間の血に興奮します。彼女の一族は人間の血を吸わないで生きているのです。動物の血で生きている。人間の血を吸う吸血鬼と、人間に害を与えない吸血族の対立もドラマの重要な要素になっています。でもこの予告編では現代の学園モノになってますね。これからタイムリープするのか? NETFLIX は韓国ドラマに集中的に投資しています。『保健教師アン・ウニョン』も面白いです。幽遊白書を思い出すような感じも。このドラマ予告の後半で鳴ってる音楽いいんだけど。これ何?

 

またGoogleで検索できなくされてる。

 

いつもそうなんですけど、秋元康関係の批判記事書くと、このブログが検索しても出て来なくなるんです。PCの方はブックマークしてあるからいいんだけど、スマホだと『ハノイの日本人』がどこにあるかわからなくなる。自分のブログなのに。いくら払ったら、こういうことが出来るんでしょう?

 

ユリイカ増刊「大林宣彦」を見た。

 

 

買ってあったユリイカのまるごと大林宣彦特集をざっと読みました。充実の1冊です。大林ファンは買った方がいいですよ。面白い。特に渡邊大輔さん、石岡良治さんの文章はしっかり読まないとな。一方で、太田省一はまた場当たり的な文章を書いています。最後の2ブロックを抜粋しとく。もっと酷い箇所もあるので読みたい人はユリイカで。

 

少女たちを食べる家の正体、それは家の主である南田洋子であった。彼女は戦争で失った恋人を忘れられず、その恋人を待ち続けるため少女たちの若さを吸い取ろうとしたのである。すなわち、ここでの南田洋子は、時の流れを超越し、永遠の若さを手に入れようとする。そしてその根底には、戦争に対する割り切れない思いと憎しみが渦巻いている。

そこにはすでに、大林宣彦が描き続けた反時代的アイドルの存在理由が寓意的に明らかにされている。そうとらえるならば、ここまでみてきたアイドルたちはみな、この『HOUSE/ハウス』における南田洋子の変奏にすぎないと言えるに違いない。

 

絶対に大林作品を見て来なかったヤツの文章。他の雑誌の特集を読んで、いわゆるアイドル関連しか見なかったんでしょう。町山智浩さんが『映画秘宝』で書いてた、大林作品はホラーじゃない幽霊映画という指摘は面白かったけど。

 

尾道三部作以降の大林宣彦監督が「アイドル映画の巨匠」と言われるのは、私も当然だと思います。でも、例えば町山さんが言う「大林監督はロリコン」みたいなのは、少し違うと思っていまして。大林映画には、監督の少年時代の分身的存在、尾道三部作など度々登場する尾美としのりのように、童貞少年の視点があります。そのフィルターを通して映し出された少女、主演女優が輝いている。それが「アイドル映画の巨匠」という呼び名に繋がったのでしょう。そして、童貞マインドを持つ人々にとって、大林監督は永遠のアイドルなのです。

 

私が好きな『花筐』は、童貞の榊山俊彦(窪塚俊介)が主役でいたから、わかりやすくヒロインの美那(矢作穂香)も美しく輝いていた。でも最後の『海辺の映画館』は、探しても大林監督がいない。それがとっ散らかった印象になった原因だと思います。移動演劇桜隊の隊長・丸山定夫が大林監督だったのかも。若いもんに後は任す的な感じだったので。そう言えば、Amazonプライムで、大林監督作品、いろいろ観れます。私もこの前『さびしんぼう』と『花筐』を観ました。『花筐』やっぱり面白いわ。卵の殻でワインを飲むシーン最高。最初観たとき吹き出した。